鳥インフルエンザ問題の今後(151)



日本農業新聞に茨城・鳥インフルエンザ今後の問題が掲載された。それで思うのだが情報が遮断された中での県と業者側の対策が如何に困難というか、場合によっては見当違いにもなりかねないことを憂慮するのである。この事は私自身のHPについても云えることで、周辺各国の情報と我が国の報道との間の乖離の大きさに、ややもすれば<下衆の勘ぐり>に見られかねないこともあって、せめて四年に一度のイギリスでの世界AIシンポジューム(6th International Symposium on Avian Influenza)で世界各国の情報が出揃うまで待つことにしたのである。

強毒H5N1株に対するワクチン一つをとっても、世界では従来のH5N2,H5N3,H5N9などの不活化ワクチン、POXベクターの他に、DNAワクチンやND2価ワクチンまで実用化しそうだというのに、もはや世界的に効果は確かめられた筈の不活化ワクチンの相変わらずの危険視やら一方で<喜田さんワクチン>と称せられる実験的アジュバント組み替え国策ワクチンだけに期待するような報道に接していると、なまじ自由な国だけに何処かの不自由な国と錯覚して現場の頭は混乱するばかりである。茨城株のことも、これまでの大方の報道では世界的にセントラルアメリカからのブラックマーケットワクチン、ないしはフォールティワクチン使用によるものと断定的で、いくら良識ある人達がリメイン アンノウンと言い続けても、一旦小委員会が発した不名誉な報道は消えることが無いようである。 

さて茨城県では茨城株陽性鶏群を一掃して環境浄化したところで、今後監視態勢の一層の強化を図ることで官、業一致したといい、これまでの野鳥の調査でも陰性が確認されているとのことで<野鳥からの感染ではない>と云う。そこが問題である。私達現場の<下衆の勘ぐり>からすれば、世界各国からの情報、なかんずく台湾、あるいはイタリア辺りのサーベイランス結果をみても実に数え切らない程のLPAI亜型の存在が報告されている。報告の義務がないとはいえH9N2の如きはオールアクロスとまで表現されている。いくら日本が島国でも台湾の結果をみれば、とうてい埒外とは思えないのである。

公衆衛生問題を云々するなら尚のこと、家畜伝染病予防法の範囲でなく野鳥段階でも、せめてH5,H7亜型が見つかったら国はそのことを公表すべきであり、その義務を課すべきである。それを抜きにして一旦鶏舎内で発見されれば法の定めにより、差し当たり無害のものまで鶏を殺し続けるやり方は、江口さんならずともどうにも解せないのである。週刊誌種ふうに云えば、野鳥の間でのH5LPAIの他のストレーンの存在を民間で知り得たから江口さんは引っ括られたとする噂まであった。その辺の真偽の程は次第に明らかのなるのだろう。

私自身は、環境の清浄化の真偽も確かめずに経営を再開して一旦陽転すれば、その養鶏場に全責任があるとされて強化された県の方針のもとに再び摘発淘汰の憂き目に会う恐れが有るうちは余程の警戒が必要だと懸念するのである。外部からのウイルスの侵入に強いとされたウインドウレス鶏舎での軒並みの感染事実は、ウイルスによる環境汚染があるならば防御不可能との体験を持ったことにもなる。

そして万一、他のH5ストレーンの野鳥での存在が事実で、それがどんな無害なウイルスであっても鶏に感染すれば淘汰されるのであれば、最早その防御はワクチン以外ないことも知るべきである。

H 18 4 26. I,SHINOHARA.
No.19878