鳥インフルエンザ問題の今後(120)



あと2日で今年も終わりです。養鶏現場からのささやかな発信を、情報面、貴重なご意見を通してご支援ご教授戴き、またネットでは笹山様のページで一年間、《とき》様を中心とされて鳥フル問題をとりあげて下さり本当に有り難うございました。
もともと我々百姓の立場では、昔から「物知らぬこそ活計なれ、物知りの家の田は荒れる」など付け焼き刃の知識を振り回すことを戒めて参りました。せめて「すべての道は良い卵作りに通ずる」ことと捉えて上滑りにならぬよう心掛けては参りましたが、お見苦しい点は幾重にもお詫び申し上げます。

云うまいと思えど今日の寒さかな、全く寒い日が続きますが、茨城のH5N2騒ぎも、つくづく云うまいと思えど、その扱い振りに出て来るのは愚痴ばかりです。結果から云えば茨城株は半年を経て強毒化しませんでした。そればかりか、現地からは陽性鶏のほうがむしろ成績が良いという話さえ聞かれます。当初こそ産卵減が問題とされましたが、実際少しづつ変異するなかで、症状は軽くなって来たようです。このことはスアレスチームのメキシコ調査でも云われたことで、学者は殊更変異を危険視するけれども、実際にはほとんどのウイルス病がクール化するのが普通の変化で、スアレスが批判したメキシコだって当初のホットな部分は陰を潜めてしまった訳ですから。それは中には逆の場合もあるのでしょうが常識的にはクール化して馴染んで来るのが普通で茨城株も大勢とすればその方向に間違いなさそうです。茨城で残っている鶏もあと数カ月で既成鶏は経済寿命が切れて処分が必要になり、営業を続けるには雛を補充しなければなりません。そこがワクチネーションプログラムに鳥フルワクチンを加える好機だと思うのです。

たびたび言及したようにわれわれの現場では昔から交差免疫やら干渉それに競合排除など分からないながらも、いろいろな体験を通して利用してきました。茨城で基礎免疫のある若い鶏ほど陽性が少ないと思われているのも干渉しているからかも知れません。サイトカインの産生は人間と同様若い鶏のほうが盛んなのでしょう。ただ、そんな数字で表せないものは一般の養鶏場で受け入れてくれません。ガルシアさんの話でも、メキシコでも効果は高いのに、免疫応答が悪いのでリコンビナントが敬遠されたそうですから。

少なくとも、このまま闇ワクチンの疑いだけで、あるいは強毒変異の恐れをあおることで、この半年の貴重な経過を無視して摘発を強化したり他府県に拡げて行くのは止めるべきです。これから強毒型発症のシーズンに入ります。そしてその場合、恐らく突発は全く別ルートの筈です。当初の一羽が発症斃死して実際に数羽の異常に気が付くのは数週間先です。いくら早期に届け出ても初発から1カ月は経って仕舞うのは人間の場合と同じでしょう。ウイルス感染を本当に初発で押さえるのは困難で、このことはニューカッスルで体験済みです。

茨城株は病原性もなく、この6カ月の実績として強毒への変異も皆無でした。これは目下世界中が懸念しているH5N1とは抗原的にも全く異質なもので、これへの応答が良ければ良いほど、真の敵からは遠ざかることになります。そう分かった瞬間に方向転換すべきでした。少なくとも茨城問題には終止符を打つべきで、学者の人達も茨城株に備蓄ワクチンは効かないなどとノーテンキなことを云わず、一つのけじめとして新規導入雛には、逆にワクチン接種を義務付けたらどうかと思います。

皆様 どうか良いお年を。

H17.12.30.I,SHINOHARA
No.17530