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2002年2月17日号

「食料の安全と農業を考える」つどい

目次
講師の話(2月17日号)
質問と答え、アンケート結果へジャンプ(2月24日号)
アンケートに書き込まれた意見の数々(3月3日号)


BSE(狂牛病)問題の根っこは
輸入依存、効率優先の農政に


 あいさつする砂田喜昭市議「食料の安全と農業を考えるつどい」が2月10日、総合会館で会場いっぱいの90名が参加して開かれました。日本共産党呉西地区委員会、小矢部市委員会と農民運動富山県連合会が共同で開催したもので、畜産農家や肉屋さん、行政や農協関係者、女性団体や消費者など多彩な人々が参加しました。
 開会のあいさつで日本共産党の砂田喜昭市議は、「木島日出夫衆院議員が昨年末に酪農家を訪ね狂牛病被害の実態調査をしました。それに同行して、被害の深刻さに驚き、このままでは日本から酪農がなくなる危機感を持ちました。私たちができることは何か、牛肉を含め食料の安全と農業のあり方について勉強することからはじめようと、この『つどい』を計画しました」と述べました。
 続いて、「富山の食を考える懇話会」運営委員長の大浦栄次氏、「農民運動全国連合会」狂牛病対策本部事務局長の石黒昌孝氏、「日本共産党中央委員会」農漁民局長の有坂哲夫氏から話を聞きました。
 今回のリポートは、3氏の訴えを中心に報告します。

肉骨粉流通ルート解明を
輸入食品は農薬付け

イギリスから広がった狂牛病 大浦栄次氏はBSE(狂牛病)発生の歴史的経過についてスライドを使って説明し、「反芻(はんすう)動物に肉骨粉を食べさせたこと(これは共食いである)が最大の問題であること、一番最初に発見されたイギリスが自国の肉骨粉を国内で使わないようにしながら、それを外国へどんどん輸出したこと、日本には333トン輸入されたことになっているが、第三国を通じてやみルートで輸入されたものがあること、ところがその実態がまったく解明されていないことが問題であり、『原因究明の必要はない』という農水大臣の態度はもってのほかだ」と述べました。
 また、スライドを使って輸入食品の農薬漬けの実態について、自身がフィリッピンや中国、タイなどで見聞した事実を紹介し、参加者に衝撃を与えました。

対策怠った政府に
責任追及と完全な補償を


 石黒昌孝氏は、「日本政府が世界保健機構(WHO)の96年の勧告(肉骨粉の使用禁止)を受けても法的規制を行わず、一片の通達で済ませたこと、しかもこの通達は農協など、農業関係者にはまったく伝えられなかったところに、国の責任がある。酪農家、肥育農家は知らないまま飼料に肉骨粉を混ぜられていた」と告発し、損害を武部農水大臣に請求書を出す運動や署名運動を呼びかけました。
 また、福島県二本松市では牛1頭に6万6千円の補助を出したり、牛肉のキャンペーンに補助を出したりしている各地方自治体の支援策について紹介しました。
 アメリカの牛肉は安全かと問い、アメリカ農務省自身が半分はO157だといっている、EUはアメリカの肉を食わないと述べ、安全、安心な国産の食品を提供できるようにすることが大事だと強調しました。

食の外国依存は危険
日本共産党の農業政策訴え


 有坂哲夫氏は、「こういう事態を招いた背景は@日本の食糧を輸入依存にさせ、A安全より効率を優先させた政府の政策にある。これに危機感を持っていない農水省が問題」と指摘しました。
 自民党と日本共産党の農業政策の違いについて、「農業は工業と違う。農業はその国、その地方の自然的条件を活かしていかなければならない。だから大規模化一辺倒ではなく、その地方にあったやり方を取り入れるべきだし、畜産でも専業も大事だが、同時に複合的な経営(畜産と耕作の組み合わせ)もできるようにすべきだ。そのために日本共産党は食料の自由化に反対したし、価格保障制度の確立を訴えている」「狂牛病対策の緊急法案を野党4党で法案をまとめているが、国会内で与党に協力を働きかけるとともに、この法案を農民団体などに持ち込んで国民運動で実現させるように努力している」と述べました。
 「食の安全を確保するには外国依存は危険」、「日本のような国では一定の輸入は必要だが、国内で生産できるものをつぶすのはおかしい。そのためには国境措置(輸入規制)が必要だ」と強調しました。「もうひとつは日本は亜寒帯から亜熱帯まで、地域性がたいへん豊かなので、地域にあった食料、農業生産が大事だ。冬にきゅうりを食べられるということより、旬のものを食べられることが健康にとっても大事でないか。そのためには生業として生活できる価格保障が大事だ」と述べました。これに関連して日本共産党の食品安全確保法案についても紹介しました。


 会場からは、「ハムは安全なのか」とか「牛肉の安全性は本当なのか」などの質問が出され、食品の安全について強い不安や不信が示されました。
 会場前スペースでは、農民運動富山県連合会がこの日のために、戸出の畜産農家が生産されたBSE検査合格の安全な牛肉を販売し、たいへん好評でした。
参加したある肉屋さんは「共産党は時宜を得た催しをしてくださった。これを機に、牛肉の安全性について徐々に不安が解けはじめてくれればありがたい」と語っていました。
 参加者から27通のアンケートが寄せられました。
 来週号は参加者の声を中心にリポートします。

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BSE全頭検査
合格した牛の肉は安全


 BSE(狂牛病)問題をめぐる畜産農家、酪農家、関連業者の被害と消費者の不安が広がるなか……13日の衆院予算委員会で、日本共産党の中林よし子議員の追及に、小泉首相は「今までの対応に手抜かりがあった」と認め、「(被害補償の)有効な手だてを今検討中」と答えました。国民の怒りがじわりじわりと政府を追い込んでいます。


 先週号に続いて、日本共産党小矢部市委員会などが開いた「食料の安全と農業を考えるつどい」(2月10日)から、参加者の質問に答えた講師の話とアンケート結果をリポートします。

質問 今日、会場で農民運動富山県連合会が販売している牛肉は安全?子供が好きなハムは大丈夫?

◆ 県の「家畜保健衛生所」による全頭検査で異常プリオン(原因物質)を検査し、検査合格(「安全証明書」交付)を受けたものを皆さんに提供している。<農民連富山・水越氏>
◆ ハムの原料は、豚だけのものや豚と魚でつくったものがあり、全く安心。<参加された肉屋さん>

質問 "富山産"のラベルは信用できる?

◆ 悪徳業者は別として、間違いない。地元のものが安全だという考え方が広まっている。JAS法(品質表示の適正化法)の中でも産地表示が義務づけられてきた。<農民連富山・水越氏>

質問 知り合いの肉屋さんは、客が3分の1ぐらいに減って困っている。学校給食での牛肉再開にも不安が多い。

科学的説明や啓蒙・宣伝の名案は?

◆ 異常プリオンが検出されなければ安全だとされている。発症するまでの潜伏期間が長く、肉骨粉のルートがきちっとされていないので、安全な牛でも安心できないと思われてしまう。国が総力を挙げてヤミルートも含めてえさのルートをはっきりさせれば、「そこには危ないえさが届いていなかったから、むしろ検査しなくてもOK」ということになり、不安は払拭できる。<食を考える懇話会・大浦氏>
◆ 加えて、酪農家は、初乳(生後すぐ飲ませる母牛の乳)期がすぎて与える代用乳(人工乳)に、肉骨粉が使われていた可能性があることを心配している。この点を含めたルートの解明をやるべきだ。飼育の段階で代用乳やえさに肉骨粉を使っていないならば、安全性が高いことは確か。もし異常プリオンが検出されても、肉に入っているわけではないので安全【異常プリオンは、牛の脳、眼球、せきづい、回腸下部の4カ所だけにある】。肉専用種は肉の質が落ちるので、肉骨粉はやられていないはず。全頭検査をするというのは、チェック(BSE牛の肉を市場に出さず、食卓に上がらせない)体制ができたということ。
一方、政府の数々の失態による政治不信の結びついた安全に対する不信が強い。消費者、流通業者、生産者がしっかり声を上げ、起きている事態の原因究明と被害補償を完全にさせ、国の責任で農業生産を効率優先ではなく安全第一にさせていくことが求められている。<日本共産党農漁民局長・有坂氏>
◆ 牛肉の安全確保には、生まれてからどんなえさを食べさせ、どのように飼育したか、どこで解体したかがわかるようにすること、飼料会社にえさの内容を公開させることが大事。<全国農民連・石黒氏>

それでも…心配…
当日終了後のアンケートから

<回答者27名>
BSE(狂牛病)問題に関して
★ 今、流通している牛肉の安全性
わかった… 10名<37%>
まだ不安… 16名<59%>
その他…  1名< 4%>
★ 学校給食のメニューに、牛肉の使用を再開すること
賛成 …13名<48%>
時期尚早 … 7名<26%>
反対 … 2名< 7%>
その他 … 5名<19%>

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食料の安全と農業を考えるつどいのアンケートから

牛肉 それでも心配・・・そのわけは

 日本共産党小矢部市委員会などが開いた「食料の安全と農業を考えるつどい」(2月10日)当日のアンケートから、BSE(狂牛病)問題を中心に、参加者の声を紹介します。<27名が回答>

◆ 今、流通している牛肉の安全性について
 わかった…10<37%> まだ不安…16    <59%> その他…1<4%>のうち、

「まだ不安」「その他」という方の意見

・農水省のウソの話などがありどこまで信じればよいのか、政府の対策が完全であるといえず、飼料製造企業が信用できない。(4人)
・ 雪印のようなルールもモラルもない会社があるから(3人)
・ 潜伏期間があるので検査で安全と言われても完全保障といえない(3人)
・ 餌のルート解明が不十分(2人)
・ 輸入肉が心配(2人)
・ 検査の抜け穴があるように思う(1人)
・ ラベルは信用できず、まだなんとなく(1人)
◆ 学校給食のメニューに、牛肉の使用を再開することについて
賛成…13<48%> 時期尚早…7<26%>  反対…2<7%>その他…5<19%>のうち、

「時期尚早」「反対」「その他」という方の意見

・ まだ安全性がはっきりわからないのに、成長期の子どもに食べさせるにはまだ問題がありよく調査して結果が示されてから。(7人)
・ 生産者と飼料がはっきりしたものに限定してなら賛成(地元の安全安心な牛肉を)(4人)
・ 政府の食料政策や企業が信用できないから。(2人)
・ 判断できない 。(1人)

◆ その他 つどいに参加しての意見や感想から

・ 畜産農家、肉屋、焼肉屋、消費者の橋渡しとなって組織し、行動を起こして運動を発展させ政府を追い込んでほしい。
・ 輸入野菜について考えさせられた。 @アジアからの輸入で自国の国土荒廃があること A農薬漬けであること B安全が確認されていないGE食品(遺伝子組替食品)が多量にあること
・ 輸入食品がいかに危険か、どんな輸入品も食べたくなくなった。自給率を高め安全安心な農業を発展させるため、政治を国民中心にしなければならない。

   この「つどい」では、安全な食料の提供には農政を国民本位に変えることがなによりも大事だということが浮き彫りになりました。3号にわたったリポートは、今回で終了します。

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