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2000年10月8日号

なぜ高い 小矢部の水道料
富山県のダム建設を考える


富山県が無駄なダム作りに熱中してきた結果、8600億円の莫大な借金を築いたことが問題になっています。
無駄なダムの典型、熊野川ダム
9月27日付の朝日新聞の記事でも取り上げられた、神通川支流にある熊野川ダムがその典型です。このダムは、上水道を主目的に154億円かけて昭和59年に完成しました。当初、平成12年度には日量利賀ダムの建設予定地で。1999年秋10万トンの水道水を供給する予定でしたが、浄水場などの施設はいまだに作られず、全く利用するめどが立っていません。上水道で負担する建設費71億円のうちの約半分、37億円が借金です。水を売って借金返済に当てるはずだったのに、今は収入ゼロです。税金から年間4億円の返済を続けている現状です。
水需要を過大に見込んでダムを作りつづけ・・・
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。それはダムを建設する時点での見通しの甘さにあります。給水人口や水需要を過大に見込んで、それを満たすためには新たなダム建設が必要だと着手しました。
小矢部市は上水道用水源として、県から子撫川ダムの水を買っています。ここにも水需要の予測違いという共通の問題があります。
昭和46年に県が国に申請した、子撫川ダム建設を必要とする理由では、24年後、つまり平成7年の小矢部市の人口を46、000人と見込み、そのうち92%の人が水道を利用し、一人あたりの一日の使用量を454リットルと予測していました。
しかし、平成11年の資料によりますと、小矢部市の人口は35、000人余り、そのうち水道を利用している人は62%であり、一人あたり一日の使用量は334リットルと、すべて計画を大幅に下回っています。平成11年度の水の供給量は、昭和46年に予測した量の37%に過ぎません。
不要な水まで買うから、高くなる水道料
このような驚くべき大幅な見込み違いの結果、不要でも県から規定量の水を買わなければならない「受水協定」があるため、小矢部市は過大な受水費を負担せざるを得ず、市民は高額な水道料を負担させられているのです。
利賀ダムが完成すると湖底に沈む豆谷ダム現在、水道料金は、子撫川ダムの水を使うようになった昭和55年と比べて10立方メートル当たりで1・8倍となり、平均すると4人家族で一ヶ月、約7、500円にもなっています。水道料金が高くて困るという声がよく聞かれるのは、うなずけます。
水道水に利用するめどもないのに境川ダムも建設
県は、このような実態を反省することなく、岐阜県境の境川ダムの建設を進め完成させましたが、この境川ダムも水道水の利用はまだ行なわれていません。これこそ全く無駄なダムではないでしょうか。もし将来、境川ダムの水を県西部の水道に使用するとなれば、小矢部市の水道料金にも跳ね返ることになります。
そのうえこんどは利賀ダムに900億円
そのうえ、900億円の税金を使って、目的が明確でない利賀ダム建設もすすめられています。このような現知事の姿勢は納得できません。8600億円の借金をますます増やすだけです。
無駄な大型公共事業をやめて教育や福祉への予算をふやし、明るい富山県をつくりあげましょう。

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