鳥インフルエンザ問題の今後(122)



茨城問題に終止符を打ちたいと考えた居るのは行政も小委員会の人達も一緒である。だから残りの330万羽を一刻も早く処分して清浄化宣言を出したい。それで養鶏場自身も救われる。官産学一致でその方向に邁進することで解決を目指しているのに、異論を唱えるとはお前達は獅子身中の虫だ、恥を知れ。と云われんばかりなのが我々の立場であることは重々承知している。

しかしその後はどうなるだろう。養鶏場の瑕疵とされる条件はますます厳しくなり、無消毒の郵便配達を近づけたこと、主婦が買い物に出たことまで瑕疵とされかねない。これまでの経過を見るとき、そんな馬鹿なと云える養鶏家がいるだろうか。その方向が加速され、当たり前になるのが怖いのであるが、彼らが気付かされた時は確実にそうなっていて、自宅に郵便受けをしつらえた業者や割烹着で近所の商店に買い物に出た主婦はNHKの番組でも取り上げられ、同業者からも非難の的に成りかねない。

去年の6月、水海道市で初発が確認されたとき、我々はその殺処分に「取り返しが付かなくなる」として反対した。同じような一過性のEDは各地で散見され、それらが韓国で40%もの鶏がLPAIに汚染されているとの情報の所見と酷似していたことによる。現場で見れば大槻教授の指摘したIBとは明かに違うのである。

従って最初の殺処分の後、喜田教授が「これで続発はない」とコメントした時も、まるで信用しなかった。これらは逐一このHPに記して居る。それに先立つ青森での大会で同じ喜田教授が「変異の危険性はどの亜型でも同じ」としてH5,H7を特定して対策を決めた国の方針を暗に批判したとみた経緯から、これはもはや清浄国ではない、即刻ワクチン接種に踏み切るべきだ、と次の小委員会の決定に期待したのである。そしてその後の経過は予想した通りとなった。

我々とすれば、79年振りのHPAI突発とされ報告が遅れたとして、寄ってたかって犯罪視された浅田農産の場合さえ非難する気にならなかった。事実一度も非難したことはない。それまでの養鶏での常識的な考え、やり方が後出し条件によって否定され犯罪視される。通常はそれが常識だった緊急時の廃鶏処分も大槻教授によって「金儲け」と非難され以後はそれが定着してしまった。《鶏病には出刃包丁》の近代化である処理場には、以来病鶏は出荷されないイメージになった。同じように一農場10羽の検体提出も、後出し条件では一鶏舎ごと、一ロットごととウイルス対策にあるまじき素人判断みたいな形で強化され、それに違背したとして現場は犯罪者扱いとなったのは耳新しい。

そしてそれを指導した学者は、我々の懸念をよそにその成果を自画自賛した。実際は既に散らかってしまっていたH5N1も拡がるものなら、とっくに拡がって居た筈である。これでもHPAIかと識者が首をひねるほど罹りにくい型だったのが幸いしただけではないか。ビニールで覆って埋めた結果などとうに予測していたことである。

去年11月8日放映のNHKクローズアップ現代での河岡教授の発言、それに今回の鶏卵肉情報誌の大槻教授の講演録、そのどれを見ても茨城株の強毒変異を前者は過去形を以て断定し後者はそれを補うかの如き危惧を聴衆に植え付けて居る。聴衆は自分の頭で考え、現実を直視し判断することだ。そしてその魂胆を見抜くことである。直下型大地震を恐れるあまり、実際の被害は震度1にも満たないものを、その予震として立ち退かせる暴挙。そんな彼らの言動をもう一度良く検証すべきである。

H 18 1 16. I,SHINOHARA.
No.17738