赤旗読者通信のページ
2004年7月4日号
6月市議会報告
市の水道事業
経営の仕方に問題あり
砂田市議
水道料金の値下げ 改めて求める
市議会産業建設常任委員会が6月22日開かれ、砂田喜昭市議は水道料金の値下げを改めて求めました。
砂田市議は冒頭、「これまでは県に対して子撫川ダムからの受水量、受水単価の引き下げを求めてきた。これはひきつづき要求していくべきだが、県が1立方メートルあたり5円下げたのに、市がその分を市民に還元するのではなく、市の懐(一般会計)へ入れてしまったので、小矢部市の水道事業の経営のやり方も問題にしなければならない」と述べました。その上で二つの問題点を指摘しました。
砂田市議は、市が真剣な経営努力を行い、県が下げた分を市民に還元すれば、これから県水の受水量、受水単価の引き下げを県と交渉するとき、市民ぐるみで運動できるようになると強調しました。
問題点その一 市の補助 減らし続ける
小矢部市上下水道課では昨年「水道事業が赤字になり経営が苦しい、値上げも検討しなければならない」と言っていました。その一方で小矢部市が水道料金の高料金対策として一般会計から水道事業に支出している補助金が、毎年下がり続けています。(表1)
表1 下がり続ける高料金対策繰出金
年度 | 1995年度 | 1996年度 | 1997年度 | 1998年度 | 1999年度 | 2000年度 | 2001年度 | 2002年度 |
一般会計繰出金 | 91,214千円 | 114,163 | 105,881 | 115,963 | 100,080 | 98,387 | 89,762 | 58,042 |
「経営が苦しくなっているというのに補助金を減らすのはおかしいではないか」というのが砂田市議の問題提起です。
県水の10年前の単価との差額分を補助金として出す市のルールに問題があります。(解説参照)
このやり方では、県が水道料金を下げても市民には還元されず、市の一般会計からの補助金が少なくなるだけです。
砂田市議がこのルールの見直しを求めたのに対し、大家市長は「私の任期中は値上げをするなと指示している。これから一般会計からの繰り入れはうんと増えるだろう」と述べました。
子撫川ダムの固定資産税は
水道料金引き下げ財源に
一市民の指摘がきっかけで子撫川ダムへの固定資産税課税漏れを是正したことで、毎年1400万円が県から小矢部市へ入ってくることになりました。これは砂田市議が提案する補助金増額の財政的裏付けにもなります。
小矢部市の水道料金が全国的にも大変高い部類なので、公費で補助する制度があります(高料金対策)。ところが1990年代半ばになって国はこの補助金(高料金対策繰出金)を大幅に削減しました。その結果、小矢部市は1995年に水道料金の値上げを余儀なくされました。このとき、国が削った高料金対策繰出金を市が独自に補填するルールをつくりました。@道路工事や下水道工事に伴って敷設替えする水道管の工事費は、一般会計で負担し、水道会計の負担を軽減する。A子撫川ダムから購入する県水が高いので、1985年度の単価との差額分を一般会計で補填する。併せて約1億円を水道会計へ繰り入れました。
ところが現在の県水の単価と1985年との単価差を補填するのでなく、10年前の単価差を補填することにしたため、年々高料金対策繰出金が減ってきました。(表2)
表2 10年前の県水の単価との差額を補填するやり方では、補助額が少なくなる
年度 | 1995年度 | 1998年度 | 2001年度 | 2004年度 |
その年の単価 | 85円 | 90円 | 95円 | 90円 |
10年前の単価 | 60円 | 65円 | 75円 | 80円 |
補助算定単価 | 25円 | 25円 | 20円 | 10円 |
問題点その二 経費の過大見積もり
2003年度分の減価償却費2億円のうち、5200万円も過大に見積もっていたミスがわかったので昨年12月議会で是正しました。これによって赤字になる予算が黒字に変わりました。
小矢部市の修繕費が大変多いのも問題です。2001年度の比較で、1立方メートルあたり、小矢部市の修繕費は41円なのに、高岡市は4円、砺波市は2円です。全国的にも小矢部市の修繕費は突出しています。
2001年度は、それまで黒字で経営してきた水道事業が2430万円の赤字を出した年です。この年、修繕費が前年度1立方メートルあたり26円だったものが、41円へと1.6倍に増えています。
砂田市議は「修繕費のなかに、本来減価償却できるものを単年度で経費に計上している問題があるのではないか」と指摘し、会計処理の見直しを提案しました。たとえば水道管を修繕で交換した場合に、その経費すべてをその年の修繕費として扱うのではなく、水道管の耐用年数が20年なり30年であれば、それだけの年数にわけて減価償却費として経費に計上すべきだと言うことです。