赤旗読者通信のページ
2002年1月号

日本共産党砺波地方議員団が発行したビラです。
2002年5月23日、合併後の地方交付税の試算を改めました。

市町村合併
決めるのは住民です。市町村長や議会だけにまかせず、
みんなで考え、住民投票で結論を出しましょう
 2002年1月

 昭和の大合併でどうなったか
利賀村と大長谷
 利賀村と大長谷村は隣村でした。合併しなかった利賀村は現在まで存続していますが、昭和32年に八尾町と合併した大長谷村はその後88世帯134人へと、急激に過疎化が進みました。
 合併しなかった利賀村で人々が生活できた大きな要因は、役場があって、年間35億円(平成11年度決算)を使って行政サービスを提供していたからです。
 山に人が住めなくなったらだれがこの国土を守るのでしょうか。

項目 利賀村 旧大長谷村
合併前人口 3246名(昭和30年) 1682名(昭和32年)
平成12年人口 1110名(451世帯) 134名(88世帯)
合併前人口対比 34.2% 8.0%

利賀村の人口は「富山県の人口、平成12年版」(富山県)、大長谷地区の人口は「八尾町史」、八尾町のホームページより


 合併でリストラを懸念されるのが、保育所、幼稚園、学校

 合併による行政サービス低下が一番心配される分野に保育所、幼稚園、学校があります。
 「砺波地域合併に関する研究会(12市町村の担当課長で構成)」が11月にまとめた「中間報告」は、12市町村が合併した場合と、類似市町村との職員数を比較しています。12市町村の現在の職員数は、類似市町村より702人多くなっています。類似市町村の職員数まで削減するとすれば、民生部門で346人(うち保育所関係297人)、教育部門で98人を削減しなければなりません。
 保育所や学校、幼稚園の整理統合をしない限り削減できない数です。合併によって過疎地ではますます子育てが困難になる恐れがあります。
 文部科学省は手回しよく、合併に伴い学校を統廃合しやすくするための「支援プラン」を用意しています。

議会 総務 税務 民生 衛生 労働 農林水産 商工 土木 教育 消防 合計
全体 内保育所など
砺波地方12市町村 現在の職員数 28 330 77 599 437 121 6 112 52 118 405 202 2050
類似団体の職員数(都市W-2) 10 208 69 253 140 125 6 59 23 146 307 142 1348
類似団体の職員数にするための削減数 18 122 8 346 297 -4 0 53 29 -28 98 60 702
削減数全体に占める各部門毎の割合 2.6% 17.4% 1.1% 49.3% 42.3% -0.6% 0.0% 7.5% 4.1% -4.0% 14.0% 8.5% 100.0%


「安居保育所の存続はあるのか」
(福野町地区説明会で)


合併したら高岡市の6倍以上の広さ
これで地域の一体感が生まれるのでしょうか


 12市町村が合併するとその面積は988.69平方キロメートル、富山市208.81平方キロメートルの5倍近い広さになります。高岡市は150.55平方キロメートルで、高岡市の6.5倍以上です。これで地域の一体感がかもし出されるというのでしょうか。

ご存知ですか
合併すると、地方交付税が激減


 現在12市町村に交付されている地方交付税(普通地方交付税のみ)は合わせて240億円、ところがひとつの市になれば現行制度のままでも140億円(195億円)へと激減すると推測されます(注1)。国は合併に伴う特例措置として、10年間は240億円を保証し、その後5年間かけて140億円(195億円)に減らすといいますが、結局15年後には合併した新しい市では大リストラを強行しなければやっていけません。保育所の整理統合、学校の統合が避けられません。

注1 地方交付税=類似団体の基準財政需要額(32,081,358千円)―12市町村の基準財政収入額の合計(18,032,497千円)=14,048,861千円。

類似団体の基準財政需要額は北上市の一人当たりの基準財政需要額(203,314円)に12市町村の人口(157,932人)をかけた金額として試算。北上市は人口9万人、面積437平方キロメートルで、砺波地方12市町村の44%の広さ。基準財政収入額は、合併しても12市町村の税収が増えないとして試算。数字は合併研究会の「中間報告」より。

なお、日本共産党発行の「議会と自治体」誌2002年6月号には、類似団体の人口から推計するやり方は当たる場合も、はずれる場合もあるので不正確との指摘があります。推計する場合には、段階補正をなくした場合の数値を使った方が実際に合っているとのことです。これにもとづいて計算すれば、砺波地方合併研究会の試算によると普通地方交付税は合併すると45億円が減額されるとしています。12市町村に来る普通地方交付税は195億円になると見られます。これは人口10万人の規模の場合ですから、16万人の市になった場合、これよりも少なくなると予測されます。しかし、いずれにしましても、合併すると地方交付税が激減することに変わりはありません。


和歌山県当局は合併によって県全体(和歌山市を除く)の地方交付税が992億34百万円から457億61百万円に半減すると試算しているそうです(日本共産党和歌山県委員会の見解より)。

参考 平成11年度決算にみる地方交付税額(特別交付税を含む)
砺波地方12市町村の合計290億円。富山市124億円。高岡市87億円。北上市93億円。

「合併しないと削減」は脅し
押し付け合併反対の声を

 「2億円から5億円近く地方交付税が減らされる」、「こうなると合併しかない」。
 この根拠にされているのが「砺波地域合併に関する研究会」の「中間報告」。これは人口10万人以下の市町村に地方交付税を割り増し交付するための段階補正がなくなることを前提に試算しています。この前提そのものが無謀なものです。全国で2558町村すべてと671市のうち445市が削減対象です。3229市町村のうち226市だけが削減されないような地方交付税法の改悪は、法の目的に反する違法行為です。このような改悪を許さない運動こそ大切で、あたかもこれが通ることを前提に議論するのは、自分で自分の影におびえているのと同じです。
いまこそ、このような「脅し」に負けず、「押し付け合併反対」の声を上げるときではないでしょうか。

地方交付税とは
 「地方団体の自主性を損なわずにその財源の均衡化を図り、…地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方公共団体の独立性を強化すること」(地方交付税法第1条、目的)。つまり、財政力が豊かな自治体に住んでいても、人口が少なく財政力が乏しい自治体に住んでいても、同じ日本国民として必要な最低限の行政サービスを受けられるように、財源の均衡を図る目的で地方交付税があります。
 地方交付税は、国が地方に代わって徴収する地方税で、地方公共団体共有の固有財源です。これを国の財政の都合で勝手に削減することは許されません。しかも地方交付税(20兆円)の半分は都道府県に(11兆円)入っており、町村に配分されるのは4分の1(5兆円)に過ぎません。人口の少ないところの交付税を削減しても、交付税全体に与える影響は少ないのです。

 700億円の合併特例債で
 無駄な公共事業に走らないか

 「合併すれば700億円の合併特例債が使える」
 しかし、これは借金で、国が地方交付税で返済分の70%まで見てくれるとは言いますが、税金で返さなくてはなりません。
 無駄な公共事業に使ってしまうことが懸念されます。小矢部市長は120億円で新幹線石動駅をつくりたいとしています。

合併で
住民の声が届きにくくなる

高岡市戸出のある人は、「市長がめったに来たことがない。議員が二人しかいなく、パイプが細くなった。」と嘆いています。合併すると、住民の声が届きにくくなることは目に見えています。
庄川町は人口増対策で町独自に定住促進奨励金(例えばUターン定住者に10万円)を行っています。ほかに結婚祝い金(1組5万円)、第3子育児奨励金(1子につき月額1万円)、奨学奨励資金(大学生月額4万円など)などがあります。合併したら、庄川地域だけでこれらの独自制度を続けられるのでしょうか。

福野町の地区別説明会で出された懸念より
「合併した場合、イベントや祭りなどいままでどおり実施できるのか」
福野町や小矢部市では夜高、曳山車などに独自の補助を出しています。
「合併後の病院経営はどうなるのか」
自治体営病院として砺波総合病院、井波総合病院、福野厚生病院、南砺中央病院(建設中)があります。
「下水道が遅れているが、合併によりさらに遅れることはないか」
福野町の下水道普及率は80.7%で(福野町安居地区がまだ)、砺波市は37%。
「JAの合併に懲りているから、砺波市との合併はいかがなものか」

発行 日本共産党砺波地方議員団

砺波市 西尾英宣
0763-33-6118
城端町 中島満
0763-62-3203
庄川町 藤永皋
0763-82-3531
井波町 坂本勝彦
0763-82-4383
福野町 吉井覚
0763-22-6264
福光町 石崎清司
0763-52-1802
小矢部市 砂田喜昭
0766-67-4322
福岡町 大井武
0766-64-3272

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