福岡県でバックヤードヘンでのニューカッスル発生が報告された。 法定伝染病だから届け出と殺処分が必要だが、それとは別に拡散を防ぐ意味で、即座のB1若しくはアビの生ワク噴霧が大いに有効である。特別な器具は要らない。スプレー式台所洗剤などの空き容器でワクチンを溶かして一羽3ドーズくらいを目安に噴霧するだけでよい。よく云われるリアクションはほとんど無く、昔は拳突き鉄砲式(いかにも古い云い方だが)のフマキラーの容器を使った。研究者はなかなか認めないが、現場での野外毒とワクチン株の置換効果はかなり大きく、後追いでも間に合う場合が多い。同じようにメーカーも認めて居ないが、リアクションとしてのMg,Msの顕在化を防ぎ、Eコリーなどの絡みを無くす為に予めそのMgワクチンなどを点眼接種して置く場合でも置換効果を考えれば必ずしも陰性群に拘る必要はないとも考える。空き容器での生ワクスプレーなどは篤農技術でも何でもなく、単にやるかやらないかだけの話で、銘鶏や競技鳩を救う為にはどうしても必要な手段である。 さて毎日新聞の鳥フル記事で、例によって喜田教授が弱毒株の強毒変異を強調されている。まあNHK番組での河岡教授と違って、断定的な云い方ではないが、何しろ茨城株600万羽大虐殺の後だけに、どうしても自己弁護の詭弁と聞こえてしまう。世界的に有名なお二人のご意見だけに詭弁では済まされないがやはり詭弁である。 H5,H7と名が付いても、無毒もあれば弱毒株もあるとは彼等の教えである。具体的に云えば2004年の青森大会で喜田教授は「H1,H3以外は皆、強毒化する可能性が有る」と説いた。つまりは茨城株でなくても隠れて居るあらゆるウイルスが、連続、不連続変異そして潜在的流行に寄与する可能性があり、更に鶏への強弱が必ずしも人への毒性とは一致しないと普段から説かれて居る訳だから、たまたま見つかっただけ(3点セットを具備しない)で、96年の岩手、鹿児島の例をあれでも弱毒と云うなら、全く無毒の茨城株を目の敵にして殺し続けた矛盾は詭弁で覆えるものではない。何回も云うが、偶然見つかる無毒株を殺して行ったら、鶏は居なくなるし、その費用だけでもオランダだはないが国自体が経済的に疲弊してしまうだろう。オランダの場合はまだ緊急的措置の必要性があったが、茨城株の場合は馬鹿みたいなものだ。 清浄国論の手前、そんなものは放って置けばいいものを、学究的な正義感から、内緒で動衛研に、余禄検査を頼んだばっかりに江口さんもとやかくマスコミにたたかれた。余禄検査なんだから内緒は当たり前でしょうが。まったくこの国はおかしいよ。民間人は研究一つ出来ない環境にしてしまって実際の防疫が出来る訳がない。そっと調べてひそかに納得しているものを持ち合わせていないと実際に事が起きた時に役に立たない。この前の福岡でのニューカッスル騒ぎの時も家保の指導でスプレー一つ出来なかったし、茨城株の場合も江口さんら現場の知恵が活かされなかった結果がこうなってしまった訳だ。 日本の農業2000年を支えてきたのは、そういった篤農技術である。少しは現場を信用して貰いたいものである。 H 18 3 12. I,SHINOHARA. |