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2004年9月19日号

子どもと父母を悩ませている問題の根っこに

教育基本法の精神に反する教育行政

「みんなの会小矢部」教育懇談会と総会開く

 「みんなの会小矢部」(「明るい富山県政をみんなでつくる小矢部市の会」)の教育懇談会と総会が12日午後開かれました。

 教育懇談会には富山県教育研究所の事務局長長谷川了一さんが招かれ、講演しました。長谷川さんは、いま子ども・父母を悩ませている3つの「危機」をあげ、その原因として、教育基本法の精神に反した長年の教育行政があると指摘しました。

 一つは、学力が低く、自信がなく、目標を失い自己喪失に陥っている子どもの多いことです。せいぜい5%ほどの英才「勝ち組」を育て、後の非才・無才は「実直な精神」を育てれば良いとの、差別選別競争の結果です。

 二つは、疲れて無気力、いじめられやすく、暴力に訴えがちな精神状態です。管理主義教育では、言いたいことを言い表わす力や、民主的にものを解決する力が育っていません。

 3つには、先生を時間的にも精神的にも締め付け、子ども・親・地域と本当の結び付きができないことです。

 教育基本法は、「日本国憲法の理想の実現は根本において教育の力にまつべきもの」として、教員の身分の尊重(6条)や教育に政府が介入することのないように(10条)しました。教育の目的も「いったん緩急あれば、義勇公に奉ず」(教育勅語)る兵士をつくることから、「人格の完成を目指す」(1条)に改められました。

 しかし、政府は一貫して「戦士・兵士」を作る方向で教育に介入し、教員を教育行政の末端に変えようとして来ました。そしていま、基本法そのものを変え、戦後の平和と民主の教育を根こそぎにしようとしている、と長谷川さんは警告しました。

 参加者から、「行政主導で始まった『チャレンジ・テスト』で、できない子は『どうせ、馬鹿だもん』という。深く傷ついている」

「『チャレンジテスト』って何?計算が上手になったり、漢字を覚えたりして、いいことじゃない」「ドリルは必要だとしても、行政主導で結果を報告させると、かっての全国いっせい学力テストのように、不正がまかり通る恐れが有る」など学力問題がまず話題に。

 「子どもの気持ちを大事にしようとすると、『何してんの、あんた、子どもになめられてるよ』という感じがあって、つらい。」「子どもとの取っ組み合いでではなく、パソコンに向かって忙しいのはどうもいただけない」「初任の先生は、しょっちゅう初任研に出なければならず、子どもとのコミュニケーションが取りずらい。自信を無くす人もある」「ベテランでも、管理主義の校風になじめず、学年半ばで退職されることがある」などの厳しい話も。

 「小矢部は図書館司書や多人数支援講師の配置などで他の市町村より手厚い、と校長さんが評価していた。」「心の相談員には助けられている。でもしょっちゅうサービス残業されている」「正規の職員になってもらいたいが、定数削減の波のなかでは無理」「能力主義、管理主義、競争、効率などは企業の中の言葉だ。教育現場に企業の論理が入り込んでしまっている」

 このような教育危機を乗り越えるのに教師は大きく意識を変えることが必要、と長谷川さん。「でもコップの水を取り替えるようには変われない。まず、子どもや親の声をよく聞くことから始めてはどうか。『30人学級』の署名はいいきっかけになる」。

 教育基本法を読んだことのある人で、これを変えなくてはと言う人は少ない、もっと読んでもらい中身を分かってもらわねば、と長谷川さん。そう、基本法を実践している人、実践しようと苦労している人がもっと話すべきだ。お互い本音で話せば、親と教師は必ず団結できる。

 

30人学級へ署名と対話を

「30人学級を公約する知事候補」を応援しよう

運動方針決める

 5回目となる総会では、今年4月より実施された小学校1年生についての35人学級を上級学年へ拡大させること、そのために県にきちんと予算をつけさせることが大切、と確認されました。そして「ゆきとどいた教育をすすめる富山の会」の署名運動に協力し1000筆を目標に集めよう、もし知事選で「30人学級」推進の公約をする候補があったら積極的に応援しよう、署名を集めてくれる人を増やそう、などと申し合わせました。

 また、堀内喜亨、高木隆夫、砂田喜昭、阿尾多美、上田由美子の5人が世話人に再選されました。

 

 山形県の「さんさんプラン」で、知事は人気回復

 

 雑誌「議会と自治体」9月号に「山形県30人学級を実現する県民連絡会」代表委員の鈴木輝男さんが、「さんさんプラン」誕生のいきさつをレポートしています。

 それによると、01年の知事選で現職の高橋知事は、再選されたものの、県民世論の厳しい批判で窮地に立たされていた、というのです。それまでの大型公共事業が破綻、約1兆円の県債、ゼネコンとの癒着、談合、そのうえ知事への手土産「ササカマ2000万円」のスキャンダル。相手の「明るい県政をつくる県民の会」の候補に厳しく追及されました。

 再選6カ月後、知事は突然「30人学級」実施を表明。自民党県議から「殿、ご乱心」との声も上がったが、父母県民から圧倒的な歓迎が寄せられ、人気挽回の妙手となった、と。そのための予算はわずか10億円前後(年間)ですから。

 「橋の1本2本はかけなくとも、子どもたちの教育のためには公共事業を節減しても実行したい」「人生は1回しかない、手抜きしないで小人数教育の環境を整備する必要がある」という高橋知事の立派な発言の裏の政治模様が見て取れます。

 今度の富山県知事選挙、「みんなの会」の黒田候補を躍進させて、富山でも全学年「30人学級」を実現させようではありませんか。

 

世話人会、黒田英夫候補支持を確認

 

 19日の世話人会は、「みんなの会」と知事候補黒田英夫氏(県労連事務局長)との5項目の政策協定を検討、「憲法と教育基本法を暮らしに生かす」「30人学級の実現」などを確認して、支持を決めました。



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