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2003年5月11日号


これが戦争
白血病、無脳症、水頭症…に苦しむ幼子
劣化ウラン弾がイラクの子どもたちに深刻な影響
森住氏 写真と公演で告発
富山市で

 「イラク・湾岸戦争の子どもたち」と題する森住卓(もりずみたかし)講演と写真展が憲法記念日の5月3日からこどもの日の5日にかけて、富山市民プラザで行われました。森住氏は世界の核実験場の被爆者を取材する著名なフォトジャーナリスト。

 5日の講演会では、実行委員会を代表して中央法律事務所の青島明生弁護士が「政府は、有事法制をつくろうとし、憲法9条を変えようとしている。それでいいのか。森住さんの写真とお話で戦争の現実を肌で感じて、判断の材料にしてほしい」と述べました。
森住氏は、91年の湾岸戦争で初めて使われた劣化ウラン弾がイラクの子どもたちへどんなに深刻な影響を与えているかを、多くの写真を示して告発しました。

 劣化ウランというのはウラン濃縮過程に出るカスのことで、放射性廃棄物として厳重に管理保管しなければならない物質です。この物質は堅くて重い。このため戦車の装甲を貫通する銃弾に応用されるようになった。10センチの厚さの鉄板を貫通すると摩擦熱で劣化ウラン弾は高熱を発して燃え、戦車内の兵士を焼き殺す。燃えたウランは霧状になりたい危険に広がり、地下水にも浸透する。湾岸戦争では300トンから800トンの劣化ウランが使われたという。この結果、広島に落とされた原爆の2〜3万倍の放射能が住民を襲っているという。
 おそらくこの放射能のせいで、湾岸戦争以後、白血病やガンが10倍にも激増した。無脳症や水頭症など先天的な障害児の出生率は1000人に3人も発生している。サダムの宣伝でなかったことは森住氏の「息の詰まる思い」で撮影された多くの新生児の写真が示している。
 愛くるしい少女の写真を示して、次に、チグリス川からの風がショールをはぎ取ったその時の少女の頭に黒髪がなかった、白血病の治療薬のせいだった、といって森住氏は急に咳き込んでしまった。

今度の無法なイラク侵略戦争
またも劣化ウラン弾を放った

 そんなイラクをブッシュは侵略した。またもやトマホークを打ち込み、劣化ウラン弾を放った。イラクを、保管に経費のかかる劣化ウランの捨て場にしたとも言える。森住氏は、手足を切断された人々、ゴミをあさる子どもたち、子ども専用の墓地などをシャープに写し取っていく。これが戦争なのだ。
 略奪に参加する無邪気な子どもの写真。とまどいながら撮ったという。略奪の横行によって、イラク人の統治能力のなさを世界にPRし、イラク人には自分たちで国を建てる力がないと思わせた。しかし、アメリカ軍が略奪を扇動した現場が「人間の盾」としてやってきていたスウェーデン人によって目撃されていたとのことだ。
 イラクに膨大な石油の埋蔵が確認されて以降、アメリカの中東戦略はイラクの弱小化に置かれてきた。イラクはあるとき排卵とたたかわされ、またあるときはクエートへの侵略をそそのかされた。今度は大量破壊兵器という濡れ衣を着せられて、国際的えん罪は成立した、と森住氏は強調しました。
 イラクの人々は黙っていませんでした。「US,UK,go out! Iraq is ours,not American's」と横断幕を掲げたデモの写真が映し出されると、満席の参加者も深く共鳴した。(M)

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