赤旗読者通信のページ
1998年12月27日号
目次
核兵器廃絶を明記した「非核小矢部市宣言」を 1998年12月議会での質疑
イ) 県内の宣言と小矢部市の「平和都市宣言」
福岡町の非核平和宣言
小矢部市の平和宣言
ロ) 核兵器廃絶が含まれるというのなら、なぜ明文化を拒むのか
ハ) 平和一般に解消できない核兵器廃絶の緊急性
ニ) 国連総会で核兵器廃絶決議に棄権する被爆国日本の政府
ホ) 非核の政府をめざす運動の意義
1999年9月議会砂田市議の非核宣言についての質疑
問答無用という態度が問題
福岡町に比べ立ち遅れた平和事業の原因に小矢部市の平和宣言が
防災フェスティバルと称して対戦車破壊ヘリコプターを持ち込むことを許すな
核兵器廃絶を明記した「非核小矢部市宣言を」
小矢部市議会の良識が問われる
砂田喜昭市議が12月議会で質疑
「赤紙配達員」というテレビ番組をKNBで2年前に見ました。戦時中の礪波市の庄下村で、兵事係をしていた出分重信さんの話でした。村役場の徴兵係として「赤紙」を届けた思い出を語りながら、一枚の赤紙を届け、その若者が戦地に赴き、骨壷になって返ってきたという、後悔の話でした。私は「村と戦争」という桂書房の本を読みテレビ番組も見て、深く考えさせられました。戦争と平和は、国の政治の問題であるだけではなく、地方自治体にとってもきわめて重要な話です。
ところで昨日からテレビでは、アメリカがイラクを空爆したニュースを伝えています。世界各国の対応に比較して、日本政府がいち早くアメリカを支持し、世界各国の中でも異常な反応として注目を集めています。
NHKの報道によれば、日本がアメリカとの間に日米ガイドラインを結んで、軍事的にも協力し合う約束をしたことが、同じ認識を持たなければならないことになった要因だといっていましたが、大変心配なことです。世界の国々は、自分たちの判断を持っているのに、日本だけはアメリカに従うということです。
そのアメリカが、クリントン大統領の不倫疑惑での偽証の疑いの目をそらすためにイラクを攻撃したのだとしたら、とんでもないことです。
日米ガイドラインで、その戦争に巻き込まれ、地方自治体や民間人までもが、米軍の後方支援への動員を強制されようとしています。来年1月19日から始まる通常国会にそのための法案が提出されようとしています。小矢部市職員の意思にかかわりなく、アメリカがひきおこす戦争に協力加担させられようとする法案が準備されている中で、こんどの平和宣言の議論が市議会で行われているのです。その意味でもきわめて重要な議論であります。
小矢部市議会では1988年以来、この問題で議論を繰り返してきました。当時の事情を知る議員はすでに6名しか残っていません。そこで、まず小矢部市のいわゆる「平和都市宣言」と県内の多くの議会が議決している非核平和宣言とを比べることから議論をはじめたいと思います。県内の宣言の例として、となりの福岡町の宣言を紹介します。
核兵器を廃絶し、世界の恒久平和を実現することは、人類共存の願いである。
わが国は、世界で唯一の核被爆国として広島、長崎、ビキニ、チェルノブィリの惨禍を人類の上に再び繰り返しさせてはならない歴史的使命を担っている。
美しい郷土を守り、豊かな暮らしを子や子孫に伝えることは、我々の責務であり地方自治体の基本的条件である。
よって、福岡町は憲法にうたわれている平和的生存権を確立するため、ここに核兵器を廃絶し、真の世界の平和を願う都市宣言を行うものである。
記
1.福岡町はすべての国の核兵器の緊急な廃絶を全世界に強く訴える。
2.福岡町は国是である「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を将来にわたり厳守する。
3.福岡町は戦争の悲惨さを子々孫々に伝え、平和を守る行政を行う。
非核平和都市宣言はこのように言葉の上でも明確に核兵器廃絶を訴え、それを読めば誰でも何を訴えているのかわかるようになっているのです。
一方、小矢部市の平和宣言は、
みどりと清流にはぐくまれた美しい郷土を守り、豊かなくらしを創造するため、ここに小矢部市は、憲法の精神に基づき、恒久平和の実現と人類福祉の増進に寄与する「平和都市」であることを宣言する。
これだけであります。事情の知っている小矢部市議会の当時の議員には、これが核兵器の廃絶を緊急課題として訴えたものだと「理解」できる人がいるかもしれませんが、市内の小中学生でだれでもそれが理解できるでしょうか。平和宣言は、それを読んだ人に「なるほど核兵器廃絶は大事なことだ、そのために勇気を持って声をあげていこう」という感銘を与えるものでなければなりません。ここに平和都市宣言の意義があります。
宣言文に核兵器を緊急になくさねばならないという趣旨が含まれているのだとしたら、なぜ明文化を拒まれるのでしょうか。誰にでもわかりやすくすることは、核兵器廃絶への世論を大きくするためにも重要なことではありませんか。
この際はっきりさせておかねばならないことは、小矢部市の平和宣言が、核兵器廃絶にふれないものになる恐れがあるとして、小矢部市民の中からも、核兵器廃絶を明記してほしいとの陳情が繰り返されたなかで、あえて核兵器廃絶に触れない宣言を強行した経過があるという事です。
当時、すなわち平成元年、1989年12月議会で、今回と同じような陳情を採択とし、平和宣言文を準備しているさなかの12月19日、市議会議長あてに、「核兵器廃絶・全面禁止」署名運動推進連絡会の代表から、次ぎのような要請文が出されていました。
「12月4日に提出した、核兵器の緊急な廃絶を訴える「平和小矢部市宣言を」との陳情がさる15日の総務常任委員会において、採択」と決定されたことを、私たちはたいへん喜んでおります。 しかし、聞くところによれば、それにもとづいて提出される「宣言文」には核兵器の一日も早い廃絶を訴える言葉が一言も書込まれていないものを準備中とのことです。これでは、私たちの願いとはまったくあいいれません。私たちは被爆国の国民として、核兵器の廃絶を願って、署名運動をすすめております。今の世の中で平和の尊さを否定するものは誰もいません。それにもかかわらず、人類を破滅させる核兵器はどんどん近代化され、蓄積されるに至っております。このことは、たんに「平和」をよびかけるだけでは不十分で、人類の生存とあいいれない核兵器の全面禁止・廃絶を訴えない宣言では今日的意義のないものです。」
当時、この要請を蹴ってまで核兵器廃絶に触れようとしなかった宣言文であります。今日核兵器廃絶の趣旨が含まれているといわれるのなら、誰にでもわかるよう改めることに、何のためらいがいるのでしょうか。
先日の総務委員会で「平和を考えるうえで、核の問題は避けられない」という意見がありました。しかし、核兵器を廃絶することは、平和一般に解消することができません。地球上から戦争がなくならない限り、核兵器をなくせないというものではありません。
核兵器は、一発でもそれが使用されますと、広島、長崎の例でも明らかなように、非戦闘員を含む何十万人の人に害を与え、都市を消滅させ、戦後今日まで50年以上も被爆者に放射能被害での苦しみつづける人生を過ごさせてきました。このような残虐な兵器は、人類の生存とは絶対に相容れません。
人類はこれまでも毒ガス兵器などの化学兵器禁止条約の締結をすすめるなど、残虐兵器の廃絶に取り組んできました。今日では地雷を廃絶するための国際的な大きな運動も起きています。その頂点にあるのが、核兵器廃絶の課題です。
この問題では、アメリカ軍の退役将軍らが、核兵器の廃絶以外に道はないと訴えています。自らの反省として、核兵器が戦争抑止力として働くというのは錯覚であり、このような残虐兵器は廃絶以外にないと指摘しています。
ところが被爆国であるにもかかわらず、日本政府は、11月13日に行われた国連第1委員会で、非同盟諸国が中心となって提出された核兵器廃絶決議に棄権しました。アメリカ・ロシアなど核保有国に「それぞれの核兵器の速やかな完全廃絶」にむけた交渉を誠意を持って進めるようもとめる決議で、97ヶ国の賛成で採択されました。
非核宣言の実現を求めて陳情を繰り返している「非核の政府をめざす会」とは、日本政府が被爆国の政府として、核兵器廃絶のために積極的に行動する政府をめざして運動している団体です。思想信条、政党支持の違いを超えて、この問題で一致するすべての人々、団体と協力している団体であります。小矢部市内においても、消防団長や医師会長、宗教家など広範な人々と協力して核兵器廃絶の署名運動を粘り強く展開しております。
この動きが全国的、全県的に広がるのはごく自然なことであり、県内では35市町村の内、非核宣言を行っていない自治体は、小矢部市を含めて三自治体のみになってしまいました。私は一切のこだわりを捨て、誰が読んでもわかる非核自治体宣言をするよう強く要望するものです。
総務委員会の議論のなかで、宣言より具体的な行動が大事だとの発言がありました。そして、インド・パキスタンの核実験にも反対の決議をあげたということ述べていました。これはこれで大事なことです。私も賛成しました。
しかし、今日ではそれにとどまることはできません。先日のNHKのテレビを見ていましたら、アメリカやロシアが核兵器を維持していくために、核爆発を伴わない、未臨界実験を繰り返しているが、これは核兵器廃絶の流れに反すると報道していました。核兵器廃絶に抵抗している核保有国のこうした実験にも、小矢部市議会として、明確に反対の意思表示をするよう提案したいと思います。
また、宣言文を核兵器の緊急廃絶の意義を訴えるものに改め、それをパネルにして市役所の正面、公共施設の正面、学校の正面に掲げることを提案したい。また、原爆の悲惨さを子どもらに知らせるために、原爆写真展を市で主催したり、福岡町が行っているように、原爆記念日に小中学生を広島、長崎に派遣することも提案したい。
日米ガイドラインの法制化に反対する運動を市民ぐるみで展開することを訴えたいと思います。
以上の点について、総務常任委員長の率直な見解をお聞かせいただきたいということをお願いしまして、総務委員長に対する質疑と致します。
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核兵器の緊急廃絶を求める『非核都市宣言』の陳情を不採択にされたことについて、総務委員長に3点、お尋ねします。
問答無用という態度が問題
(1) まず第一に15日の審議でこれまで指摘されてきた小矢部市の平和宣言の問題点について、充分解明されたと考えておられるのかという点です。
小矢部市の平和宣言で何よりも問題なのは文章上、まったく核兵器について触れていないことです。平和宣言の文章を読んだだけでは市民や小中学生には、「核兵器は人類と共存できない、核兵器は緊急に廃絶すべきだ」と、小矢部市が訴えていることが伝わらないことです。そこで文章の上でも明記して、誰が読んでも訴えていることがよくわかるものにしてほしいということで陳情が繰り返されているのです。
ところが先日の委員会審議では、一人の委員が『核廃絶の意味が平和宣言に含まれているから、不採択すべきだ』と発言したら、後は発言なしです。陳情書の中身やこれまで問題とされてきたことについて内容に踏み込んだ検討がいっさいされないまま、不採択と決定されました。これは、議会の多数が、「核兵器廃絶の意味が含まれているといっているのだから、陳情者はもちろん市民もこれに疑問を挟んだり、意見をいってはいけない」、いわば問答無用という態度です。これでは民主主義ではありません。
(2) 第二にお尋ねしたいのは、小矢部市の平和事業、平和行政が隣の福岡町に比べてもまったく立ち遅れてしまっている現実をどのように認識しておられるのかという点です。その背景に小矢部市の平和宣言の問題があるのではないでしょうか。
小矢部市の平和宣言は、その文章を読んだだけでは核兵器廃絶を訴えていることがまったくわからないものであるだけに、核兵器廃絶を広く市民や小中学生に知らせる平和行政はとりわけ重要であります。ところが、これまで私が「原爆写真展を市役所ロビーで開いてはどうか」とか、「小中学生を広島へ派遣する平和事業」などを提案しましたが、当局はすべて否定しました。小矢部市議会が行った平和宣言では、当局に核兵器廃絶の課題を積極的に取り組ませる上では、まったく不充分な宣言であることを示しているのではありませんか。
昨日、福岡町での平和事業について調べてきました。小矢部市の姿勢とは雲泥の差であります。1991年9月議会、今から8年前ですが、砺波地方の市町村で最初に『核兵器を廃絶し、平和を願う都市宣言』を町議会で満場一致決議し、翌1992年8月にはこの宣言文を福岡町の全戸に配布しています。1995年6月には、県内で魚津市、入善町に次いで3番目に『日本非核宣言自治体協議会』に加盟し、8月5日には福岡町非核平和派遣団を広島市へ派遣し、非核宣言自治体協議会全国大会、広島平和祈念式典に参列しています。また8月15日には戦後50周年にあたり、防災行政無線で「核兵器や戦争のない世界をめざす」平和メッセージを放送しています。さらに町長の名で『中国・フランスの核実験中止を求める署名』を呼びかけ、町職員や家族、役場へ来た住民の理解を得て512名の署名を集め、両国大使館へ送付しています。1996年度より毎年、21世紀を担う小中学生や住民に戦争の悲惨さを永く伝えるため、非核宣言自治体協議会全国大会や広島平和祈念式典に代表を派遣する平和事業をはじめました。参加した小中学生の感想を町の広報に掲載しています。さらに1昨年の1997年にはUホールで福岡町原爆写真展を開催しています。昨年は平和のつどいとして被爆者の体験を聞く会を開いています。今年1999年には、富山の空襲の資料を展示し、図書館も平和図書の展示を行っています。平和事業の予算は毎年25万円程度で、財政的にはまったく問題がありません。議会が核兵器廃絶を明記した宣言をした福岡町と、核兵器廃絶を文章で明確にすることをあくまで拒否する小矢部市議会との違いが、こうまではっきりと行政当局の姿勢の違いとなって現れてくるのです。
そこで委員長にお尋ねしますが、小矢部市の平和宣言に核兵器廃絶の意味が含まれているといわれるのでしたら、小矢部市は福岡町以上に熱心に平和行政に取り組むように、総務委員長としてのイニシアティブを発揮される決意があるか、お尋ねします。何しろ、小矢部市の宣言はそれを読んだだけでは意味が伝わらないのですから。
防災フェスティバルと称して対戦車破壊ヘリコプターを持ち込むことを許すな
(3) 第三にお尋ねしたいのは、このたび行われた自衛隊『防災』フェスティバルに、戦車を破壊する対戦車ヘリコプター「ヒューイコブラ」を持ちこみ、潜水艦を探索し魚雷で攻撃する対潜哨戒ヘリコプターを持ちこんだことについて、平和宣言をしている小矢部市として容認できると考えておられるのか、その見解を伺います。対潜哨戒ヘリの横には模擬魚雷まで展示してありました。これがいかなる防災のための活動にも必要ないものであることは明らかです。
対戦車ヘリは、現役の攻撃用ヘリコプターで、最近では一機49億円で購入されています。全国で防災訓練が行われていますが、戦車を破壊するヘリコプターが参加した例を知りません。防災と名がついて唯一登場したのは、自衛隊の立川基地で『防災』と銘打って開かれた自衛隊の航空祭です。そこでも参加者から、会場に向けて機関砲で狙っているヘリコプターにぞっとしたという感想が出されていましたが、まったく防災とは関係のない武器です。実際には何のために陸上自衛隊が対戦車ヘリを保持しているのか、戦車が日本に攻めてくるような事態に備えているのか、そうなれば立川周辺が占領されているので、ほとんど意味がないという指摘も、立川の航空祭の参加者の感想にありました。
しかし、この問題でアメリカ側が日本に要求していることの一つに、新ガイドラインに基づいてアジア太平洋地域で、アメリカの海兵隊と共同で、上陸作戦を展開するときに日本の自衛隊の対戦車ヘリコプターによる支援が必要とされているのです。このことは、1997年、おととしの3月23日から28日までアメリカへ出張して米軍関係者と協議を重ねてきた陸上自衛隊幕僚監部の洗尭(あらい・たかし)防衛部長が4月1日付の出張報告で書いております。
平和都市宣言をしている小矢部市へ、自衛隊ならただで来てくれるから何でもかまわないと、このような物騒な攻撃用ヘリコプターを持ってこさせた小矢部市当局の責任は重大です。小矢部市平和都市宣言の立場からも抗議し、来年からはやめさせるべきだと考えますが、委員長も同じ思いでしょうか。もしそうだとすれば、総務委員長の責任で、市長に、対戦車ヘリや対潜哨戒ヘリを小矢部市へ持ってくるのは平和宣言の趣旨に反すると、明確に言っていただきたい。
以上、3点について、明確な答弁を求めて私の質疑を終わります。
防災ヘリについての答弁を知りたいとのメールが届きましたので、その部分についての答弁を掲載します。
総務委員長答弁 3点目の対戦車へり「コプラ」やら何とかですね。それは私見ておりませんけれども、実際そういうのがおるそうでございますが、やはり我々の国の防衛をまかなっていただいておる自衛隊の単なるヘリコプターの一つである、それがたまたまその防災のへりとともに自衛隊活動と防災活動を市民にアピールする一環としてきていただいたものでないかと、私はそういうふうに認識しております。
ただし、この陳情とは関係ない話でないかなと思うわけであります。
砂田 (前略)防災とはもう関係のない戦車を破壊するものとか、潜水艦を撃沈するようなものを持ってきてもいいんだろうか(中略)。平和宣言のそういう恒久平和、武器がない、戦争のない、そういう流れからいきますと、小矢部市にそういう物騒なものを持ってきてもらっては困るなと委員長さんも思われませんか。
総務委員長答弁 このへりは防衛するための一つの手段のへりであるということでありまして、憲法の趣旨に則った兵器の自衛権の行使の一環のものであるという認識であります。
砂田 この対戦車へりというのは日本を防衛する上では役に立たないですね。つまり外国へ出かけて攻めていくときに、上陸作戦をやるときに対戦車へりが向こうの戦車を攻撃しながら活路を開いていくという役割を担うわけで、そういう意味では武器についての認識が違うということを指摘しておきます。