鳥インフルエンザ問題の今後(126)



去年の11月8日放映のクローズアップ現代で河岡教授は、ペンシルバニアでの自己の体験をもとに茨城株陽性鶏も、若し殺処分しなかったら2〜3カ月で強毒変異していたと、残って居るウインドレス分を忘れて発言した。それを補完して大槻教授は、同じペンシルバニアの例をとって「あれは本当は2〜3年経って居たかも」と偶然の発見以来半年以上経っても一向に強毒化しそうにない茨城株陽性鶏群の殺処分の必要性を強調して養鶏場の協力を促した(鶏の研究2月号)。

場所が茨城だけに《2カ月が1年、1年が2年に延びたよお立ち会い》とガマの油売り的な学者たちの三百代言で話にならない。彼らは顕微鏡を覗かせたら一流の学者だろうが、何が飛んで来るか分からない隣接のOO大陸を度外視して、養鶏場の闇ワク説に固執するなど疫学は兎も角常識は丸でないとしか思えない。それに惑わされてきた我が養鶏業界、この辺でブレインウォッシングを解いて思考力を取り戻すべきである。

学者達は未知のインフルエンザウイルスが無数にあり、南中国辺りの老人はまたあらゆるそれらの抗体を持って居るなどと自分たちの世界では平気で言い合いながら、我々には日本には茨城株だけしかないような説明をして「(茨城株に)陽性の人間が何人出た。それ見たことか、危険な鶏を早く片付けてしまわないと大変なことになる」と脅す。この冬もインフルエンザの流行が始まった。変異は繰り返しても相変わらずのH1N1,H3N2である。毎年流行して、抗体が行き渡ると姿を消す。居なくなる時期があるからエンデミックと言えないかも知れないが流行そのものは毎年繰り返す。マイルド化しているとはいえ毎年それに関連して少なく共15000人は我が国だけでも死んで居るそうだ。と思うとH2N2のようにあれだけ流行しながら2年ポッキリで消えて仕舞ったものもある。要するにまるで分かっていないのだ。それを自分たちの実験結果だけを金科玉条として既成事実化しているのが、現在我々を指導している学者達である。

そして彼らは鶏に関して云えば、目の前の事実を無視して、分かりもしない危惧を振り回して恐怖感を煽って来た。大槻発言で「鶏に馴化した株は危険」というのは彼の実験で当初はなかなか感染しない株が容易に感染するようになり最後に強毒化したという経代感染実験の結果だけを取り上げて勝手に茨城株は強毒化の道半ばであると位置付けたものに過ぎないことは明らかであり、偏狭そのものである。私が分からないのは実際野外で起こる事実を一向に確かめようとしない彼らの態度である。その陽性鶏が実際はどう変化するのか、まるで興味を示さない、何時も云う予算の付かないことに対してである。まるで一つ覚えのように「強毒に変異してからでは遅い。今のうちに殺せ」と云う。変な学者達だといつも思ってしまう。

私自身の鶏飼いの立場からの物言いは、進歩の無い証しだろうがこの二年間ほぼ一貫してマイノリティの立場である。文字こそワープロに助けられて並べているものの、もとより無学文盲に等しいし、それでどうこうしようという野心もない。ただどうにもお偉方の考えが腑に落ちないだけである。
面白いと云ったら失礼に当たるが《笹山様のホームページ》《とき》様の存在。並み居る論客をこの一年間でほぼ一掃?されてしまった。無論どこのどなたかは存じ上げないがマイノリティの存在も大切と考えている時、衆目の集まるそのサイトでマイノリティを堂々マジョリティにしてしまわれた識見をいつも現場から頼もしく拝見している。

H 18 1 27. I,SHINOHARA.
No.18057