ただ見れば 何の苦もなき水鳥の 脚に暇なき 我が思いかな ここ数日、ぱったりやんだ国内のトリフル関係の報道だが、見えないところでは、水禽に付いたウイルスの動きも、感染した家禽の処理も急ピッチなのだろう。或いは嵐の前の静けさか、そんなところを水戸黄門の歌によせてなどと呑気に書き出したら、また茨城の大養鶏場で100%の陽性反応が出た。一面、こうなることは分かって居たのであわてても仕方あるまい。もはや国も観念しているだろうから。 シベリア方面からの渡り鳥の移動に伴う強毒H5N1の家禽、豚等への感染懸念に対する、ヨーロッパ各国の対策が連日報じられ、2003年H7N7の流行で、3000万羽の鶏と一人の獣医の死亡、それに1000人以上(ママ)の人の感染を体験したオランダ、またドイツは政府の命令で家畜家禽を屋内に退避させることになったと伝える一方、動物愛護運動団体の活動が盛んなイギリスはそれに反対、イタリアはワクチンを強化するが、農家は政府に屋内移動を進言するなど、その対策はバラバラであるようだ。 そんな中でProMED情報、2005年8月24日編集のカナダのプレスをこちらの直訳のまま紹介する。読みちがいはご容赦ください。 Source Canada.com、 Wed 24 Aug 2005 屋内で鶏を飼うことで、云われるような鳥インフルエンザのリスクを取り除くことは出来ません。渡り鳥がトリフルの拡がりを引き起こすかもしれない脅威のために、神経質に多くのヨーロッパ諸国は豚や鶏を屋内に入れようとしています。しかしカナダとアメリカのリーダー達は、屋内にそれらを避難させることで強毒の鳥インフルエンザを防げる保証はなく、実際はむしろ彼らを、より病気に影響され易くするかもしれない、と2005年8月23日火曜日、強く主張しました。(中略)オランダなどの対策説明で重複。 カナダの公衆衛生エージェンシーのアーリーン キング博士は 渡り鳥がその飛行経路でH5N1を運ぶ危険性が、どの程度なのか計ることが出来ないとしたうえで、「それに私達はどんな野生の水禽類が来るのか知りません」と云いました。 ペリー ケンドル博士は2004年のブリティッシュ コロンビア州でのH7N3の突発で屋内で飼われた鶏が屋外にいた鶏より、むしろ無防備であったことを示した、と云いました。(中略) 「特に、小さいスペースに結果として多くの鶏を押し込むことで、より病気に対して無防備になる結果を生じて居ます。」 ケンドルは、屋内で鶏を飼うことで、それらが池の渡り鳥と接触することを妨げるかもしれないが、それが必ずしも鳥インフルエンザウイルスから鶏を保護することにはならないだろう」と云います。 農場の従業員はウイルスのついた野鳥の糞を自分達の長靴に付けて歩くだろうし、トラクターはウイルスを農場から農場へ移動させることが出来ます。 彼は「本当に伝染を鶏舎から締め出したいのなら、研究所にみられる程度までバイオセキュリティレベルをあげる必要があります。」と続けました。 勿論あまり正確な訳とは言えないが、実際の体験を踏まえての発言だけに、おのずと出来る事とそうでない事の区別を明確にして居るし、屋内飼育が必ずしもトリフルに対して有利ではなく、むしろ弱い場合もあることを経験から示して居る。 そこで言えることは日本一のイセ農場の施設をもってしても、そのバイオセキュリティレベルを無菌の研究所レベルに上げることなど出来っこは無い。ケンドルの説明に従えば、それなら返って屋外飼育の方が有利とさえ思われ、また実際それが今回の事例で証明されたことにもなる。 それと政策論争などでよく数値目標を示せ、と云って居るが、農水は我々に対してもそれを示してもらいたい。それによって例えばこんな質問も出来る。
とこんなに分かりやすくなること請け合いである。 また無作為のサーベイランスを続ける場合、地方でのゲル沈をHI試験に切り替えるのなら、これも、しきい値を示してもらいたい。4倍程度で非特異反応も考慮されずウイルス検査もなく摘発を続けられたら、それだけで本来病気に抵抗力のある屋外の鶏は全滅だ。 H17 8 26 . I, SHINOHARA |