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2003年12月21日号

「早く30人学級を」「教育基本法を生かそう」の声を大きく

目次
教育懇談会
30人学級での12月議会の答弁
教育基本法をめぐって

教育懇談会
36人の学級へ転校したら情緒不安定に
「少人数学級をやっている元の学校(県外)へ戻したい」


 みんなの会小矢部の呼びかけによる今年2度目の教育懇談会が12日夜、石動コミュニティセンターで行われました。会場には小学生の母、教師、児童クラブ指導経験者から孫の世話をする祖父母までいろいろな方が集まり、子育ての問題を語り合いました。

 「学級参観などで我が子のクラスをみていると、考え方や行動の仕方にものすごく格差があることがわかる」とお母さん。
 「小学校の頃は1年1年、本当に大きく成長する。個人差も大きい。でも、なんでもないことに切れる子、手加減がわからず、激しく殴る子など、昔はいなかったタイプの子どもが増えている。嬉しいとか悲しいとかの実体験がないためではないか。テレビゲームなどの仮想の世界で日に4時間も遊んでいる子どももいる」と小学校の先生。
 「塾とスポ少で子どもが外で遊ぶのを見かけなくなった」「昔は隣の町内の子ども連中にケンカを仕掛けるなど、ボスが仕切っていた。弊害もあったが、人と人とのつきあい方などを身につけていった」「町内でお化け大会などをやって楽しかったが、いまは大人も忙しくなり、取り組めなくなっているのでは」「昔は左義長や田祭り行事が多かったが、今は大人が段取りをしてやらないとできなくなっている。受験や部活が子どもの自治的な地域活動をとぎらせてしまった」など、子どもを取り巻く情勢の変化も指摘されました。

 これに対応するために、「週末にじいちゃん、ばあちゃんのところゑいかせると、人間らしさをにじませて帰ってくる」「とても準備がたいへんで、授業がつぶれるのはいやだけど、総合学習などで、実体験をさせるようにしている」「『三世代交流』で公民館もがんばっている」などの経験が交流されました。
 「でもやっぱり、早く少人数学級にして、先生の目が細やかに子どもに行き届くようにしてほしい。少人数学級に踏み出した他県が移り住まれた知人は、まだ踏み出していない富山県での子育てに苦悩していらっしゃる。元の学校では26人の学級で生活していたが、これらに転入して36人の学級となったこともあって、情緒不安定、行動もおかしくなり、宿題をしなくなり、自閉症気味になってしまった。『30人学級実現』のためには署名しかないと、大いにがんばってくださったのだけれど、来春はやむなく元の学校へ返す決意を固められた・・・」とお母さんの切実な声。
 参加した砂田市議は、「署名運動など世論で国や市の方針も変わりつつあります。予算の使い方を変えれば『30人学級』は可能です」と激励しました。

12月議会一般質問
「少人数学級は効果的」と評価しながらも
「国、県の動向を見守る」 市教育委員会


 12月議会で「県下に先駆けて30人学級の実現」を求めた砂田市議の質問に、教育次長は次のように答えました。

 (山形県の33人学級実現計画「さんさんプラン」について)学力や生徒指導に効果を上げており、小矢部市の教育委員会としても評価している。35道府県以上が小学校低学年を中心に少人数学級を導入している。
 小矢部市でも小学校1年生で30人を超える学級に市独自で支援講師を配置したが、子どもたちが大変落ち着いて、授業、給食などに効果が上がっている。
 県教委に確認したら、おっしゃるとおりだが、これまで通り「少人数指導」でやりたいとのことであり、文部科学省、県教委の動向を見守っていきたい。

明年度
30人以上学級への支援講師
小2まで拡大


 来年度は30人以上学級への支援講師派遣を小学2年生へ拡大し、雇用時間延長を実情に応じて検討したい。(この項は、中山議員への答弁)

教育の目的は?
「国のために命をかける子」をつくることか
「教育基本法の充実を」の陳情審議

民文委員会
 「教育基本法の見直しでなく、その充実を求める陳情」が民生文教常任委員会で審議されましたが、不採択となりました。
 審議のなかで高橋佐多史議員が「近隣市町村での取り扱いは?」と質問したのに続き、多田議員が「教育基本法ができて56年。ワールドカップでは日の丸で応援するが、日頃、子どもは日の丸に無関心。国のアイデンティテーと民族を大事にしなければならないが、今の教育基本法は公が薄くなりすぎている。
 今の子どもたちは『戦争で攻められたら逃げる』と言っている。イラクで人間の盾になるといっていたのに、残ったのは一人か、二人。命をかけてやろうとなっていない。国を守るのは私ら。国旗、国家があやふやだ。賛成できない」と述べました。

解説 教育基本法
「平和を担う人格の完成」を目的
 戦前の軍国主義教育、皇民化教育を反省し、教育の目的に「人格の完成」を掲げたのが教育基本法です。教育基本法第1条には、子どもたちを「平和的な国家および社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神にみちた心身ともに健康な」人間に育てることを目標にしています。
 一方、戦前の教育の基本だった教育勅語では、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と述べ、天皇のために戦争で命を捧げることを教え込みました。
 自衛隊がイラクへ派遣されようとしているときに、市議会でのこの議論はたいへん危険な動きといわなければなりません。

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