結論としてNBIのキャンペーン、そして指導に協調することが
鶏を救うことになると確信している。



現在インターネットなどで入手できるあらゆる資料を検証したが、消毒と野鳥との接触を防ぐ以外、ワクチンが許されないうちは、せめてNBIの勧めるND,IB,Mgの局所基礎免疫をきちんとつけておくことがトリインフルエンザに対する唯一の有効策であると確信した。

問題はそれさえも今の国の示す方向とは合致しないということだ。それらの基礎免疫が有効だということは単に鶏の健康状態を良くしておこうということに止どまらないで交差免疫を期待していることに他ならないからだ。このことはその間に中和抗体以外の細胞性免疫が少なくともフィールドでは実感されてきていた(私自身の体験も含めて)ことを物語って居る。

NDのときもIBでも国の方針はいつも清浄化だった。これを阻害し続けてきたのがいつの場合も不顕性感染の存在だった。ワクチンの交差免疫を認めると当のワクチンを押さえても、あまり意味がない。

何故マレックが新鶏舎病だったのか、なぜ私が当時ワクチンなしでそれを押さえたのか。みなお山の大将方式だったのだ。其の考えを今回NBIに是正された。接種回数に頼るのでなく確実な基礎免疫を点眼で得るのだと。そのことは粘膜免疫の重要性としてMgワクチンを例にとり同社のシンポジウムで披瀝されている。確実なMgワクチンの点眼により、その粘膜免疫は鶏の一生続くという。いくら我が国の学者が認めなくても、30年前の我々の時代に既にフィールドでは体感していたことは私が述べた通りである。それを認めると我が国のワクチン行政が成り立たなくなるから世界でも類の無いくらい、交差免疫を認めない学者を押し立てた国になったのだろう。

国の方針に反し不顕性感染を助長する細胞性免疫への期待は、我々の現役時代から繰り返すように(お山の大将)方式としてワクチンのないときのIB,マレックの被害防除に役立てて来た。現場がそれだから根絶出来なかったとはその後の世界的情勢を見て、いくらなんでも言えまい。トリインフルエンザに目を戻せば、既に香港周辺でもH5,H9間の免疫交差が疑われ、それによるH5の不顕性感染が同政府の徹底した発症鶏の摘発にもかかわらず、防圧出来ない理由のひとつにあげられているとか。

いくら国の強権で学者をうごかしても、トリインフルエンザ根絶に支障有りとして他の正当なワクチネーションを止めることは出来まい。つまり交差免疫を認めた時点で清浄化の旗は降ろさざるを得ない事になる。NBIが正しいのである。 そして長い間の現場の感覚と実際他のウイルス性の感染症に対峙した経験からいうと明らかに喜田教授は間違いだ。

この期に及んでも大手のウインドウレス養鶏場はワクチン反対であると言う。NBIのいう基礎免疫はきちんと出来ているヒナを収容し完全防御しているし第一ワクチン接種出来る構造になっていない。また不活化ワクチンは現場では期待どおりに効かない事が多くブースター効果が出るまでは尚更だ。しかし今のウインドウレスは小鳥は防げてもネズミは防げない。そのラットのH5に対する感受性も問題なのだ。百歩をゆずって仮に自分が安全だとしてもワクチンに反対する理由はない。全アジアを覆うトリインフルエンザに対し、右向け右のままの、国のワクチン行政を変えさせて実際的に鶏と従業員をとりあえず守るのが我々の使命だと思うのだが。  

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