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2004年4月18日号


親子の対話

水道料金をめぐって

 水道料金の値下げをしなかった小矢部市の対応に、怒りの声があい次いでいます。

 この怒りを創作対話で表した方がいますので、紹介します。

 

悲しそうなおじさんのこと

子  父ちゃん。さっき、川の向こうに住んでいるおじさんが川を見つめながら「昔は、この川の水も、美しくてよかったな」って、悲しそうに言っていたよ。

父  そうか。昔は、この町や近くの村のみんなで、大事に川の水を使っていて、よく泳ぎもしたよ。

子  今のこの川の水より美しかったの。

父  そうだよ。このダムのできるまでは、川の水も多くてね。

子  フゥーン、そうだったの。

父  このダムの水はね、この町の他にも、近くの町や村で水を分け合って使っているのだよ。

子  そうなんだあ。

「この町の水は高い!」って

父  それからね、川向こうのおじさんが「この町や近くの村の水は遠くの町や村に比べて高い」って、言っていたよ。

子  エー、どうして高いの。

父  それは、県と町や村の役人が決めたからだろ。

   そうそう、川向こうのおじさんは、この町や近く村の人と話していたよ。「私たちの所の水の値段も、遠くの町や村と同じならいいね」って。

子  今まで、父ちゃんたち、役人に話しをしに行ったことないの。

父  水の料金は、銀行から払っているから、いままでは気にもしなかったのだよ。

子  うん、それでどうしたの。

父  みなさんと話し合って役所に行き、「水の料金を、遠くの町や村と同額にしてください」とお願いしたら、反対に「もっと水の料金を値上げしたい」という役人の人もいたよ。

子  どうしてなの?

父  どうしてって?……「水を使う量が減っているのに、県から高い水を買わなければならないから赤字にやる」んだって。

眠っていた役人?

子  遠くの町や村も値上げするの?

父  サァー、どうかな?川向こうのおじさんが、役所の役人に一言言ったの。「他の所、ダムから固定資産税を受け取っているところもある、このダムはどうなっているのか」って。

子  おじさんが?

父  うん、その後、役所の役人も勉強し、県と話し合ったが、県が「他の町や村をみて、少しずつ、水の料金を値下げします」って。そして「二五年間の固定資産税未納金の内、五年前までの分と、今後毎年度の分、税を貴方の役所に入れます」って。

子  エー、どういう話しなの。

父  役所の役人が眠っていて、固定資産税をとるのを忘れたのかな。二五年間も。

子  ワァー、そんなことってあるの?おじさん、税金のこと知っていたのかな。

父  たぶん知っていたと思うよ。多くの人から聞いていてね。

子  でも、よかったね。税金が戻ってきて。

ぜーんぶ役所の懐へ

父  そうだけど、水の値下げ分も、その税金も、全部役所で取るって言ってきたの。

子  それでは、水の値段は今までと同じままなの。

父  それで、おじさんは悲しいやら、怒りたいやら。ムゥー。みんなにお礼の話しもせず、みんなの値下げ分も取るのか。「水の値下げできなければ全額県に返せ」って。おじさんは、初めは「水の値下げ分だけでも」と思っていたのに、いまでは「値下げ分の上に、取り戻した税の一部も入れろ」と思っているよ。

父  取り戻した税を「農村の人にも合併浄化槽を入れるのにも使ったらいいね」ってみんなで話し合ったよ。

子  役所の人は、なぜみんなにお礼を言わないの。

父  役所は言わないよ。自分たちのメンツ、体面にこだわって、頭が高く固いのよ。

子  それだと、犬や猫の方がまだえらいね。ワーンとか、ミャーンとか、喜んでくれるよ。

   おじさんはどんな人なの。

「夢と希望を育てる会」いいだろ?

父  そうだね、小さな時、夢と希望を追いかけ、よく空想の詩を書いて、「俺ってバカだな。でも新聞に二回載っちゃった」って言っていた。

子  ……

父  このダムがなければ、この川も美しく、こんな問題も起きなかったな。

   そうそう、おじさんは他の県でも、「上の村から下の村に水を送り、下の村は日本一のお米だけれど、上の村は水か少なくなって、『水を返せ』って言っている話しもあるよ」って、言っていた。

子  なぜ、昔の川の水のように美しく、みんなで譲り合うこと、できないのかな。

父  そうだね、おじさんの心もつらいだろうね。みんなに水の料金の値下げがなかったときには。

   父さんはね、町や村を優しく、夢と希望のもてるところに、みんなで育てればいいなって思うときもあるよ。

   「町村みんなで夢と希望を育てる会」なんちゃって。


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