「地方分権速報」(1998年12月分)

朝日新聞に掲載された地方分権に関する記事を、月単位でまとめて掲載してあります。

目次

○12/30地方議会、小会派の提案容易に 必要議員数引き下げ 自治省改正案
○12/25新税の可能性探る 県、地方税研究会を設置 /神奈川
○12/26交付税頼み、借金膨張 地方財政の硬直化進む
○12/22第6次勧告、先送りへ 地方分権推進委(永田町霞ヶ関)
○12/18「地方分権」逆行に波紋 介護保険、福岡で大広域連合構想
○12/17地方はピーピーのまま 移譲わずか1300億円 来年度税制改正
○12/9「空港や港湾、使ってなんぼ」 浅野知事、公共事業巡り持論
○12/6公共事業省はごめんだ 運輸白書(社説)
○12/3教授を失望させた省庁の壁(記者席)
○12/1年度内に地方分権推進計画

地方議会、小会派の提案容易に 必要議員数引き下げ 自治省改正案
年月日   1998年12月30日

 地方議会で既成政党に属さない市民会派など少数会派でも議案を提出しやすくして活性化を図るために、条例案などの議案提出と修正案提出に必要な議員の法定数の下限を引き下げることになった。そのための地方自治法改正案を自治省が来年の通常国会に提出する。地方分権推進委員会の勧告に沿って、現行の議員定数の8分の1から12分の1に引き下げる。これにより、大半の市区町村議会では、議案提出などに必要な議員はこれまでより1人減り、小会派同士の共同提出もしやすくなる。
 地方分権に伴い地方議会の論議の対象が増えることから、地域の多様な意見を議会に反映しやすくするためだ。自治省によると、議案提出などに要る議員数は、市区議会では、全体の4割を占める定数17から24までの議会で3人から2人に、同じく4割の同25から32で、4人から3人に減る。
 町村議会では定数九から12の議会で2人から1人に、同17から24の議会で3人から2人に減る。これらの町村議会は全体の5割強を占める。
 都道府県議会では、定数が最も少ない鳥取県(40)で5人から4人に減る。

○戻る

新税の可能性探る 県、地方税研究会を設置 /神奈川
年月日   1998年12月25日

 税収の落ち込みなどから財政危機に直面している県は24日、県独自の新税を設ける可能性などを検討する県地方税制等研究会を新たにつくり、初会合を開いた。危機を乗り切るための独自の税源策を探り、地方分権を進める立場から安定した地方税体系のあり方も研究する。
 研究会は地方の税制や財政問題に詳しい学者ら5人で構成。神野直彦・東大経済学部教授が座長を務める。
 研究テーマは(1)超過課税や法定外普通税など、現行の地方税制度の中で実施できる県独自の税源充実策(2)大都市圏の自治体にふさわしい地方税財政制度のあり方、の2点。
 県はすでに、法人県民税の税率を0.8%上乗せして5.8%に、法人事業税も0.55%上乗せして11.55%としている。このほかにも超過課税ができる税を探る。県が独自に課税する法定外普通税の可能性も研究する。
 「景気に左右されやすい大都市圏の地方税体系を改善し、安定した財源を確保する必要に迫られている」(岡崎洋知事)として、地方交付税制度のあり方や、消費税の税源配分についても議論する。
 県は2000年度末までの2年余りで研究の報告を受け、行財政運営に反映させる方だ。

○戻る

交付税頼み、借金膨張 地方財政の硬直化進む
年月日   1998年12月26日

 自治省が25日発表した1999年度の地方財政収支見通しと地方債計画によると、長引く不況と恒久的減税で自治体財政難が深刻化する中、99年度末の地方の借入金残高は、98年度末より10兆円増えて176兆円に達すると見込まれている。政府は、税収が減った分を地方交付税の増額で補うことにしているが、地方交付税のうち4割は借金が財源。地方債も2.3%増の11兆2千8百億円を予定している。自治省は11兆3千9百億円と見込んでいる公債費について「今後は数年間毎年1兆円ずつ増える」と予測しており、地方財政の硬直化は確実に進行している。
 99年度の地方財政計画の歳入・歳出規模は、前年度比1.6%増の88兆5千3百億円。98年度は財政構造改革の流れを受けて伸び率はゼロに抑えられたが、2年ぶりにプラスとなった。
 歳入では、地方税が8.3%減と大幅減収の見込み。その一方で、地方交付税を19.1%増やす。78年度の23.4%以来の伸び率だが、当時は歳入・歳出規模自体が2割近い伸びを示しており、自治省の担当者は「予算の全体規模が大きく変わらないのに、地方交付税だけこれだけ伸びるのは例がない」としている。
 地方交付税は所得税や法人税など国税の税収のうち、法律で定められた一定割合を自治体に配分するもので、地方税と同様、自治体が自由に使える財源だ。自治体にとっては、地方税の税収が減っても、地方交付税で補てんすることができれば表面上は不都合はない。
 政府は、自治体が自由に使える財源の割合を示す「一般財源比率」について、99年度は64.9%と今年度(65.0)と同水準を確保し、歳入総額に占める地方債の割合である地方債依存度も12.7と今年度並みにとどめることにしている。
 しかし、来年は国税もマイナスが予想される。20兆8千6百億円と見込まれる地方交付税のうち、国税の税収から法律に基づいて充てられる分は12兆3千3百億円しかなく、不足分を補うために、国の資金運用部から新たに8兆4千2百億円を交付税特別会計に借り入れる。これで交付税特別会計借入金のうち、地方負担分の総額は98年度末の17兆8千億円から22兆円に膨れ上がる。
 この借金は地方債と異なり、個々の自治体が直接償還の責任を負うものではない。しかし、将来は税金で穴埋めしなくてはならず、地方財政を圧迫しかねない要因であることは間違いない。地方分権が急務と指摘される中、国に依存するだけではなく、自治体独自の財源をどうやって確保するかを検討すべき時が来ていると言えるだろう。

○戻る

第6次勧告、先送りへ 地方分権推進委(永田町霞ヶ関)
年月日   1998年12月22日

 地方分権推進委員会の諸井虔委員長は21日、委員会後の記者会見で、国などから市町村に権限移譲をする第六次勧告案の検討作業について、当面先送りする考えを示した。検討内容に対して関係省庁の強い抵抗が予想されるためだ。また、行政関係検討グループ座長の西尾勝委員(東大教授)は「省庁から交渉相手にされなくなった」として座長の辞表を出した。大森弥東大教授(くらしづくり部会長)が後任に選ばれた。

○戻る

「地方分権」逆行に波紋 介護保険、福岡で大広域連合構想
年月日   1998年12月18日

 2000年4月に始まる介護保険制度について、福岡県下の全町村と一部の市でつくる広域連合で共同運営する計画を、県町村会が進めている。実現すれば、120万人規模で全国最大の広域連合になる。介護保険の事業主体は本来、個々の市町村だが、町村会は全町村のサービスと保険料を統一して格差をなくすという。介護保険制度は、大幅な裁量権を与えられた市町村が地域の実情にあった介護サービスを提供でき、「地方分権の試金石」と言われる。制度の理念とは逆行する動きに、自治労は「住民の意思が反映できない」と反対、福祉面での先進自治体も「自治体の責任放棄」と批判する。全国的に共同運営の動きが広がるが、住民の声はどれだけ反映されるのか。 (稲垣忠・編集委員 坪谷英紀・社会部)
 ■平等を優先
 「介護保険の導入で、市町村間に競争が生じ、財政力の弱い自治体は落ちこぼれてしまう。本来、国民は法のもとに平等であるはずが、住む地域で受けられるサービスに格差が生じるのはおかしい」
 巨大広域連合の推進役で、福岡県町村会長の山本文男・添田町長は言う。
 旧産炭地の筑豊地方にある添田町の人口は1万3千7百人。最盛期の40年前に比べて半減した。65歳以上の高齢化率は26%。石炭に代わる主産業はなく、財政事情も厳しい。
 全国町村会の副会長も務める山本町長は10月、全国町村会として小渕恵三首相に介護保険の県単位での運営と、導入の延期を求めた。
 福岡県町村会の動きは唐突だった。県内では市郡単位の生活圏域での広域連合などで共同運営する計画が進められていたが、町村会理事会は10月6日、来春までに全町村による広域連合を立ち上げることを申し合わせた。今月8日、非公開で開催された設立準備委員会の初会合に参加したのは73町村のうち71。町村会は市にも呼びかけたが、出席したのは24市のうち3市にとどまった。
 ■保険料統一
 自治体が独自の判断を問われるのは、介護サービスに保険料がからむからだ。介護保険では充実したサービスを提供した場合は保険料が高くなり、逆の場合は保険料が安くなる。その選択は市町村が住民の意思を反映させて決める。
 共同運営で保険料を一定にすると、サービスが充実していない市町村では住民は保険料に見合うより少ないサービスしか受けられない。充実している市町村も保険料が足かせになり、能力があっても十分なサービスを提供できない。
 このため、広域化の動きは全国で広がるが、保険料を統一する例は少ない。
 厚生省によると、介護保険の広域処理を計画しているのは10月末現在、全体の3分の2の2176市町村で397地域。その大半がサービスを受けるお年寄りの介護の必要度を決める認定作業に限られている。事業のすべてを共同運営するのは、佐賀市とその周辺の計18市町村(36万人)、愛知県東海市と2市1町(30万人)など29地域だけだ。
 ■「責任放棄」
 福岡県内の自治体の反応も様々だ。参加を断った中間市は「共同運営では市民の要望にこたえられない」という。一方、参加を決めた矢部村の担当者は「うちはデイサービスの利用率が高いが、広域化で水準を維持できるか不安だ。でも、医師が村に1人しかおらず、村独自で認定ができない」と話す。
 福岡県町村会は当初、県にも広域連合に加わるよう持ちかけたが、県は「あくまでも事業主体は市町村だ」と断った。
 一方、自治労福岡県本部は11月30日、山本町長と会談し、実情が似通った生活圏域ごとで運営する計画に変更するよう申し入れた。話し合いは平行線をたどり、市町村の12月議会で請願や陳情の形で反対運動を展開している。
 福間町では町職員労組が巨大広域連合参加に反対する請願書を町議会に出し、14日の委員会で採択された。本会議でも採択される見通しだ。
 同県本部の丸林和子副委員長は「町村会の決定は、住民の意思を問うことなく決められた。同一保険料では、熱心な自治体の努力が報われない」と語る。
 全国134の市町村が介護保険について情報交換している「福祉自治体ユニット」は11月17日、宮下創平厚相に全国町村会の要請に応じないよう申し入れた。同ユニットが前日に東京で開いたシンポジウムでは、福岡県町村会への批判が相次いだ。
 同ユニット代表幹事の1人の岩川徹・秋田県鷹巣町長は「介護保険は住民との合意によって行政が高齢者福祉に取り組むという、地方自治の精神が問われる場だ。介護は、現場により近いところで判断し進めるべきだ。福岡のやり方は自治体の責任放棄と言わざるを得ない」と話す。
 鷹巣町は93年、自治体としては全国でいち早く24時間ホームヘルプサービスを実施するなど先進的な施策で知られる。
 今春まで東京都三鷹市で保険年金課長をしていた高橋信幸・長崎短大教授(高齢者福祉論)は言う。
 「介護保険の導入で、住民は自分のまちとよそのまちの介護サービスと保険料を比べる。住民に批判されるのはかなわないと思った首長たちが『みんなで渡れば怖くない方式』に走った結果ではないか」
 来春、統一地方選がある。自分の住むまちの高齢者福祉施策のあり方を住民自身で考え、首長選びに生かす良い機会だろう。
 <広域連合> 介護保険のほか、ごみ処理など市町村の枠を超えて共同で事業を運営するために組織する特別地方公共団体の一つで、1995年にできた制度。国、県からの権限委譲が可能になる。住民が広域連合議会議員を直接選挙できるが、福岡県町村会の案では、各自治体の議会議員から広域連合の議員を選ぶ方法をとることにしている。

○戻る
 

地方はピーピーのまま 移譲わずか1300億円 来年度税制改正
年月日   1998年12月17日

 16日に決まった来年度税制改正に伴い、政府は約2兆2千億円と見込まれる地方自治体の税収減を補うため、法人税の税収のうち地方交付税として自治体に振り向ける割合を32%から35%に引き上げる。しかし、自治体が求めていた「国から地方への税源移譲」は、一本あたり約6円のたばこ税のうち、0・41円分、総額1300億円が国から地方税に移ったに過ぎない。これまで地方交付税を受けていなかった東京都など
の財政を支えるため、約8700億円の「地方特例交付金」が創設されるなど、国依存の傾向はかえって強まったとも言える。
 地方税の減収は、個人住民税で1兆1千億円、法人事業税で4200億円、法人住民税で2500億円と見込まれている。自治省は当初、財政難にあえぐ自治体の声や「地方分権推進」の看板を背景に、大蔵省に、「税源を国から地方に移すべきだ」と主張。5%の消費税率のうち1%分を占める地方自治体の取り分(地方消費税)を増やすよう求めたが、実現できなかった。
 代わって浮上したのが8700億円の地方特例交付金。減収分に応じて国が配分するもので、東京都には1千億円程度が配分される予定だ。また、地方債の「減税補てん債」も4千億円程度発行される。たばこ税で国の取り分を地方に移した金額は、減収分の1割にも満たない。

○戻る

「空港や港湾、使ってなんぼ」 浅野知事、公共事業巡り持論
年月日   1998年12月 9日

 「空港や港湾は造ってなんぼでなく、使ってなんぼ……」――。浅野史郎知事は、8日の県議会で一般質問に答え、公共事業の推進をめぐる地方分権について、事業の優先度は、住民の意見や要望などに日々接する機会が多い都道府県レベルで判断することが、より民主主義の機能を働かせることにつながる、との持論を改めて展開した。
 浅野知事は、10月6日付の朝日新聞「論壇」への投稿で、「高速道路や幹線的な国道、空港、重要港湾はすべて国が関与する事業と決めつけていいのか」と、大規模な公共事業の大部分が、国の直轄や補助金によって進められている現在のシステムに疑問を投げかけた。
 これについて、柏佑整氏(自民党県民会議)が「空港や重要港湾などは、国土全体の視野から国が整備すべきだと(私は)考える」と反論し、見解を求めた。
 浅野知事は、ドイツでは地方ごとに空港を整備して、航空会社や利用客への働きかけを競い合っている例を引き合いに出し、「日本では、いくら県レベルで重要と考えても、国が重要性を認識しないと事業に採択されない」と指摘。国の認識が、地元自治体が考える優先度や実情と必ずしも一致していない、と述べた。
 地方分権の観点から、財源移譲も含めて、大規模な公共事業の採択の判断や、執行を県レベルに任せる幅を広げるべきだ、との考えを改めて示した。

○戻る

公共事業省はごめんだ 運輸白書(社説)
年月日   1998年12月 6日

 お年寄りや障害者のために、全国の鉄道駅を改造して、エレベーターやエスカレーターを設ける。地球の温暖化を防ぐため、鉄道の建設を進めて国民に自家用車利用からの切り替えを促す。
 ことしの運輸白書が掲げる「新しい視点に立った交通運輸政策」の具体像だ。
 福祉や環境に重点を置いて社会資本を整備する、という方針に反対する人はいないだろう。駅のさまざまな障壁をなくすバリアフリー化の完成目標は、2010年度とされている。それでは遅いぐらいだ。
 だが、そんな説得力のある投資の陰に隠れるようにして、従来型の公共事業が運輸関係でも大手を振ってまかり通っている事実を見逃すわけにはいかない。
 代表例が、整備新幹線である。
 東北、北陸、九州各新幹線の新規着工3区間の事業費は、厳しい財政状況のなかで抑制することが決まっていた。しかし、景気対策の名のもとに解除され、第3次補正予算案にも事業費が盛り込まれた。
 国土を高速交通体系で覆う新幹線整備計画がつくられたのは、1970年代初めのことだ。並行在来線の廃止問題を含め、高齢社会と地方分権の時代にふさわしい計画なのかどうか、検証する必要がある。
 「地球環境への負荷が小さいから新幹線整備を進める」という運輸省の主張は、いかにも説得力に乏しい。3区間とも収支改善効果が見込めるとの試算も、着工を正当化するための理屈に聞こえる。
 建設費の特定財源になっている年間724億円は、JR本州3社が既設新幹線を買い取った代金の一部である。本来は旧国鉄債務の返済に回すべき金なのだ。
 旧国鉄は、政治家や官僚、地域の有力者らの都合で路線を広げ、赤字を膨らませてしまった。整備新幹線がその愚を繰り返すことにならないか、強い懸念を持つ。
 2001年に予定されている中央省庁の再編では、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁が統合され、「国土交通省」が生まれることになっている。公共事業の8割を支配する巨大官庁の誕生だけに、政官業の癒着がいっそう進みかねない。
 その一員となる運輸省には、公共事業をどう改革していくかの青写真を示す責任があるはずだ。
 白書は、費用対効果の分析や建設コストの縮減をあげてはいるものの、事業の根幹に切り込む迫力に欠ける。ばらまきの制度的な原因になっている港湾整備や空港整備の長期計画を、ゼロベースで見直すことから始めなければならない。
 東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州の4地区に、合わせて14カ所の水深15メートルのコンテナふ頭を建設する計画は、景気対策ではずみがついた。
 ユーザーの海運業界からは、「いまでも高い岸壁使用料がいっそう高くなるのでは」との疑問の声が上がっている。投資の集約化と運用面での効率化で、利用者のコストを下げることこそ先決である。
 国が建設費を補助する地方空港の整備も抑制すべきだ。離島など不採算が確実な路線であっても、ナショナルミニマムの観点から建設が必要な場合はある。それらを除き、受益者である地方自治体が住民の合意を得てつくるのが基本だろう。
 交通運輸分野では、需給調整規制が遅くとも2001年度までに廃止される。これで減る業務を、公共事業で埋め合わせようと考えているとしたら論外である。

○戻る

教授を失望させた省庁の壁(記者席)
年月日   1998年12月 3日

 地方分権推進委員会が揺れている。主要な委員である西尾勝東大教授が、行政関係検討グループ座長の辞表を諸井虔委員長に出したのだ。
 公共事業の分権を柱にした先月の第5次勧告づくりで、西尾氏は主役だった。国の直轄事業の厳しい削減案を当初出したことで、建設省は分権委を相手にしない姿勢を取った。その結果、勧告は大幅に後退を余儀なくされた。
 西尾氏は4次勧告まで各省庁の主張にも耳を傾け、現実的な分権策を進めてきた。それなのに、省庁側は公共事業の地方移管となると「省益」にこだわった。西尾氏は「座長役は失格」として、辞表を提出したという。よほどハラにすえかねたようだ。
 諸井委員長は慰留しているが、交渉役が不在となると、来春に予定していた市町村へ権限移譲をする第6次勧告は不透明になる。
 委員からは「最近の行革後退ムードで、省庁は権限を移譲する気はないし、自治体も歓迎しない。だれも喜ばない勧告はもうやめた方がいい」とヤケ気味の声も出ている。
 西尾氏は日本の行政学の権威でもある。霞が関には教え子も多い。その人さえ失望させるほど地方分権への壁は厚い。 (田嶋義介)

○戻る

年度内に地方分権推進計画
年月日   1998年12月 1日

 政府は1日午前の閣議で、地方分権推進委員会(諸井虔委員長)が11月19日に提出した第5次勧告を最大限尊重し、今年度中に勧告に基づいた地方分権推進計画を策定することを決めた。閣議で小渕恵三首相は「地方分権は行政改革を推進するためにも極めて重要な課題だ。計画的に推進したい」と述べた。

○戻る