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管理人が興味を持った雑多な話題についての記事です。遂に公開開始です。 国鉄形電車の運転台には,車内放送用マイクと車内電話が一体となった受話器が設置されているのを目にした方は多いと思います。正式名称は「制御増幅器」で,鉄道車両の放送設備を手がける八幡電気産業製です。この受話器は,放送用押しボタンスイッチが消耗品ということもあり,JRの工場(総合車両センター)の一般公開などで売りに出されることが多く,入手された方もいるかと思います。しかし,実用性には乏しく,さらに壊れていることがほとんどのため,飾っているだけの方も多いと思われます。 このページでは,この受話器を放送用マイク・電話(インターホン)として実際に動かすためのテクニックを公開します。なお,このページに記載している内容は,すべての動作を保障するものではありません。ご自身の責任の下で行ってください。私(管理者)は一切責任を負いませんのでご了承ください。 壊れているといっても,実際には放送用押しボタンスイッチ(持ち手の黒い「放」ボタン)が不具合となっている場合が多いと思われます。アンプ回路やマイク自身が壊れていたらお手上げですが,スイッチだけなら何とかなります。 まず,5ピンコネクタのピンアサインは次の表のとおりとなっています (気動車用のものはこれとは異なります)。このコネクタは,一般的な「メタルコンセント」と呼ばれるもので,例えばヒロセ製ものが入手しやすいでしょう。ただし,ヒロセ製のピン番号と,この受話器についているコネクタ(YECと表示がある)のピン番号は異なりますので,注意が必要です。以下,一般的なヒロセ製のピン番号で記述します。
メタルコンセントの受け側(レセプタクル: HS21R-5)が入手可能であれば,そちらに配線したほうが何かと便利です。私はプラスチック・ボックスにレセプタクルと端子盤を組み込んだものを作りました。スイッチは電源用です。 受話器のコネクタのうち,まず電源だけ(1, 3番ピン)を接続します。12Vの電源があればよいですが,なければ006Pの9V乾電池でも動作します。この状態で音量つまみを“2”くらいに回し,受話器のマイクに話して耳元のスピーカーからその声が聞こえれば,内部のアンプは生きています。ここで何も聞こえなければあきらめましょう。 次に,放送音声出力(5,3番ピン)を手近なライン入力(例えば,パソコンのサウンドカード)に接続します。この場合,φ3.5mmステレオプラグ⇔先バラのケーブルが必要です。この状態で「放」ボタンを押してマイクに話してみましょう。ライン入力側のレベルは控えめに設定します。この状態で何の問題もなく声が出力されれば,壊れていません。しかし,ほとんどの場合ボタンを押しても声は正常に出力されず,何も聞こえないか,ボタンを押したときのブチッというノイズしか聞こえないでしょう。 そこで,受話器を分解します。スピーカーとマイクの部分のキャップを回して外し,音量つまみの上のねじを外すとカバーも外れます。 放送用スイッチの部分を拡大表示します。 このスイッチの部分が不具合となっていることが多いため,正常に音声が出力されません。そこで,以下のように細工をします。 この状態(これは正常品の状態とは異なります)で,ボタンを押しながら話すと声が出力されるはずです。あの独特な音質を味わえるでしょう。正常に出力されたら,元通りにしてあとはお好きな用途にご使用ください。 なお,もう一台持っている方は,電話入出力(4番ピン)同士を接続すればインターホンとして使用することができます。また,5番ピンの「放送制御」は,放送ボタンを押したときにGNDにショートする端子です。押していないときは開放状態です。実車では,放送用アンプの制御に使用されます。工夫次第でお手持ちのアンプの電源制御などに使えるでしょう。 |