農水省の鳥インフルエンザ問題を担当する喜田宏委員長の話を聞いて



NHK BS番組「キーパーソン」(24日午後6時)我が国で、鶏に防御策として有効と思われる既存の鶏用H5N2不活化ワクチンをNBIが申請して居るにもかかわらず何故許可しないのかという問題のキーパーソンとしての喜田教授のお話しを養鶏場のスタッフと共に拝聴した。そしてこれをNBIの資料、その他の信頼すべき情報と比較して養鶏場の立場で考察した。以下、対立意見は出典を明らかにできるものだけを選んだ。この際、同教授が日本政府によるトリインフルエンザ緊急対策専門家委員会委員長としてのお立場から、そのお言葉は国の方針そのものであるとして検証する。ただし学者はその信念、研究にもとづいて国の方針、権威などにも一切阿ることはしないのだという前提(曲学阿世の徒ではない)に立つ。

【1】『トリインフルエンザは特別な感受性の高い特別な人に対して肺炎を起こした』

(対立意見)
従来のヒトインフルエンザと違って多臓器不全を起こし、脳でも増殖した。
抵抗性マウスによる実験。ベトナム、タイなど農村部の事例。

(当場考察)
発症した鶏に近付くのは止めよう。自場に発生したら従業員避難を優先させる。経営者の責任上、人命に対し重大な方に留意するのは当然。


【2】『鶏肉についてくることはない。鶏卵は塩素消毒してあるから安全』

(対立意見) 汚染国からの輸入禁止。

(当場考察) 国の自己矛盾だ。付いて来なければ生産者も関係ない。何ゆえの禁止か


【3】『山口での処理が原因の続発はない。他からのはわからない』

(対立意見)
初発で同じ処理をしたベトナムの事例。隠していたタイの事例。

(当場考察)
経済的に云うに言えなくなるのはタイ政府も日本の業者も同じ。政府マニュアルでは弱毒が変化するはずがいきなり強毒の形で出た。弱毒が隠れていたとすれば何処にでも。


【4】『発生すれば即殺処分で押さえる。WHOも同じ』

(対立意見)
搬出しては危険。自場に埋ける場所は無い。続発したらお手上げ。

(当場考察)
WHO自体が今回は異常発生と認める。従業員は何時変異するかもしれぬウイルスの処理に近ずけるわけにはいかぬ。変異の危険を一番指摘するのは研究者自身だ。養鶏場員なら死んでも良いのというのだろうか。


【5】『Hタンパクが変異するとワクチンが効かない。Nタンパクも同様』

(対立意見)
Hが同じならNは型が違っても交差免疫が成立する。むしろNは異型をワクチン化することで自然感染と区別出来る。その技術はイタリーでも実用化している。 インフルエンザウイルスが抗原変異を起こしやすいことで、その有効性を総体的に否定するのは日本のみにみられる傾向。ワクチンは必要だ。

(当場意見)
例え部分的効果にせよ、また外国の例からも交差免疫を認めて使わざるを得ない。 喜田教授の研究結果を待って居ては、日本中の鶏がいなくなってしまいかねない。非常事態を受けて一刻も早く、日本の方針を変えるべきだ。