H5N2といえばメキシコのワクチンを想定する位で、早くからのワクチン接種で過去10年以上HPAIの発症を押さえて居ること知られていて、むしろ永く同じワクチンを使い続けていることでUSDAのD.L.スアレスチームのVirology誌の論文などで叩かれていたが、そのアメリカは2004年、テキサスで20年振りのH5N2HPAIの発症があったという。なかなか、もう過去の型とは言えぬらしい。 アメリカの研究記事で奇異に思うのは、いわゆる内蔵型ニューカッスル病を必要以上とも思えるくらい恐れて居る点で、日本のように昭和40年初頭、いきなりそれにやられた国と感覚的にも違うのだろう。最近の論文など鶏の疾病としてはことごとく同列に扱って居る。ワクチンまでもRecombinant Paramyxovirus Type1−Avian Influenza−H7−Virusを両者をプロテクトするために研究しているという。H7もヴァージニアのターキーなどでH7N2が多発して捨て置けぬらしいし、一方でインフルエンザパンデミックに対しては当面H5N1とともにH9N2も再集合ワクチンの候補として考えているらしい。 話はそれるが、効く効かないは別にして、町の病院からタミフルが消えた。問屋が持って来ないという。人間用のワクチンも大手のOOO製薬が失敗したので予定の半分にも足りないとか。タミフルはロシュの生産量の8割近くを日本が消費したというが、問題にもならぬLPAIの殺処分にも念を入れて大量に使ったとなれば耐性が出来ても、市中になくなっても不思議ではない。 さて、前回取り上げた、鶏卵肉情報の11/25号での記事で大槻教授が「備蓄ワクチンは茨城株に効かないから使えない」とする発言の真否は、よく確かめる必要がある。私達が、何でもない鶏を片っ端から殺すことを避けるべく「茨城株相手にせず」と主張するのと逆に、茨城株相手に全面対決で望んで居る国や行政にとっては、想定以上のウイルスの拡散を防ぐ上で、備蓄ワクチンが効くか効かないかは大問題のはずである。その大問題を一委員の雑誌上のコメントで済ますわけには行くまい。 そのコメントによれば、根拠とするところは2004年のUSDAの研究者によるVirology誌掲載の論文で、上記シュアレス論文同様、反対意見も数多く、検証もすることなく、それをそのまま受け入れて「備蓄ワクチンは効かぬ」と決めつけるのは、あまりにも科学者の態度として杜撰すぎるのではないだろうか。これでは茨城の官側による惨状を見て、せめて備蓄ワクチンの使用をと要求している養鶏団体を鼻白ませるためだけの発表と見えてしまう。備蓄のメキシコ株ワクチンはグアテマラでも使用されていて効果も確認されている。大体幼雛に対して不活化ワクチン1回接種で2週後に攻撃するなど無茶過ぎる。不活化ワクチンなら、規定どおり2回接種をしたうえでチャレンジするのが常識ではないか。 大槻委員といえば、、メキシコでの偽ワク調査の結果はどうだったのだろうか。あのような相手国を馬鹿にしたような調査で、快い返事が貰える訳は最初から無いが、これも何もなかったでは済まされぬことだ。われわれ現場とすれば、本当は無責任な学者たちをなじって居るひまなどあろうはずもない。2年目の危険期を迎えて(どういう訳かそう云われる)強毒型の発症をヒヤヒヤしながら窺っているしかない有り様だ。 H 17 12 1. I,SHINOHARA. No.17001 |