岡部センター長の言葉を信じよう




日本バイオロジカルズKKのホームページを拝見してAIに有効な不活化ワクチンが存在し、国に対しその使用許可を申請していることを知った。それなのに各県などの緊急対策会議などでも、もうすでに強毒型AIの発生をみているにもかかわらず従来の国の防疫マニュアルを踏襲することを確認しているだけで一向に危機感が感じられない。役所側も養鶏業者も、最早過去のワクチン未接種の頃のNDの恐ろしさ、IBによる痛手をご存じ無いんだろうなと疑ってしまう。

私自身は息子たちの小さな養鶏場をのぞき込むくらいで至って無責任な立場だがそれにしてもこの業界の、伝えられるノーテンキ振りには首をかしげざるを得ない。昔話をひとつ。昭和43年頃と思う。やはり清浄化をうたって居た国も最後には生ワクチンを許可し確実に接種さえしていればこわい病気ではなくなった。そんな頃、某孵卵場主催の鶏病についてのパネルディスカッションが信藤さん、椿原さん、関さんらを迎えて川越で行われた。その時の我々の悩みは最早NDではなく関東地方2度目の大流行となったIBに移っていた。若雌の無産鶏が続出した。ワクチンは台湾からの密輸物があるとかの話だけで許可はされていなかった。その後デュファなどのワクチンが使えるようになるまで各自が自営せざるを得ず、内緒で野外毒を採取して生理的食塩水に溶かして保存し、当時コリーザに行ったのと同じ手法でヒナに投与した。数日後しきられた育雛舎内は波打ち際に行ったようになる。10パーセント位の無産鶏はでたが識別が容易で以後外見は異常がなくて正常な産卵をせず廃鶏処理業者に訝られるような鶏は出なくなった。

でその講演会でわたしはIBワクチンの必要性を訴えた。いつも相談していた椿原さんは黙って居る。関さんは椅子に伸び上がって大あくびをした。それいらい関さんは大嫌いになり信用もしなくなった。家衛試に押しかけて椿原さんに抗議した「先生なぜ黙っていたんですか」「いやあ課長(信藤さん)が居たもんで」と彼は頭をかいた。それでいくら理解してくれていても研究者の段階ではどうにもならないんだなと悟った。

そこで今の話。聞き方によっては暴言ともうけ取れる国立感染病研究所 岡部さんの「鳥小屋を見に行くようなバカはするな」ということば。山口の発症鶏舎はのぞけっこないのだから、これは学校、公園などを含めた広範囲な鳥小屋の話だ。その責任ある人の発言として考えると、もう研究者の間ではワクチンなしでは手が付かない状態のところまできて居るという認識が広がって居るのだと思う。それで昔の話を持ち出してみたのだ。

一飛び千里の渡り鳥と隣国の状況に対して半径30キロの移動制限、厳重監視と言いながら実際は電話一本での確認作業 、世界的に見たって強毒ウイルスにやられてなおノーワクチンで済んだ例なんてあるまい。生鳥市場がないから安全なんて戯れ言を鶏ペストに対して本気にするほど我が国の研究者は馬鹿ではあるまい。岡部センター長の言葉を研究機関の本音と受け取って業界としてNBIと一緒にワクチン運動を起こすべきと、この元阿呆の鶏飼いじじいでさえ思うのだが。

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