赤旗読者通信のページ
2001年8月19日号
わが子の成長を信じて辛抱強く
不登校問題全国のつどい
「第6回登校拒否・不登校問題全国のつどい」が、八月四〜五日に越後湯沢で開かれました。「悩んでいらっしゃるお父さん、お母さん、集いましょう。わが子の成長を信じて、辛抱強く、我が子とともに悩み、歩みましょう」との呼びかけに答えて、約一千名の、父母、こども、研究者、相談員などが集まり、温め合い、励まし合いました。
傷だらけになりながらも
「まんざらでない」自分に気づくことが自立の有り様
始めに三上満さんがルソーの「わたしたちは二度この世に生まれる」という言葉をひいて、「二度目の誕生、つまり自立も陣痛をともなうなかなか困難な坂道なのだ。立派な自分ではなく、傷だらけになりながら『まんざらでない』自分に気づくことが自立の実際の有り様なのだ」と講演しました。
「家庭で」と「学校で」という基礎講座、「医療とのかかわり」「いじめと登校拒否・不登校」「引きこもり・家庭内暴力」の三つの特別講座が開設され、同時平行で、小、中、高別の登校拒否・不登校を話し合う分科会や「家庭の役割と家庭作り」「手をつなぐ輪を広げて」などの八つの分科会が設定されました。
「親の思いをゆっくり聞いていただける場面、時間に出会えて本当にうれしく思います。子どもへの語りかけにもこんなふうにしてゆこうと思いながらの時間でした」(中学校分科会)「自分の、これでよいという道を見つけるには何年も何年もかかるのだなあと思う」一方、「この子が働ける優しい職場があるか、この不況の中で、不安」(青年分科会)という親の声と交じって「祖母はどう不登校問題とかかわっていけばいいのか。嫁との確執が孫の不登校を長引かせているのでは」(小学校分科会)などの、自分を見つめる意見も出されました。話すことで、交流することで悩みから脱出する見通しを持ちたいとの真剣な思いが伝わりました。
社会的ひきこもりについて
「夫婦で同じ話を聞くことができてよかった」
五日の午後に、精神科の斎藤環先生の「社会的ひきこもり」という特別講座がありました。先生は社会的ひきこもりへの対応の基本的構えを、臨床例と原理で裏付けつつ、簡潔に話され、引きこもりの子どもの暴力や金銭管理などのトラブルに上手に対処する方法も、質問に応じて紹介されました。
この講座を聞きたいとはるばるご夫婦で参加された方は、「自分たちが子どもにしてきたことで、正しかったことと間違っていたことが整理され、参考になりました。なによりも、夫婦で同じお話しを聞くことができ、家庭での対応にちぐはぐしたものが少なくなると思います」と話してくれました。
なお先生の『社会的ひきこもり 終わらない思春期」という本がPHP新書で出ています。七月末には「若者のすべて 引きこもり系列VS自分探し系」という本も同じ出版社から発行されていますのでご紹介します。