Nikon New FM2

2000-04-16 version1.0

ニコンニューFM2について

紹介
 おそらく1984年頃に発売されました。もうずいぶん経っていますが、まだ販売されています(注1)。こんなことパソコンじゃー考えられないことですがカメラではありえるんですね。発売当時も今もこのカメラは世界最高のものを持っています。それは機械式カメラとしては世界最速の4000分の1のシャッタースピードとストロボ同調速度250分の1のシャッタースピードを持っていることです。これはすごいことで撮影にもだいぶん便利であります。最近の柔なオートカメラでは電気式のシャッター機構で8000分の1というシャッタースピードを出せてもストロボ同調速度250分の1は出せないですね。ストロボ同調スピードというのはシャッターの幕速に関係していて、ニコンNew FM2がかなり速いということです。そんなすんごいカメラがたったの5万円くらいで売ってるんだからこれは買わない手はないです。  ニコンNew FM2は一眼レフで機械式でオールマニュアル(すべて手動操作)です。一眼レフの割には軽量で、ファイダーの見えは暗いですがピント合わせはし易いです。もちろんフィルムの巻き上げは手動レバーで巻き戻しも手動です。露出(絞り、シャッタースピード)合わせもカメラに仕込まれている露出計(電池要)をファイダー越しに見ながら自分で合わせます。もちろんピントもレンズの距離環を回して合わせます。すべて自分が能動的に撮影技術に関わってくることができるすばらしいカメラであります。カメラを真面目にやりたい人にはもっともお勧めのカメラであります。
購入経緯
 わたしはNew FM2を購入したのは大学の4年のときでした。大学からタダで奨学金7万円をもらって、それと貯めていたお金5万円とで、20mmF2.8のレンズといっしょに買いました。奨学金の授与のときに先生に「変なことに使うなよ、いいか変なことに使うなよ。」と念を押されたことが強く心に残っています。このカメラを買う前にはニコンF-801を持っていてこれはオートフォーカスカメラだったので電池がなくてもちゃんと動くカメラがほしいなあと思っていたことと、そのころアサヒカメラという雑誌の連載に写真家のコンタクト(インデックスプリントみたいなもの)を見るという記事があって、そのころにあの写真集「センチメンタルな旅」(アラーキー)を取り上げていて、使用されたカメラが、なんとニコンFとニコン20mmF4レンズだったということがわかったことが買った動機となりました。知らない人にはまったく????ですが、機械式カメラと20mmを買おうかと思ったときにあのアラーキーの出発点となる写真集「センチメンタルな旅」にも同じようなセットのカメラを使用したと聞いたら、そりゃーちょいとばかし興奮します。ニコンFは1959年に発売された今はもう伝説のカメラですが、機械式カメラです。またレンズの方は20mmで超広角レンズなんですが、フィルム面とレンズ後玉が近いため、一眼レフでの使用にはミラーを上げて 使わなければならないという代物で今から考えてもマニアックなレンズであります。そのころカールツァイスにも20mmがあってカールツァイスの方が先行していたわけですが、ツァイスの方はF4.5でニコンの方は0.5明るくF4でその当時も「スゲー」ことだったに違いありません。とにかく20mmでアラーキー先生は「センチメンタルな旅」を撮ったわけですが、おもしろい発言をされていて、20mmっていうのは人間の視角をはるかに越える画角で”その風景は死に近い”といい、彼岸が写っているというのです。この写真集を見たある詩人が死の舟という詩を詠んだこともあり、とにかく日本写真界ではかなり代表的な作品であります。とまあまた関係ないことを書いてしまいました。
触感、見た目
外観はほとんど金属外装で全面ブラック塗装をしています。見た目はスリムでありながら頑丈そうという感じです。実際もつとこれまたやっぱり頑丈で、でもかなり軽量です。見た目は5万円と安いカメラにしてはしっかりとした働き者という感じでブラックでしまっているせいか高級感もあります。このカメラを持っているとときどきですが人に声をかけられます。写真学生のように思われるのかどうかわかりませんが、なかなか”イカシタ”カメラだと思います。最近のやわでデブなカメラと比較したら断然こちらの方がかっこええです。そういえばあの松たか子でしたっけ?女優さんですがこの方が表紙に採用された本では彼女はこのカメラのシルバーバージョンを手にしています。そうそういい忘れていましたが、他にはシルバーバージョンとチタンバージョン(ちょっと高め)があります。わたしはやっぱりブラックバージョンですかね。アラーキーのまねをしてこのカメラと20mmだけをつけてヨーロッパ旅行に行きました。軽量であったことがとにかく助かりました。そうそうこの旅行の時、大西みつぐ氏の言葉を引用して「旅は道連れ、カメラは情け、レンズは20mm」とうそぶいたものです。
操作感
可動部分というのは「巻き上げレバー」「シャッターボタン」「巻き戻しクランク」「絞り込みボタン」「シャッターダイヤル」くらいなもんですが、まず「巻き上げレバー」。高級感のあるものでは決してありませんが、ラチェット機構ですので扱いやすいです。「シャッターボタン」は大きくて押し込みの際にシャッターが切れる所が明解にわかりとても好印象です。「巻き戻しクランク」「絞り込みボタン」はまあこんなもんかというところですが、「シャッターダイヤル」はすばらしい。大きくて回しやすいです。いかにも機械式らしい「かち、かち」とクリックが入る所が良いです。シャッター音はちょっと大きめです。それでもってちょっとこうなんていうか安っぽい感じもします。「カメラの中でスプリングと歯車が飛び跳ねているような」音です。まあこれを楽しいと思う人もいるかもしれませんが。露出計は扱いやすいです。F3なんかより断然扱いやすいと思います。+と○と-を組み合わせて表示されるのですが、わたしなんかはスナップをやるときは、+○や○-なんかが出てもとにかくシャッターを切ることにしてます。すぐに判断を下さなければならないときなどに有効です。(ライカM6よりも明解ですね。)
最後に
総評するともうこれ以上のカメラはいらないということですかね。もう十分じゃないかというところです。これ以上もとめちゃうからいろんな無駄使いをしてしまうのだなという感じですね。うーん、絶賛かな?安いのにこれだけできて渋いとなるとけなす材料なんてありませんもんね。後は自分の腕だけって感じです。そうそうこのカメラは今時にしては、撮影者の腕をためすなかなか粋なカメラかもしれません。

(注1)New FM2はその後FM3Aという機械式AEカメラ→FM3Aへとバージョンアップされて、製造中止されました。(2007-12-02記) 


以上


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