『鳥インフルエンザ問題の今後(33)』



鶏卵肉情報7/10号に大槻教授のH9N2に関する記事が出ていた。

われわれがこの情報を持ってから久しい。曰く、韓国では4割の養鶏場で陽性である。急激な産卵低下が主徴である。このコントロールのためこの暮れにもワクチンを許可するそうだ。いつも云うガセネタかも知れない。しかしこれまで述べて来たようにこの型はLPAIとして重要な位置を占める。人への感染例ではH1,H3同様危険ではあっても直接多臓器不全を起こすほど激烈ではないという。家禽のほうではLPAI対策の重要性は分かっていても、実際はHPAIに追われて手が回らない。そこでもろ刃の剣ではあるがフィールドではH9N2の細胞免疫を利用してHPAIの発症を防ごうとする機運が密かにあったこともガセネタとして聞いていた。韓国でHPAIが出ないのはH9の蔓延があるからだとする話も。見方によっては何とも恐ろしい話であるが、ホームページで南中国の例として何度となく取り上げたくらいで無関心な人は何とも感じなかったろう。

ガセネタとしては存在しても、それが責任ある形で記事になったのは今回の大槻教授が初めてかも知れない。そうだとするとそんな大事なことをなぜこんなにも長く黙っていたんだと云うことになる。信用問題である。そして問題なのは大槻さんが窓口となって韓国と協調し情報を共有してAI予防に成果を上げて来たとしていることである。それが何のことはない、ひそかにH9を利用していただけじゃあないかと云われかねない。にもかかわらず「H9をわが国に入れないようにすることが大切だ」とのたまう。おいおい、おかしいんじゃないか、無責任過ぎるんじゃないか。韓国と連携しているから大丈夫といっていたのはあんたじゃないか。H9を具体的にどうやって入れないようにするんだ。また小鳥対策の不備だとして養鶏場の鶏を殺す気か。

同氏はまた伊藤さんとのやりとりで、今回の摘発鶏のEDをIBによるものだろうと、また無責任な専門家振りを発揮している。 ウイルスをひねくり回すのは専門家だろうが、臨床面では現場の人間のほうがずっと詳しい。予後まで見ればIBと間違える訳がない。

伊藤さんにも文句を云いたい。なぜもう一つ突っ込まぬ。あの段階でとめては素人のキャスターと同じだ。(例えばH9の韓国での実態を知りながら、弱毒ウイルスは割合簡単に消えて仕舞うので感染が広がることはないといい加減なことを云っているなど全く無責任だ。こういうことを指して、私自身はあれは国賊だとラジオで云ったことがある。)すくなくともわが国の養鶏の生殺与奪の権利を握っている連中に対しては、それで食っている多くの連中を代弁する気でぶつかってくれなくては困る。もっともオフレコの部分まで書いたら次回からインタビューできなくなるか。実際、記事を確認してもらったら真っ黒に消されて仕舞った記者の話はしょちゅうだったから分からぬではないが 。

とまれ、わが国はLPAIのコントロール手段を持たぬままサーベイランスを強化するという。これも例えだが今回のウイルスがH9だったらどうしたのか。対象外だとして危険を承知で放置したのか。これを小委員会に諮れば殺せと云うに決まっている。想像力に欠ける発達障害の彼らのこと、それが無限の殺戮につながることは考慮しない、自分たちは痛くも痒くもないから、そうなってからワクチンでも使うかという話になるだろう。

日本の行政もこの業界もいたって保守的だと云われる。想像力などというものはまるで働かせない。だから当然予測できたことでも想定外にしてしまう。小委員会の面々は特にそうだ。

H17 7 12  I,SHINOHARA