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2004年9月5日号

歩み出した小1年35人学級

県の小1年生「35人学級」好評 石動小 蟹谷小

         3年生以降へも続けて!

市 小1年生30〜35人クラスへの支援講師派遣好評

         2年生へも拡げて!

 

富山県が今年から踏みきった小学校1年生の「35人学級」と、小矢部市が単独で昨年から小学校1年生の30〜35人のクラスへ派遣している支援講師の制度が好評です。該当する市内3小学校を訪ねて4月以降のようすを聞き、さらに発展充実させるための課題を考えました。

 

県の小学校1年生「35人学級」に小矢部市で該当するのは石動小学校と蟹谷小学校です。石動小学校1年は73名3クラス編成で1クラス24名平均、蟹谷小学校は37名2クラス編成で1クラス18名と19名。両校の校長先生は、「『40人学級』より1クラス増え、少人数の学級による効果がみられる」と話しています。

また、小矢部市が小学校1年生の30〜35人の多人数クラスへ支援講師を派遣しているのは、昨年度は県が36人以上のクラスへ多人数学級支援講師を派遣しているのを補充、本年度は35人学級に至らないものの多人数である学級を支援する制度で、小矢部市独自のものです。今年は大谷小学校1年が該当し、児童数69名(県の「35人学級」による3クラス編成にはあと2人足りない)2クラス編成で35名と34名のクラスにそれぞれ生活指導のための講師をつけています。大谷小学校の教頭先生は、「一人ひとりの子どもたちに目がゆきとどき、たいへん助かっている」と話しています。

 

小学校1年生「35人学級」の効果

 ? 校長先生のお話し内容は、2校でお聞きしたことをまとめてあります。

問い   学校生活に入ってすぐの小1は、生活習慣や学習態度を身につけるのに大事な時期ですが、今年から35人学級になってどうですか?

校長先生 最近「小一プログレム」(※注)といわれるように、1年生は、なかなか集団生活になじめず学校生活についてゆけない子どもが多い。いきなり45分という中での生活はたいへんです。そんな子どもたちに少人数の学級を用意してやれたのは、とてもありがたいことです。

(※注)小1プロブレム=
精神的に幼いために学級という集団活動になじめなかったり、学校生活のルールが理解できなかったりすることから、授業中に席を立って歩き回ったり、騒いだりする現象。
2000年前後から都市部の小学校の先生の間で、教室の課題として指摘されるようになった。
自分の意思で授業を放棄する学級崩壊とは異なり、家庭や地域社会のしつけが不十分な状態で育てられてきたのが原因とされている。

問い   担任の先生方の反応はどうでしょうか。

校長先生 よく担任の先生方から聞くこととして4つぐらい挙げられます。@学習・生活両面で一人ひとりにかける時間が多くなり、目がゆきとどく。 A教室がゆったり使えて、体を動かす身体活動や生活科の活動などに有効。 B一人ひとりの子どもに出番を与えられる。 C集団行動の動きがしやすい。ただし、入学してからすぐ「35人学級」ですからこの学年が「40人学級」のときはないわけで、学力面とか行動面での効果を比較するデーターなどはありませんが。

また、担任の先生方にとって次の2点をよく聞きます。@複数の人数で学年全体の指導を分担できるので効率よく、しかも生まれたゆとりを子どもに目を向けるために使える。 A少人数なので学習ノートの点検や成績の処理など学級事務が早くでき、これまた生まれたゆとりを子どもに目を向けるために使える。

問い   保護者の皆さんの反応はどうでしょうか。

校長先生 とても好評のようです。特に、始めて小学校にあげた保護者にとっては、担任との連絡がとりやすく喜ばれています。

問い   学級の人数が減ることで、社会性が身に付かないのではとか切磋琢磨できないのではといった心配も聞かれますが。既に33人学級に取り組んで今年小学校全学年に実施している山形県教委の報告では、「友だちがかえって増えた」という子どもの割合が多いと聞くのですが。

校長先生 人数が多ければ友達が増えるというものでもないでしょうね。少なければそれだけ深いかかわりがもてて親密な友だち関係が築けるのでしょうね。複数の学級があるので違う教室の子と遊ぶこともできます。いわゆる切磋琢磨については、ふさわしい人数があるとは思いますが、学習指導で工夫できます。

問い   少人数になったことで、これまでとは違った指導法がとられているのですか。県教委が該当学級担任対象の研修会を開いたり、成果と課題などの調査をしていないのですか。

校長先生 一人ひとりを生かす指導に取り組んできていますから、特段の変わった指導がとられるわけではありませんが、少人数だから目配りがゆきとどき評価がし易くその子に合った手当てがとり易くなります。県教委の研修会や調査は今のところありません。

問い   県全体として、増えた1年生の学級担任に3〜6年の少人数指導に加配した先生を充てるため、不足する少人数指導の先生は雇用交付金を活用した非常勤講師を充てるとしています。先生の学校では3〜6年の少人数指導の先生の配置は去年と比べてどうですか。

校長先生 そういえば正規の教員が一人減って、講師の方に変わっていますね。35人学級のための正規の教員を増やしていないので、止むをえませんね。

問い   日本共産党も、この「35人学級」は段階的に来年2年生にも実施したあと、さらに上の学年にひろげるよう県当局に要望していますが、中学年以上は「少人数指導」で進めるから、再来年以降中学年に「35人学級」をひろげる計画はないと言いますね。

「3年になると1クラス減る」というのは、常識的には考えられない

2年生になってから3年生が目の前にくると、「3年生も続けて35人学級にしてほしい」という保護者の要望が強くなるかもしれません

校長先生 「3年になると1クラス減る」というのは、常識的には考えられないことですね。中高学年に向かうと、教科によっては学力差がつきやすいなどの事情も加わり、少人数学級の必要はなくなりませんから。入学式のときは、保護者に「35人学級の制度は1・2年の間だけです」と説明はしましたが、まだ来年は続くわけでそれほど心配にはなっていないことでしょうが、2年生になってから3年生が目の前にくると、「3年生も続けて35人学級にしてほしい」という保護者の要望が強くなるかもしれませんね。

問い   校長会としても、ぜひ「35人学級」の拡充を要望なさるよう期待します。

校長先生 小矢部市は、小学校1年生の30〜35人学級へ独自に支援講師を派遣するとか、心の教室相談員、図書館司書(職員)、などたいへん手厚い体制をとっていてありがたいことです。県の「35人学級」も含めてそれぞれさらに充実するよう願っています。

 

小学校1年生の「30〜35人学級への支援講師」の効果

 

問い   大谷小学校の実情はどうですか。

教頭先生 1年生は69名で、35名と34名の2学級です。市の制度のおかげで、それぞれのクラスに支援講師の先生に一日5時間来てもらっており、二人で子どもたちにあたれます。

問い   どんな効果がありますか。

 

2年生になっても続けていただきたい

教頭先生 生活・学習のしつけ両面で個々に対応でき、子どもたちは落ち着いて生活できています。不適応の子がいたら講師の方にフォローしていただき、担任はじっくり全体の指導にあたれます。1年生は放課後に残して面倒見ることができないので、算数や国語の個別指導が授業時間内でゆきとどきます。一人の子を二人の目で見られるので多面的にとらえることができ、相談しながら対応できます。この制度は、2年生になっても続けていただきたいものです。

この他、小矢部市はいろんな講師を派遣してくださって子どもたちにとても手厚く喜んでいます。  

 

発展充実させるための課題

3校を訪ねて、1学期を経た段階ではまだまだ手探りの感があるとはいえ、新たなステップのために次の点が大事になっています。

@ 県教委・市教委が、年度半ばでそれぞれの制度の成果と課題を明確にし、この制度を発展充実させる方向に動き出すように声を上げること。

A 特に県が引き続き2年生での「35人学級」を実施することからいえば、市の30〜35人クラスへの支援講師派遣は、整合性を保つためにも、当然2年生でも続けなければならないこと。

B       先生方には、少人数の利点を生かした授業の改善にいっそう努力していただくこと。

県教委はそのための支援や研修会を設けること。

C 文科省は、少人数指導のための加配教員の活用という形で県において40人以下の学級編成に国の予算を使うことを認めたものの、教職員の増員、予算増額なしの措置で財政的には県負担とするなど保護者や子どもたちの願いに背を向けたままです。加配教員を少人数学級に振り向けざるをえないようでは、3〜6年の少人数指導にしわ寄せをもたらしています。このように県段階の施策では限界があるので、「国の責任で少人数学級を実現」させるまで、みんなで力を合わせること。



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