鳥インフルエンザ問題の今後(144)



早咲きの桜の便りも聞かれるようになって付近の河川敷、湖沼の渡り水鳥もすっかり居なくなった。この冬場は紛らわしい鶏病の発症も聞かれなかった。茨城騒ぎが<刺激誘導>になったのかも。一応、今シーズンはこれで、その茨城株のような雑菌ならぬ《雑毒》を無理に発掘しない限り清浄国論は無事なのだろう。それにしても極東にありながら日本では何故強毒の発症がないのか外国でも不思議がられるそうだ。答えの三択…

(1) バイオセキュリティが徹底して居るから。
(2) サーベイランスがいい加減だから。
(3) 清浄国論堅持だから。

まあ小泉内閣支持理由並に意見の分かれるところだろうが、NDの発生状況をみる限りは育成中の基礎的なワクチネーションがうまく機能していることもあると思う。ただ聞いて見ると、昭和40年代頃からの餌は餌屋任せ病気は獣医任せの傾向はどんどん進み、総合管理の出来る大規模養鶏の経営者でも、自場の獣医によるワクチネーションを理解せず、病気の出ないのはウインドウレス鶏舎のお陰だと信じて居る人の多いのに驚かされる。何かあると真の功労者が首を切られるようでも困る。

世界各地からの報道ではH5N1の拡がりは一向に収まらないと見える。それもその筈、いわゆるデッドリイと称されるものだけで100以上の遺伝子構造の違いが見られると云い、既に無毒化したりしつつあるものを含めたら膨大な数になるだろう。そして実際には恐らく、これから発達する可能性のある株と消えて行く株との選別は、より重要に思えて来る。ただ人での危険性はまた別問題らしいが。

あくまで鶏にとっての話だが、病原性も感染力もない野外株が変異して感染力を持ち、やがて強毒化し、次第に馴致して毒性を減じ遂には不顕性となり感染もより容易になり、最後には消えてしまう。こと鶏に関しては現在致死的H5N1であっても何れは《雑毒》となって消えていく運命にあるとされる。そういう視点で茨城株を見れば、それがこれから発達を遂げそうな型ではなく、もう消滅期に入ったH5N2の馴致型であると初期の段階から察知出来たろうと思われる。またそれ故にワクチン説が浮上したが、それ一つを取っても大槻教授達の<それ自体の強毒変異説>はどうにも頷けるものではない。また繰り返すように、強毒H5N1をマスキングして潜在流行を助長する懸念では南中国でのH9N2に見るように環境中のあらゆる亜型が対象で、人為の及ぶ所ではなく、もはや自然の摂理である。

我々現場はそのような歴史的事実を含めた考察を取るのか、彼等専門家と称する人達の国家予算のついた実験結果を待って事を運ぶのか決断しなければならない。黙って講義を聞く大学生とは立場が違い、少なく共それで食って居るのだから。今や彼等は、闇ワクチンだと喝破した手前、それを証明することと、茨城無毒株の強毒変異を煽った責任からは、それを実験的に強毒化せしむること、何よりもその判断の元に600万羽の事実上の健康鶏を殺処分した根拠を明確にする三重苦を背負ったことになる。

なにが喜田教授らのお陰で一件落着なのだ。春とはいえ、現場はまだ苦しみの最中である。

H 18 3 17. I,SHINOHARA.
No.19240