「明るい小矢部」のひろばのコーナー
2001年1月号

学校にボランティア活動の強制は必要か


教育改革国民会議(森首相の私的諮問機関)が、最終報告を発表しました。この中で、大きな論議を巻き起こしているのが、ボランティア活動の義務化です会議の構成メンバーは、各界の著名な方が多く、個人的には尊敬できる人もたくさんいるのですが、この報告に対して様々な団体や個人から、批判が出ているのも事実です学校現場では「ボランティア活動」として渓明園や清楽園、ほっとはうすなどの施設との交流活動は、今でも行っています。十数名のボランティア委員会の子供たちとの交流ですが、非常に多くの打ち合わせや、授業時間が削減されないようにとか、お年寄りや園生の生活のリズムを崩さぬようにと様々な配慮をして、実現しています。これがすべての子どもの数日間の活動となると想像もつかない大変さですが、手間ひまの問題だけではありません活力ある子どもたちの訪問は、どんな施設でも歓迎されます。お年寄りや障がいを持つ方々は、子どもたちとの心の交流を待っておられます。介護や交流活動が義務だからとやってくる子どもたちを、待っているのではありませんそもそも、交流しなければ障がいを持つ人たちやお年寄りとかかわれないという弱者を隔離している社会のあり方に一つの問題があります。自分のクラスの弱い立場の友達に(普通級に様々な障がいを持つ子どもたちがいますが)やさしい気持ちをもてないで、どこかの施設で強制的にボランティア活動をさせられたからといって、心やさしい子どもが育つのでしょうか学校は、真理と正義を学ぶ場です。教師と子ども、子どもと子どもの間には、時間や手間がかかっても納得と共感の世界が広がっていなければなりません。偽善も内申書のためには必要、授業だからボランティアだろうが強制だろうがする・・・。実際には納得の行かないまま子どもたちは意味を探りながら戸惑いや不安の中で、活動するであろうことは目に見えています21世紀を担う夢と希望にあふれた心やさしい子どもたちの成長を真剣に考えるなら、学校現場で苦しんでいる教師や子供たちの声に、耳を傾けてほしいと思います。「30人学級で個性ある一人一人の子供たちをしっかり育てたい」「勉強がしっかりわかるようになりたい、学んだことでうんと成長していきたい」―これが唯一の願いです。

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