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2004年12月5日号
2005年度から14年度までの10年間を計画期間とした小矢部市行財政改革大綱案と基本計画案が11月30日、市議会全員協議会に示されました。これは行財政改革推進市民委員会の1年近くにわたる議論をふまえて作成されたもので、12月議会での論議を経て正式決定される予定です。
市は今後10年間で99億円の財源不足が見込まれるとして、全体で105億円の歳出削減を目標に117項目の改革をするとしています。当局の説明では単なる財政削減ではなく、@「市民の幸せ」な生活を確保すること、A時代に対応した「新しい行政の仕組み」を市民と共同で創り上げることをめざすとしています。
主な内容を紹介します。
(1)「小さな市役所」をめざすとして、職員を10年間で60名削減し300名体制にする、嘱託・臨時職員などに置き換える、さらに給与・報酬の引き下げなどあわせて42億円を削減するとしています。
助役が収入役を兼務し1億円節約するのは評価できますが、消防士や保育士などがリストラの対象とされ市民サービスが低下しないか懸念されます。
(2)効率的な行政にすることで約7億円を節約するとしています。このうち5億円近くを光熱水費や委託料など物件費で削減したいとしています。
注目されるのは市長公用車の更新を延期し更新時には共用車とし運転手は委託または嘱託職員で対応するとしたこと、市長交際費を2割縮減するとともに、支出基準を策定し、ホームページで原則公開するとしたことです。公用車(乗用車、現在40台保有)を軽自動車化し2割削減すると明言しました。
「市民オンブズ小矢部」の活動が大きな役割を果たしました。
(3)健全財政を堅持するために全体で40億円の削減を目標に次の8課題を掲げています。
@ 補助金の見直しで9億円近くの削減を見込んでいます。何を削減するか審査する機関(構成は市民、行政)を設けます。
A 投資的事業(普通建設事業)の見直しで21億円の削減です。行政評価による効果の検証を行い、前期3年間は2004年度の50%に削減する、市道の中長期整備計画もつくるとしています。
自民党議員からこの削減に苦情が出され、市長は「国の補助金がこなくなるからだ」と苦しい台所事情を述べましたが、これまでの投資的事業の効果を検証する必要性にまったく触れませんでした。
本気で投資的事業の見直しをやろうとするなら、利用が見込めない綾子河川公園の行政評価をきちんと行い、凍結・再検討に踏み込むことがまず必要でしょう。
B 上下水道事業の健全化が課題に挙げられ、合併処理浄化槽を含む多様な生活排水処理方式の基本方針を策定するとしていることは評価されます。
C 下水道や農道舗装の受益者負担を見直し、使用料・手数料を10%引き上げ、住民負担増、5億5千万円を目標に盛り込みました。
D 予防、保健活動を充実させ、医療費・介護給付費を約8千万円抑制するとしています。
E 公債費の抑制では、借入額を返済額の範囲内とする、公債費負担比率16%以下、起債制限比率6%以下を目標にするとしています。
小矢部市では98年3月議会で砂田議員が、「公債費残高を毎年少しずつでも減らすこと」を提案、当初は「約束できない」としていた市当局も、この提案を受け入れ毎年公債費残高を減らしてきました。今では人口一人あたりでみると38万8千円(03年度決算)で、県下9市中一番少なくなっています(ちなみに砺波市は50万3千円、高岡市47万3千円、氷見市61万2千円、新湊市40万3千円)。
F 市税等の収納率の向上で3億5千万円を見込んでいます。
G 市税の増収対策で「迷惑施設」の誘致を検討するとしていることは懸念されます。
(4)市民との新しい協働関係を築くことを目標に、自治基本条例の制定、情報公開条例の活用と計画段階で市民の意見を反映させるパブリックコメント制の導入、個人情報保護条例の制定などに取り組むとしています。行財政改革推進市民委員会の運営がその精神で行われたことは評価できます。
保育所や学校給食センターの民営化、民間委託問題については、行財政改革推進市民委員会でも意見が分かれ、結論として「その是非を含めた検討委員会を設置し、専門的視点や関係者、関係団体等と検討を始める」となっていたにもかかわらず、今回の行財政改革基本計画案では民営化・民間委託の推進で6億円余の削減を目標に掲げました。
市は行革大綱と基本計画を12月中にまとめ、来年度予算編成にあわせて具体的に何を見直すかを実施計画で示すとしています。その内容を計画段階から公表し、市民とともに議論し、その声を反映させていく取り組みが望まれます。