『鳥インフルエンザ問題の今後(41)』



あるサイトでトリフルについて熱心に議論されている。養鶏現場にとって本当に有り難いと感謝している。その内容は現場同士の議論の場にもしばしば引用されている。

私たち現場は先導する喜田教授達の言動の矛盾を感じても、何とかその真意を探って、せめてもの実際役に立つ方策を見いだそうと懸命である。

そのサイトでの昨夜の議論の中心は農業情報研究所の記事であった。出典の中心は(40)で示したデビッド スアレスのレポートである。喜田さんたちはメキシコを貶すために、それらを利用しながら、不活化ワクチンがウイルスに重大な変化を及ぼすという点では、そのレポートに対してではないがはっきりナンセンスだと云っている。(XIV)

もとより我々養鶏現場は矛盾は矛盾だと感じたままに訴えればいいのだが、どこがナンセンスか位の見当はつかないと困る。そこで習ったことのおさらいをしよう。AIウイルスは何らかの抵抗勢力があると、それを迂回しようとして小変異を起こす。それをAntigenic driftという。毎年ワクチンに遭遇するわが国のA型インフルエンザ H1,H3の場合である。この変化については特に危険視されてはいない。

一方、問題なのは、ある宿主内で、それがウイルスの混合容器になり、新しい人間に取り付くようなリアソータントウイルスが生まれる恐れのある場合で、この変化をAntigenic shift と呼んでいる。

その考えで行けばスアレスの云うメキシコでの事例、即ち不活化ワクチンに遭遇したH5N2が単独でmajor antigenic differencesしたのはおかしく喜田さんにとってもナンセンスの筈である。可能性とすれば環境中の未知のAIウイルスを見逃している可能性が強い。ならばワクチンは濡れ衣である。

学者達の懸念はあくまでストレートに発症せず、摘発が困難で遺伝子組み換え、再集合のもとになりかねないサイレントエピデミックである。しかしワクチン以外の抵抗勢力のいない実験室内のような環境ならいざ知らず、清浄国と云っても日本は鶏、アヒル、人間、豚、馬、それに野生動物鳥類と実際は混合相手には困らない。先日のProMEDの動衛研の輸入鴨肉についての論文もH5N1と未知のウイルスとの混合を指摘していた。分かっている亜型の組み合わせが喜田さんのところの135、それに未知のウイルスの存在、繰り返すように混合容器にも事欠かない。いまさらワクチン危険論など反対の為の反対論でしかない。

にも拘らず現場の養鶏家の半分近くがいまだにワクチン反対のままでいる。これは予め国の施策に沿うように末端の獣医まで指導した御用学者達のせいもあり本当は国民に不利益をもたらす国賊であると再三述べたとおりである。

H 17,7 25. I ,SHINOHARA