『鳥インフルエンザ問題の今後(55)』



《とき》様中心の書き込みサイト(笹山登生の政策道場笹山登生の掲示板)に《三毛猫屋》様が現れて論議される中に、飼養現場にとって貴重なご意見が多々あり、我々にとっては差し当たっての大問題であっても、一方で、如何にして消費者に忘れていて貰えるかに腐心する生産者側の心理に合わせて殊更無関心を装う業界が、ともすれば自分達も忘れてしまいがちな問題を議論して戴く有り難さ(生産者が自分で云うと即、自場の売上減につながる)は忘れてはならない。

政局を中心に時局は風雲急を告げる中、茨城で関係者の苦痛に満ちた30万羽の殺処分が終わるともう何事も無かったかのような国内の養鶏事情と裏腹に、ここ数日の海外報道は由々しい問題を提起している。なかでもREKOMBINOMICS研究所作成という野鳥におけるH5N1発生地域の各月色分け地図をもとに地球儀に印しを付けて行くと、素人考えながら今後H5N1がアジアだけでなく、カスピ海を越えて西のトルコからヨーロッパをも席巻しかねない。それほどシベリア地方、ロシア、カザフスタン、モンゴル(その南にはかの有名な青海省がある)一帯の自然宿主への有毒リターンは新しい大問題になりそうである。このことに付いての懸念をまとめたレポートに接したことがなく、かの陶淵明が都会の害毒を背負い込んで《帰去来》を決め込んだようなもので詩にもなりそうにない。

鶏卵肉情報誌《註1》にオランダの養鶏事情と今回の茨城のLPAI調査に当たられた民間ラボの加藤先生の手記が掲載された。オランダは二年前、一人の世界的に著名な一人の学者に主導されて無慮3000万羽の鶏を虐殺した悪夢の経験を持つ。今の日本のやり方はそれに通ずるどころかそれを手本とさえして来た。備蓄ワクチンでさえオランダ・インターベット製という徹底振りである。殺処分に携わった人達のなかには未だに精神的後遺症を抱える人達がいるとこの業界誌は紹介する。

また加藤氏はイタリアのインフルエンザ研究の第一人者カプア博士の言葉をこう伝えている
「我々は1800万羽の殺処分と、あまたの小規模生産者の犠牲を経て、ワクチネーションへの道をたどった。この歴史に学ばず、また悲劇を繰り返すことがないように、私は祈る気持ちで一杯である」
それなのに日本と来たら歴史に学ぶどころか、未だにひたすら虐殺の悲劇を追いかけている。それもたった30万羽で比較になるかという調子で、、。 

《註1》 鶏卵肉情報誌 名古屋市 瑞穂区 下坂町 1−24
株式会社 鶏卵肉情報センター
東京支社 TEL 03 3267 4595
FAX 03 3268 1106 伊藤 和夫

8月 10日号 1050円


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