日本テレビ取材への返答…
直売養鶏場としてのトリインフルエンザへの対応と近況


お客様の反応としてはこれだけの報道の中ですから、これまでで最大の影響が出ています。一方で牛肉、鶏肉、卵の輸入が途絶えるなか買いだめ傾向もあって、WHOのALERTが出たことで養鶏場に行くなら一緒に買って来てと頼まれるケースが増えたそうです。贈答に卵を使うのは気が引けるとか、相手が嫌がるという話は直接はないものの素性の分からないものは嫌だという傾向は冷蔵卵パックの影響です。笑えない事実に、中国地方からの注文、中国地方向けの発送が目立つことがあります。裏返せば卵はやはり必需品と云うことでしょう。

安全だが念のためという政府、行政の云い方は風評を押さえる段階を越えて、むしろ不信を買って居ることは、牛丼や焼き鳥に対する庶民感情の報道にみる通りです。安くて旨い物が、念の為という云い方でどんどん無くなっていくのは国民生活にもろに影響します。そうやっておいて便乗値上げを見張るといっても誰も信用しないでしょう。 輸入が減っても国産を増やすから大丈夫という農水省の云い方も、もう通用しません。まわり中の国がやられて、日本だけが山口だけで他はやられていないという状況は疫学的にみて、こんどはそこだという一番危険な状態だというのは皆分かって居るのですから。

7年前すでにトリインフルエンザの洗礼を受けたイタリーやメキシコはワクチンが実用化されて現在では安心な国になっています。それを見習って予め洗礼を受けないうちに防御しておこうという一部の警告は全く無視されて日本は無防備のままです。何時やられても不思議でないのに増産どころではないのです。ワクチンを使うことは国が許可しないので生産者としては鶏の生き埋めは精神的に耐えられず、自分の近くにきたら潔く廃業する以外ないのです。うちのお客様にも、もし入って来たら、いの一番に従業員を退避させるから少なくともそれまでは卵は安心です。しかし何時そうなるか分からないからすでに今年のヒナの搬入は中止、暮れの需要期はまたインフルエンザの流行期でもあり予約受注は出来なくなるかも知れないと伝えています。今いる鶏は国の方針で仕方ないかも知れないが新たなヒナの生き埋めは避けなければ鶏飼いの心ではありません。そしてワクチンが使えるようになったらまた再開すればいいでしょう。

日本政府がなんと云おうと、鶏の生き埋め(今の報道だけで耐えられない)を避けようとすればいまの日本では鶏は飼えません。生き埋め虐殺報道を見ているだけでこっちまでぼろぼろになります。消毒や防鳥などのバイオセキュリティだけでは限界があることを世界の先例が示しています。

鶏を守るにはワクチンしかなさそうで今のように鶏を埋け続けて人間を守るんだと云うやりかたはもう限界で実際的ではなくもう耐え切れません。ワクチンが許されることによってのみ鶏の生き埋めを避ける方向が見出せます。繰り返すようにいまはまず生き埋めありきで、初期の押さえる段階なら仕方ありませんが、もはや全アジアの流行です。各国が現実にワクチンで防御を始めました。そうなると当然ウイルスはきれいで抵抗力のない国に押し寄せる筈です。

ここでひとつ私の気付いたことがあります。皆が免疫をもっていないトリインフルエンザでも、やられるのは鳥を飼っている農家の子が多く、処理をするなど危険といわれる作業をした人に発症が少ないことです。このことは人間のインフルエンザと共通しています。H3N2のホンコン風邪などにやられた世代の抗体が交差免疫とやらでトリインフルエンザにも通用しているかもしれないと思ってリポートを漁ったら、そういうウイルスの変化にワクチンが効かない、つまり交差免疫はないといっているのは日本の学者(WHOも含めて)だけだというのもありました。世界の実状に合わせて考え直して貰いたいものです。