赤旗読者通信のページ
2004年8月22日号
8月4日から6日まで開かれた原水爆禁止2004年世界大会・広島に、富山県代表団の一員として参加された市内経田在住の辻慶輝さんから参加しての感想が寄せられました。
被爆の惨禍 忘れたら繰り返される
原水爆禁止2004年世界大会・広島に参加して
辻 慶輝
非核の力はかつてなく強い
広島・長崎に原爆が投下されてから59年目を迎え、広島での原水爆禁止世界大会に初めて参加しました。
8月4日14時より、会場の広島県立総合体育館に8千名近くが集って開会総会が行われ、広島市長や海外の代表団のあいさつがありました。
広島市長は「忘れられた歴史は繰り返す」と語ったあと、「3度目の核兵器使用が心配、人類は危機に直面している。しかし2005年5月に国連で議論されるNPT核不拡散条約再検討会議に向けての緊急行動に欧州や全米市長会議で満場一致で採択されるなど、非核の力はかつてなく強い国際世論となっている」ことを訴えられました。また、海外代表のあいさつと紹介があり、大使をはじめ国を代表する参加者が多い総会であると報告されました。
散会後、私はロビーで6月3日より富山県内の「国民平和大行進」で一緒だった兵庫の脇山さんと再会しました。
夕方、石山旅館で富山県代表団の打ち合わせ後、旅館の主人からぜひ被爆者である私の話を聞いてほしいとの申し出があり、約1時間半にわたり生々しい体験を聞きました。
世界のどこででも戦争が
できるように着々と準備
5日は動く分科会として呉基地調査と交流に参加し、船で5時間広島湾を見学しました。
停泊中の自衛艦「おおすみ」や潜水艦・掃海艇・弾薬庫を目の当たりにして、海上自衛隊の基地として最大規模の軍港で有事関連法とも密接であり、アメリカとともに世界のどこででも戦争ができるように着々と準備が進められている厳しい現状を認識せざるをえませんでした。16時ごろより平和公園内の原爆資料館を見学し、核兵器の恐ろしさを改めて感じました。
広島市長の明確で強い語調に
大きな拍手
6日は、平和公園で8時15分広島に原爆が投下された時間に合わせ黙祷をささげたあと、広島市長より平和宣言が訴えられ、世界に向けて日本政府に向けて、その明確で強い語調には会場から大きな拍手が送られました。それとは対照的に小泉首相のあいさつは声も小さく中身も通り一遍の棒読みであり拍手もまばらでした。
10時過ぎの閉会総会では漫才師の喜味こいしさんが広島での被爆体験を語られ、しばしば涙声で訴えられたことに強く心を打たれました。
原水爆禁止運動の成果を実感
広島大会に参加して、自分が3歳のときに現実にあったことであり、今また日本が平和憲法を破り再び戦争のできる国になろうとしていること、しかもアメリカの言いなりで戦争に巻き込まれようとしていること、使える核兵器の開発で人類の滅亡の危機に直面していることに怒りが一層強まりました。
反面、国際的に反核平和の声が大きくなり好核好戦の国々や勢力が孤立を深めていること、来年の国連でのNPTが重要であることに希望を見い出しています。国際的な世論をここまで高めることができたのは、原水爆禁止を半世紀にも及んで訴え続けてきた成果だと実感しました。
平和に対して無頓着な私がこの大会に初めて参加し、平和を守ることとは大変な努力と忍耐のいることだと痛感しました。広島市長の「忘れられることは繰り返すことになる。忘れられないように後世に訴え続けよう」との言葉が今も心に残っています。
最後になりましたが、参加するにあたり市長、議長さんをはじめ多数の方々から激励や心づけをいただきお礼を申し上げます。