鶏飼い時事(じじい)…『 ウイルスが改めて動き出したか』



寒冷期に入り、鶏も呼吸器症状が多発する季節になった。ウインドウレス鶏舎に閉じ込めた以外のウイルスも動き出して来るだろう。拡散させる懸念もあろうが通常は廃鶏処分することによって、より重篤化しないように、病気が溜まらないように心掛けてきた実情もある。人間がゴホンゴホンする季節は鶏も豚も同じであり、特に一切の投薬が許されない採卵鶏の場合は淘汰する以外方策はなく、またそれによって経営自体も成り立ってきたといえる。だから今度の茨城県の事例のように、何時迄もウインドウレス鶏舎内に大量の鶏を閉じ込めて置くのは一面危険なことでもある。育成中に施した基礎免疫の為のワクチンもどんどん切れて行き全く無防備状態となる。

実際のところは分からないが、もしそれらの基礎免疫がAIに対して、たとえ幾分なりとも効果があったとするなら、それが無くなる時期を待って環境中のウイルスも動き出しかねない。ここ数週間の感染の新たな動きをそのように見るむきもある。

夏の間は全くの無症状でも寒冷期になればEDや軽い呼吸器症状は出てくる気遣いもある。いや少なくともこの数年は産卵ピークが出ない悩みは一般的ではなかったろうか。誰もそれを潜在的なAIに結び付けなかっただけである。最初のアレバメントカントウの場合も繰り返しの病性鑑定を経る事で初めて確認されたのであり、よほどの熱意がなければ発見は不可能だった気がする。通常はとっとと淘汰されてしまうからに外ならない。本来では貴重な体験であり記録である筈が、全く気の毒な結果になってしまった。

流感が出た幼稚園では、最初の一人の発症に注意して教室を閉鎖することが大切である。鶏の場合もいち早く淘汰して鶏舎を空にする以外ない。殺処分に係る法定伝染病だけが鶏の病気ではない。通常の疾病でも治療は一切行われず処理場に送られる。従って廃鶏処理場は病気の溜まり場ともなる。したがって、そこに監視員をおいて監視しているのである。

よほど公衆衛生上問題になる病気以外は事実上それで浄化が計られて来た訳なのが、今度のAI騒ぎで根底から覆され混乱しているばかりか、廃鶏処理をせき止めたことで、新たな危険を招来しているともいえる。

H 17 11 23. I,SHINOHARA.