鳥インフルエンザ問題の今後(117)



相次ぐ小学生女児の事件など、耐震強度偽装問題などと別の意味でニュースを正視するに耐えないでテレビはおろか週刊誌まで敬遠してしまうことが多い。
ひるがえって茨城で2例目の検体すり替え疑惑については不可解とするよりない。もうさっぱり見当もつかなくて、頭を抱えてオー マイ ゴッドである。

鳥インフルエンザも報道の面からは、もはや鳥や鶏の問題から離れてしまいパンデミックの懸念につながる話ばかりである。そんななかで30日のBSー1のBBC放送の日本語版Bird flue Facing the Pandemic(監修 阿 保 満)は同じNHKのクローズアップ現代を貶したばかりだが面白かった。

養鶏関係では観た人が多かったと思うが、表面的には世界で、人での3/4の発症を見て居るベトナムの実情を紹介し、熱帯病病院臨床研究部長ジェレミー・ファラー氏をBBCの企画でイギリスに呼んで、ジェーン・コービン記者の司会でジョン・オクスフォード(ロンドン大学ウイルス学教授)、アンジェラ・マクリーン(オクスフォード大学感染症研究)それにレスター王立病院イアン・スティーブンソン医師を交えての討論会を軸に、イギリス保健省主席医務官リアム・ドナルドソン、国連システム調整官デビッド・ナバロ、それに我々の間で悪名高き?オランダのアルバート・オスターハウス博士の話、更にアメリカのレビット厚生長官のベトナム生鳥市場の視察、ハノイ、バックマイ病院グエン・タイン・ホイ医師らのの罹患体験、そして最後のベトナム国立衛生疫学研究所副所長レ・テイ・クイン・マイさんの締めに至るまで、我が国の報道と比較して片寄らず公平で分かりやすいことでまるきり異質のものとさえ感じた。

ただその話の内容から実際H5N1がらみのパンデミックが起きた場合、それに効くかどうかも分からぬワクチンさえ全世界で生産できるのは3億回分に過ぎず、とても一般に施すどころではなく、抗ウイルス薬も一番対策のすすんだイギリスに於いてさえも、ワクチン同様不愉快でも投与の優先順位を決め、先ず医療関係者からとするなど、一般人は埒外に置かれても文句はいえそうにない。

とすれば1918年のスペイン風邪の時と実際は何ら変わりは無く、むしろ20億の人口が64億に増えた分だけ危険度は増したようなもの。せめて鶏の段階でくい止めなければと云っても、日本だけLPAI如きを懸命に殺し続けてもどうにもならぬことは、ベトナムの現状を見てもはっきり感じます。況んや実際はアジアで最もその方面の医療機関などが充実していて、報道をみても我が国などより、むしろ透明度が高そうなベトナムで世界の3/4の発症事例が集中していることなどから、周辺国での隠れた事例が想像できて、我が国の厚生労働省の新型インフルエンザに備えた行動計画など机上の空論も良いところだと本当に考えさせられてしまいます。

H 17 12 3. I,SHINOHARA.
No.17032