茨城の殺処分が終わって一段落である。 まあ官のほうは、伝貧や炭疽のときのように喜田委員長あたりの叙勲でもして終わりだろう。殺処分を指揮すると云うことは、公的には、そのことで国民を疫病の危険から救うことであり、功一級である。それだけに熟慮もして貰いたい訳である。ひきかえて業者側は大変だ。聞くところでは何軒が存続出来るかと云う話だし廃鶏業者も困っている。ひどいもんである。 作業員の方が一人亡くなったという。これから多くのトラウマに悩む人達が出て来るのは何処の国でも同じだ。茨城県の負担も大変だろう。 さすがに、これだけ強制的にやられた後は当分何も出なくなる。業者も歩かなくなるし情報もぱったりだ。10月に入り北風が吹くようになると北からの渡り鳥も姿を見せ始めるが、いろいろ噂が立って、実際表面化するのには普通数カ月はかかる。これで一応暮れまでは大丈夫そうだ。養鶏場も危ないからと云っていつまでも入雛を控えているわけにもいかない。現在はどこも普通に補充している。 日本の近代の養鶏は借り入れまでがローテイションであり、ストップさせれば忽ち倒産の憂き目をみるところが多い。集団自殺のメンタリティといえなくもないが、それだけにお上には逆らえぬ。国全体として見れば農業の自立など、どうも出来っこない。 目を国外に転じれば、ジャカルタ中心に騒ぎの広がったインドネシアはバリ島のテロ騒ぎでそれどころではなくなった。代わりに世界第二位の養鶏国ベトナムでのワクチン不足が報道されている。確かに簡単にワクチンをと云っても、これだけ広範囲の発生では、実際使うとなれば間に合う筈がない。受精卵を使った製法では、種卵を転用したくらいでは間に合わない。その種鶏自体がやられたり、イタリアやオランダのように国内生産が壊滅的になったりすれば、日本でも必要量を確保することなど出来っこない。NDの時も奪い合いだった。そのうえ鳥フルワクチンは抗原採取が難しいと云われる。恐らく日本で許可されても、実際の入手は困難だろうと思われる。奪い合いになるのは必定である。 そう考えると、我々はワクチンを要求しつつも、実際はそれに頼ってばかりはいられない。その時は、国内生産は目茶苦茶だろうから生産もおぼつかないし、手に入る訳がない。NDの時はわずかなワクチン入手の為に薬屋のプレミヤムで倉庫が一杯になった経験がある。だから、特異ワクチンに頼らない 競合排除や干渉を、業界全体で研究して行こうという訳だ。 すべて国が決めてからでは手遅れなのである。 H 17 10 4. I,SHINOHARA. |