『TS様への手紙』



TS 様 貴酬
何時もご指導ありがとうございます。
所 秀雄先生の文章拝見して感激いたしました。やはり突き詰めて行くと現場での考えは同じようなところに行き着くものですね。それにしてもまだ40年前の方が今よりもマシだったと思います、大は大なり小は小なりに自分で考えられたのですから。今は思考力そのものが無くなっています。私自身、当時のその現場での経験をもとにあれこれトライしながら現在まで来たのですが、気管支炎一つをみても野外毒はごろごろしているし、ワクチンはハイデオのサルスベリ/コネチカットと少し後のデュファ/マサチュセッツしかなかったので攻撃試験も簡単でした。そんな中で干渉作用を見つけたりしました。県からは怒られたものの家衛試への検体持ち込みは事実上フリーでした。

ハチクマの資料もありがとうございました。ナベヅルなどの長靴族が非武装地帯を休憩地としていたり(金教授などはそこがあるから北からの侵入を防いで居るなどと云って居ます)ハチクマが危険地帯をわざわざ寄り道して来るなど、AIの侵入路は増えるばかりです。また西欧諸国がそれよりもずっと危険だとしているペットバードの問題など、日本は生鳥市場がないから安心などと云って居たら実際は無数のペットバード屋があって最近までノーマークで自由に家庭に入り込んで居たなど、ちょっと考えると落とし穴だらけで学者の云うことも専門以外ではデタラメに近いですね。
その彼らが国策のもと、これだけのmiss leadを重ねて来たのですから、今更何も言えなくなって当然で、これはこれで困ったことです。さりとて韓国のように家禽を飛び越えて国民がパニックを起こすようなやり方をされるともっと困ります。しかし日本も嫌でもそれをなぞることにはなるでしょう、時間の問題です。

さて現場からの推察です。飛沫核感染が主体のAIは、事実上空気感染のIBは無論のこと、同じ接触感染のNDよりも感染速度は遅いようです。今のところILTと同程度かなと思って居ます。
過去のND,IB,それに部分的にはILTでも体験しましたが、感染速度の速いIB以外は初発の数羽が発見できれば、それを除くことによって続発は手持ちの類似生ワクチンによる、交差免疫でなくても恐らくは干渉作用によって防ぐことができました。更に特異型ワクチンであれば免疫も期待出来ます。
NDでさんざ体験済みですが、早期発見除去が何よりも大切で初発の2〜3羽のうち(開放鶏舎の場合)ならワクチン無しでも続発には1カ月はかかります。ただ通常の管理では最初の数羽を見逃すことがほとんどで早期に報告されたとしても初発から1カ月は過ぎて居ます。

だから各飼育現場で、完全な監視が可能だとすれば、それだけで大規模発症は避けられると思います。尤も今のように無症状の陽性鶏まで摘発淘汰するとなると話は別ですが、それは40年前、所先生がいみじくも看破されたようにウイルス対策には全くなりません。無論こう云うとNDとAIは違う、AIは変異するから危険だと大部分の現場が検証もしないまま思い込まされています。しかしウイルス対策は基本的には皆同じである筈です。変異はしても大槻教授の実験の範囲だと思います。
とりあえず年内くらいは大突発は押さえたいものです。皆様に宜しくお伝えください。

H17 10  26. 篠原 一郎 拝。