鳥インフルエンザ問題の今後(124-2)



詮も無いとぼやきながら、このホームページを続けて来たのも仲間の応答が得られるからである。それに沿う形だとどうしても憤慨したりすることが多くなる。昨日は《鶏の研究誌》2月号が届けられた。巻頭のコラムで編集子が嘆く「業界筋から流れてくる情報は闇ワクチン問題一色に染まり、耳を疑いたくなるような情報が飛び込んでくる。また、特定の養鶏場名をあげてくる業界関係者がいる」。全く私の所へも、どこそこの大養鶏場を取材したら場主が真っ赤になって闇ワクについて怒って居たと云うような報告が寄せられる。困ったものである。これでは何も解決しない。

それと繰り返すが茨城株の強毒変異説を垂れ流す学者にも困ったものだ。その《鶏の研究》38ページでも茨城株についてこう述べて居る「…そうです。鶏での継代が相当進み、鶏に容易に感染できるウイルスに変異していると考えられます。このような鶏馴化ウイルスはさらに鶏での継代が進めば、現在は鶏に明確な病原性を示していませんが、高病原性を獲得する可能性は非常に高いと思われます。なんとしてでも可能な限り速やかにこの危険性の高いウイルスを消滅させることが必要です。そのためにも生産者の協力が必要なのです。」そして前述したようにK教授も挙げたペンシルバニアの例をとって、今度は強毒変異に2〜3年(K教授は2〜3カ月)を要することも考えられるとして居るのである。学者先生がそこまで云って養鶏家の協力を呼びかけて居るのに、一介の吹けば飛ぶような鶏飼いの私が茨城株なんぞ放っとけと云うもんだから仲間からも獅子身中の虫扱いされるのはこれも前述の通りである。

しかしそのお説によって500万羽の鶏が人為的に犠牲になった。これまでの経過では10万羽収容のウインドレス鶏舎内で一斉の陽転が僅かの期間で行われて居てその応答も極めて高く且つ均一化されていることが知らされて居る。しかもその鶏群は外界から遮断されている(とされる)。そのような陽性鶏群に取り付いた同じウイルスがこれも同じ鶏群でどうやって継代で強毒変異出来るのだろうか。もう初発からかれこれ一年は経ち、その鶏群の経済寿命はもともと一年しかないのである。その学者のお説によればこれほど免疫応答が良く且つ斉一な閉鎖鶏群の中でそれでもウイルスは感染をつづけ鶏が居なくなっても尚強毒化を図ると云うのである。もう一度云う。その無茶苦茶なお説で茨城500万羽の鶏は犠牲になったのである。「みんな貴方のせいですよ。このうえ何が協力しろだよ」私が聴衆ならそう叫んで居ただろう。

その茨城株が40数件の特定地域から飛び出さない理由は加藤先生の云われる《大人の解釈》に委ねるしかない。農水だって茨城県だって苦しいのである。しかし一番苦しいのはその地区の被害農家だ。学者達の讒言にも等しい言動によっても苦しめられて居る彼らを、有りもしない闇ワク疑惑で仲間同士が更に鞭打とうとするのは業界自ら墓穴を掘る行為である。
昔から云うではないか《人を呪はば穴二つ》と。

H 18 1 21 . I,SHINOHARA.
No.17883