鶏飼い時事(じじい)…『農政も民営化を目指そう』



養鶏業界も、元はたかがLPAIの判定問題位のことで、殺処分、偽ワク疑惑と進んでちょっとした修羅場になってしまいました。そんな色めき立つことではなく、ボタンの掛け違えに過ぎなかったのに。だってそうでしょう。水海道事件は一旦は落着したあとで、埼玉でたった一羽の陽性鶏が出たばっかりに<千丈のの堤も蟻の一穴>の仕儀と相成ったのですから。

我々農民の目から見ても、農業ほど保守的な世界はありません。養鶏だって同じなのだけれど、それでも最近は日本を二分するような超大型経営も育って来、それを追いかける形で大型化を狙う人達も多く、一昔前、愛鶏園創業者の斎藤虎松先生がカリフォルニアのゴールドマン100万羽養鶏を追いかけて、日本でも「ゴールドオク出でよ」と鶏友誌の随筆で呼びかけたのが現実になりました。

こうなれば農政民営化はもっともっと進んで良い訳です。それに立ちはだかって居るのは、やっぱり霞ヶ関と全農さんでしょうか。小委員会の人達の言動も問題だけど、そこには委員の本音も見え隠れします。問題は皆が言い出したけれど事務局のほうで、官僚はことごとく、自分達に都合の良い《清浄国論》のほうへ委員会を引っ張ろうとしますから、その独自性を守るためなら、意志決定のプロセスから事務局を遠ざけるべきだとする意見もありましたよ。

養鶏も大手経営になれば、皆自前の研究所を持って居るし技術陣だって豊富だから、自分とこのサーベイランスくらい簡単に出来るのです。頑張って居る民間のラボもあります。民間車検だって、公、民が同じものを検査すれば差が出るのは当然で、それはなんでも同じです。問題は環境汚染も調べずに、養鶏場だけを寸分の狂いも許さず摘発しようとする態度です。これが実は《清浄国論》の怖さなのです。すべてがそこのせいにされてしまうのですから。これでは民間の獣医は全く動けません。

産業側の獣医は、ある程度、環境も分かって居ます。豚などの状況も分かって居ます。鶏だけ、全く陽性の気もないというのは寧ろ不自然なこともあるかも知れません。車検で、その部品があとどのくらい持つか判断して交換するかしないか決めるのも整備士の腕です。Igも調べて古い感染を認めたとしても、現在将来にわたって影響ないと考えれば特別問題にしないかも知れません。それらを一切考慮せず、十分使える物でも古い部品は全部交換しないのは手抜きだとされたら、安全と経済性を両立させる民間車検場は堪らないし、客のほうも無駄な出費を強いられることにもなります。

実際の事情は分からないけれど、安全性と関係のないわずかな判断差で窮地に立たされた有能な獣医さん達が居たとすれば、業界は自分達の為に弁護すべきと考えます。

世は挙げて規制緩和と民営化の方向に進んで居るのに、自分達の安全の為のサーベイランスくらい、やれるところは自分達でやるべきで「うちは自分で出来るから余計な手出しは無用、信用してください」でいいと思います。前にも云ったように国は野鳥などの環境の調査をこそやるべきなんです。
やれることは自分達でやりましょう。
そして無駄をなくす農政の民営化も推し進めましょう。

H 17 9 18. I, SHINOHARA.