鳥飼い百姓の最後っ屁



新聞の時事川柳をみた息子が笑い出した。『朝食の箸が止まった寒卵』
うまい と家中が感心したが 良く考えたら 寒卵は うちの宣伝文句だったっけ。

そのわが家の方針は決まって居る。AIが入って来たら、危険防止のため従業員10名を退避させて家族4名で鶏舎を封鎖して家畜保健所に引き渡して廃業する。

周辺国の状態にもかかわらず、事実上ノーワクを決め込んで居るノーテンキの国にはついて行けないし万一のとき埋けるのは嫌だから一応3月で廃業することにした。取り敢えず予約したヒナと、業界紙誌すべてを断り、取引を現金化した。実際は4000人位の登録客を抱え、廃鶏処分がままならず、会社資産を整理するのに3000万以上の税金が掛かるので 、それらを食いつぶすまで営業は続けざるを得ないようだが、その間に国の方針が変わり迅速に対処することなどこの国に望めっこないし、今のところ廃業は既成の事実と云っていい。そんなときの為に、従業員は全員社会保険、失業保険、中退金に入れてあるので心配はないものの、緊急避難以外は鶏が居る限りそのままということになる。

ワクチンを許可しないで殺処分だけで国が行こうとしても、大発生した時の補償費用を国が担保して置かぬ限り、実際には国も地方も養鶏場とその周辺も、その経済負担に耐え切れぬから逆説的にいえば今の日本では大発生はないことになる。その辺になると、病気の鶏は色が変わっていて直ぐ分かるから大丈夫なんて云ってる学者が取り仕切って居て大丈夫かいという気になる 。チアノーゼなんて水につけておけば消えてしまう。まこれは余談だが。

そんなときアメリカの論文をみて息子も感心した。獣医さんが書いても、ちゃんと行政、経済をベースにして、可能性を論じ、技術論でも必ず比較検討を怠っていない。繰り返すように、日本の学者さんのそれは我田引水ばかりで、比較検証はおろか、政治経済が抜けて居るので、まるで実現性がない。尤もそれをいれると学者らしからぬ曲学阿世の輩と云われたのだから世間知らずなのは仕方がない。

そういうわけでこのホームページは、私の代だけでも50年の鳥飼い百姓の最後っ屁だ。少しは匂うくらいでないと最後っ屁らしくない。