硫黄島書籍NO.1 |
筆者は玉砕戦となったアンガウル島で戦って生き残った方です。戦後は大盛堂書店を切り盛りしつつ、
太平洋の孤島の玉砕戦の書物を何冊か手がけておられます。 本書の頭に掲載された図は「南部落工兵隊地下壕」の見取り図でひじょうに貴重な資料です。硫黄島 の地下壕陣地は、未だに詳細のわからない部分が多く、硫黄島自体が火山島で毎年地形の隆起等で大 きく変動しているため、もはや調べるのは不可能な状態になっています。実際の硫黄島地下施設の資 料は戦史叢書等にも載っていますが、本書に資料も硫黄島戦を研究するためには、ひじょうに有用な ものとなっています。
本編は硫黄島に師団長である栗林中将が赴任した時点から始まります。それまでの水際決戦を放棄して
地下陣地を利用した持久戦に持ち込み、少しでも米軍の出血を強要しようとした作戦変更と、その陣地
建設の苦闘を前半では描いています。
硫黄島に対する25万もの米軍が着々と作戦準備を進める中、日本守備隊も地下陣地を掘り進んでいき
ました。守備陣地はほぼ概成し、連絡壕の建設にかかった時点で、米軍の上陸が始まったのです。 |
硫黄島書籍NO.2 |
言わずとしれた戦記作家の第一人者である児島襄氏の書いた硫黄島戦記です。当然
文体慣れしたその文はたいへん読みやすく、あっという間に最後まで読切ってしまい
ました。 本書の流れは守備隊司令部や海岸線を守備していた部隊の視点を中心に推移します。善戦 したと言われる硫黄島守備隊ですが、作戦を読み取っていくと日本側も錯誤の連続でした。 しかし、基本作戦とその準備宜しきを得て、守備作戦の継続が可能となり、最後まで米軍 に出血を強要したのです。
守備隊の死闘化の状況や生活、絶望下の状況の中を如何に最後まで戦い抜いたのかが、詳
しく記述されています。硫黄島の死闘を読み解く中で、将兵がどのような気持ちで戦ったの
かを読み解くには最良の一冊ではないでしょうか。
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硫黄島書籍NO.3 |
日本で最も手に入り易い、米軍側から見た場合の硫黄島戦記です。硫黄島に対する米軍の
戦略と作戦指揮について余すところなく書かれています。 米海兵隊は、第3・4・5の3個海兵師団を硫黄島に投入しました。しかし上陸後の損害が続出し、 予備として第二派上陸部隊に指定されていた、第3海兵師団を急遽、前線に投入しなければならない ほどでした。日本側戦記の記述にも書かれていることですが、硫黄島は戦闘がなくても非常に生活が 困難な島で、数万人が狭い空間に上陸した米海兵隊は、日本軍との戦闘に匹敵するような衛生・ 休養を確保する戦いに苦しんだのです。
上陸後の1ヶ月間、日本軍の組織的戦闘が終了するまで、米軍は地下にこもった日本兵の奇襲に苦しむ
ことになります。前線が錯綜し、狭い戦場では砲弾が何処にでも到達するため、安全な後方も確保できず、
太平洋戦争でもっとも病院船が活躍した戦場になったのです。 |
硫黄島書籍NO.4 |
著者は小笠原集団で栗林中将の側近参謀として、作戦準備にあたった方で、硫黄島戦中は 父島せ切歯扼腕していました。栗林中将の人となりと硫黄島戦備について最も詳しく知っていた方 なので、硫黄島戦を紐解く上で欠かせない1冊だと思います。
本書の構成は前半が硫黄島戦、後半が沖縄戦で構成されています。沖縄戦はあまりにも広範に
広がる内容なので、薄く感じてしまい、やはり本書のメインは硫黄島戦の記述になってくると思います。
文章的には平易で読みやすく構成されており、かつ各種資料を自分なりに取り込んでいるため、内容も
充実しているかと思います。 |