『鳥インフルエンザ問題の今後(37)』



当局のマッチポンプ振りはどうだ。鳥インフルエンザの原因を養鶏場に押し付けて鶏を片っ端から殺し、一方で卵や肉は安全ですからとスーパーを回り、養鶏仲間もそれを評価する。何かおかしくはないか。

行政がどう云おうと鳥インフルエンザの公衆衛生への懸念は今週だけを見ても、まだはっきりしないというもののジャカルタでの死亡例。そして、ほとぼりをさましていた感じだが動衛検のProMEDへの投稿論文の内容からも、当局がいくら糊塗してもしきれないくらいに深まるばかりだ。この論文は実はほとぼりをさましていたどころか、海外の情報と相俟って、当局に対して痛烈な警告を発して居る 内容である。

WHOの尾身さんも当初はワクチン反対論者だった。しかし実際現地でアジアの惨状を見れば、もはや鶏だけ殺してもどうにもならぬことに気付かれたと思う。最近の言動は違って来た。
もともとインフルエンザウイルスを絶滅出来るなどと本気で考えて居る学者などいるわけはないが、それでも身近な鶏を殺して置けば幾分でも危険は遠のくと考えていた時期や地方はあった。しかし繰り返すように点として捉える事の出来る豚コレラとパンデミックも想定されるインフルエンザを同じに考えて良いはずが無い。周辺諸国の現状をみれば、それで疫学的な判断はつく筈だ。腸内寄生のO157のルーツを輸入のカイワレ種子に求めた同じ国とも思えぬ相も変わらぬ鶏だけを危険とする偏狭な考えは全く恣意的そのものである。

今回の投稿論文は一つの古い事例を通して、ウイルスが未知のインフルエンザウイルスを巻き込んでリアソータントしながら、生産物やマウスなどを通し、より毒性を強める可能性をもって環境中に広がり、ウイルスが風土病性でない国でも、哺乳動物への高い毒性を持つ可能性を示唆、同時に家禽での突発可能なソースとして警戒するよう述べて居る。

独立法人になったとはいえ動衛研の情報はすべて農水省が握って居るのに我々がそれを知るのはProMEDというのはどう見てもおかしい。「黒塗りの省ちゃん」(車とコメントや情報を塗りつぶす所業とかけて)と云われる所以だ。

このようにアジア全体としてウイルス汚染が深刻化し、環境中の諸々のソースから家禽群への伝播突発が懸念されているというのに、清浄国論を続けるわが国では、馬鹿の一つ覚えで渡り鳥からのウイルスによる養鶏場の発症が唯一のソースとしてとらえられ、今回は発症のみならず抗体を保有するだけで殺されるという、まさに加害者と被害者が逆転したままことが運ばれて居る。

繰り返すように公衆衛生面での懸念は増すばかりでアジア発パンデミックの危険性も高まって居る。そんな時、日本中の鶏を殺したってどれほどの 効果があるのか。否、殺す意味が本当にあるのか。それよりも本当に危険なものは危険だとして日本国民の精神の免疫力を高めて行くべき(大川総裁)ではないかと思う。実効もなしに国も何かやっているという見せかけだけで殺される鶏はたまったものでない。

H 17 7 18 . I, SHINOHARA

(別信) in vitro in vivo について有り難うございました。