『鳥インフルエンザ問題の今後(104)』



前述したがペットバード輸入の問題で、ここ数日、各国がこれだけ警戒視して居る中、我が国の感染経路チームの寺門座長は、ただオフィシャル発表がないというだけで、それを除外してしまっていた。9月2日、それと同じ観点で喜田小委員会長は、選択肢をヤミワクチ一本に絞り、農水省の事務次官は茨城県が実名発表した養鶏場の刑事告発まで口にし、その報道は全世界を駆け巡り、まさに国辱物であった。

その寺門座長の<鶏の研究誌>での発言とは次のようなものである。(11月号P16)
「過去に米国ではオウムからウイルスが検出された例がありますが、それらペットバードを介して進入(ママ)したケース。しかしながらオフィシャルの発表では、それらペットバードの輸入実績はないとされています。」

故に2日の小委員会で消去の対象にされた訳だが、開いた口が塞がらぬとはこのことである。それを反省するどころか、遮二無二推し進めて、無駄な国費を使ってメキシコくんだりまで人を派遣してラチもないことを面子のためだけに調べ続けるようなことをして、どんな効果が期待出来るのだろうか。

T氏のメールによると、今年の8月31日までのペットバードは動物検疫の対象外で9月1日から施行された“原産地での証明書(或る一定期間の現地での観察義務付き)”による輸入申請となったことから、今までは、オフィシャルな実績発表はないが、一方で、日本獣医畜産大学のHPによれば、判別したものだけでも、約17〜18万羽/2002年/年間、ものペットバードが検疫無しで輸入されているとのこと。(http://www.nvau.ac.jp/022topics/001.html)その他、未分類の生物(?)は数億とのこと、それが事実なら寺門、喜田氏と農水の発言の無責任さは呆れたものである。

この無責任極まるヤミワクチン追求問題は、防疫にとって最も危険なこの時期に、他のあらゆる重要案件を差し置いてまで続けられて居るからこそ国賊に等しい行為だと繰り返すのである。
肯定するわけでは決してないが,ヤミワクチンは何処の国でも必ず出て来る問題である。しかし今回のようなことは茨城全体で造反的に行いでもしなければ有り得ないことだ。あるいはものすごく先進的な頭脳の持ち主がいて、予め鶏に親和性が高く、全くの無症状で、且つ抗原的に異質で、通常の検査に引っ掛からないタイプであることを熟知して生物テロ的に敢行したのであれば別であるが、皮肉な云い方をすれば何事にも保守的な獣医、畜産界には良い悪いはともかく、たとえ望んでも得られない頭脳であろう。

さてここ数日、密輸船拿捕のニュースに始まり、南米スリナムから英国に輸入されたオウムがH5N1陽性であり、同国からは日本へも輸入実績が有るというからには、今回の茨城の事例も考えられる範囲の結果で、その危険な輸入鳥の存在を公式記録がないからと、早々除外してかかった小委員会や感染経路究明チームの能無し振り、農水の無責任体質には我慢も限界といえよう。

H 17 10 24. I,SHINOHARA.