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2003年11月9日号

リポートシンポジュウム「コメ改革」でどうなる?

“政治を変えなければ 農業と安心な食料は守れない” 

生産者も消費者も米屋も力を合わせよう !

日本米穀小売商業組合連合会理事長らが語る

シンポジュウム「コメ改革でどうなる?わたしたちの食と地域農業」が10月26日(土)、砺波市で行われました。主催したのは「国民の食糧と健康を守る運動富山県連絡会(食健連)」と「農民運動富山県連合会(農民連)」。石黒富山県米小売商連合会理事長が来賓として参加し、小矢部から参加した農民連やCOOPとやま組合員など4名を含め約70名集まり、食と本当の地域水田農業ビジョンをみんなで考えるつどいとなりました。

 

消費者の願い  「安ければよい」から「新鮮で安心な食料」へ

最初のパネリストCOOPとやま理事須沢キヨさんは、消費者の立場から今年の米の不作による高値を心配しつつ、生協の立場は単に「安ければよい」というものではなく、「新鮮で安心な食料がほしい」という要求にこたえようとするもので、生産者と消費者が年に何回か交流をしながら産直に取り組んでいる「枝豆の会」など実践例を紹介しました。

 

富山の『地域水田ビジョン』は米中心

 JA富山中央会農政生活部長伊藤孝邦さんコメ改革によっておこる農村の変化を簡潔に説明しました。

 農政の対象は、担い手として認定された農家と集落営農組織だけ。需給調整は、作付け面積ではなく生産数量で。計画流通米制度がなくなり、検査米と検査外の米に分けられるだけ。

 そして、助成金の体系がガラリと変わる。新しい制度で補助金を受けるには「地域水田ビジョン」をることが条件とされるが、富山の風土を考えれば、県下の「地域水田ビジョン」は結局コメ中心で行かざるを得ないだろう。そうすれば「売れる米」をどう作るかが焦点になってくるだろう、と述べました。

 

米屋の願い 準産直で、生産者と消費者を結びたい

日本米穀小売商業組合連合会理事長の長谷部喜さんは、「8月に不作情報が出て、昨年産の米が大手に押さえられ、小売には回って来なくなり、米が高値になっているが、消費者の米離れを引き起こすのでないか心配である。量販店と違って米屋は固定客が相手で、地域に根っこを持っている。『お米マイスター』コメの特性(品種・精米・ブレンド・炊飯)を見極めることができ、その米の特長を最大限に活かした「商品作り」を行い、その米の良さをお客様との会話を通じて伝える事が出来る者制度で量販店にはできない消費者サービスをはかり、生産者と手を結んだ流通(準産直)で米を確保し、量販店に対抗して行きたい」と述べました。

 

コメ改革はあなたを農業から締め出すもの

全員を担い手にする方法はないか

 農民連全国事務局長笹渡義夫さんは、「コメ改革はあなたを農業から締め出すものだ。岩手県では地域水田ビジョンを集落ごとに作らせたので、本質が丸見えになった。農民が集まってみると、村の12〜3人のうちだれを「担い手」として残し、他のものを農業から追い出すか、という議論をしないわけにはゆかず、深刻な寄り合いになった。いま、75%の米は3ヘクタール以下の農民が生産しているから、この政策を実施すると、国内産米の品不足が心配される。今、農民には、如何にやめないように知恵を絞るかが問われている」と述べました。

 

「減反せず、全量を縁故米でさばけばどうなる?」       農民らの自問自答

参加者も「中山間地の自分の村では米が良質なので、縁故米として売ると、農協へ売るより5千円以上も高値でさばける。いっそのこと、補助金ももらわず、減反もしないで、全量を縁故米などで売りさばくというのはどうなのか」「いや、みんなが生産調整を離れて米を作ったら、それこそ生産過剰で弱肉強食の競争になり、弱者が離農を迫られて、政府の言う『あるべき姿』政府が減反政策などやらなくても、市場原理で需給調節が行われる状態が数年早く実現してしまうのではないか」などと議論に加わりました。

 

とりあえず今の改革に乗っかって

伊藤さん「米作りの先が見えない。とりあえず、今の改革に乗り、次の段階を見通して行くしかない。縁故米は、制度的にはOKだが、需給調整のためには、農協で集約することが大切」と述べました。

 

今度の選挙で農業を壊す政党にノーを

 長谷部さん「政治を変えなければ、日本の農政は保護政策には戻らない。生産者も意識改革が必要だ」と述べました。これを受けて笹渡さん「今度の米改革は財界の意向がつよく働いている。国民のための国造りの視点から、『本当にあるべき』日本農業の姿日本の食料をできるだけ日本で生産し、世界の食糧不足に貢献するを見定めて、生産者も消費者も変革の立場に立とう。自給率向上運動を国民的運動に変えよう。今度の選挙で、財界の意向をうけて農業壊しをする政党にきっぱりとノーを突き付けよう」と訴えました。

 



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