いつも家保の獣医さん達と話して居て感じるのですが、この方達は畜産家に法令遵守を徹底させるお役人の立場と獣医師としての良心のはざまで悩むことが多いということです。繰り返すように<泣いてバショクを斬らねばならぬ>こともあります。それは我々産業側も理解して居る積もりです。しかしその人達の口から、その悩みを持つ仲間たちをあからさまに「魂を無くした獣医師」と非難されると、これは寧ろあぜんとしてしまいます。我々現場は、今度のようにいくら理不尽なものと感じても、その法が有る以上嫌でも従わざるを得ない立場にありますが、たとえお役人の立場でも獣医は獣医の心だけは持って居て欲しいものと思います。コンプライアンスを重視しない獣医は魂の無い獣医だとする意見には少なからぬ違和感を覚えました。獣医師魂を失くして居るのはどちらかと云いたいです。<この鶏たちは本当に殺すべきかどうか>をまずもって考えることは、人間のエゴや他への危険を顧みない形の動物愛護ではなく、獣医師としての専門的知識に基づいたサイエンスの心、科学的な探求心でなくてはならない筈です。そんな意味で「茨城は特別な県だよ」という地元の仲間のいう気持ちがいくぶん分かりました。どこの県でもそれは云うよと仲間の一人は云いましたが。 同じことは研究者の方達にも言えることです。喜田先生の「ウイルスとは仲良くすべきだ」という持論は小委員会の中でも活かされるべきです。それに関連して永年、同じ型のワクチンを無定見に使い続けて汚染を垂れ流して居るとデイビッドEスウエーン率いるUSDA辺りからスアレスチームを派遣されたりして非難されつづけ、それを信奉する形の我が国の研究者からも4流であるなどと酷評されてきたメキシコが最近は実際HPAIの発症を防ぐことに成功して居ることで、改めて評価され出していることから、世界の趨勢が非現実的なウイルスの撲滅方針から、実際的な馴致方針へと転換してきていることを、しばしば耳にするようにもなりました。 グアテマラ株などと云っても、敵はメキシコに有りというわけで大槻教授が派遣されたりしましたが、根絶思想さえなくなればサイレントエピデミックに対する懸念も自然と薄まる感じで、繰り返すようにそうやって交じり合い馴致して仲良くなっていくことが自然の理でも有る筈ですから、茨城株など、その馴致された平和使節のようなものと自然に考えれば、いたずらに強毒変異を騒ぎ立てる必要もなくなる訳です。 一旦馴致した株が強毒に変異する懸念はアメリカで豚騒ぎがあったもののギランバレー症候群が問題になったくらいで、実際には、一昨年の青森大会の時に喜田教授もH1〜H3を危険な変異から除外していましたね。その点同じ弱毒株でも10の6乗ものウイルス量でも鶏に感染しないほどの野生株が25経代で強毒変異したと云われる大槻教授の実験株と、予め馴致してしまってウインドウレス内であれだけ希釈されても感染できるほどの仲良し株が今更強毒変異など出来そうもないことは素人だって想像出来そうです。これを知ってて一緒にするなんて学者もひどいと思いませんか(笑い) 喜田先生もウイルスと仲良くしようなどとおっしゃりながら、、実際、<友好的な茨城株>に出くわすと、立場上にわかに尊王(清浄国論)攘夷(殺せ殺せ)の急先鋒になられる。だからこれを御用学者と云わずに何と云うかと私たちは云い続けて来た訳です。 最後に肝心な、お客様に理解して頂く方法ですが、お医者さんなどの難しい方達に対しても、ふだんの友達客として、はっきり話して協力頂いた方がむしろ分かって貰えるようですよ。 H 18 6 25. I,SHINOHARA. |