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2001年7月29日号

ケーブルテレビ工事の契約
税金を使うことを、市民は合意していない
               砂田市議の反対討論
 7月17日、臨時市議会が開かれ、ケーブルテレビの設備工事の請負契約締結の議案が審議されました。契約金額は12億8310万円で、伊藤忠商事ネットワーク・コンテンツ部と契約することになりました。
日本共産党の砂田市議は、次の反対討論を行いましたが、自民党議員らの賛成で承認されました。



最大の問題は、市民の合意を得ないまま、税金を使ってケーブルテレビ事業に着手することです。

通信、放送の分野には
税金を使わないでやってきた


 もともと通信と放送という分野は、税金を使わず、民間の資本、あるいはNHKのように受信料、NTTの前身である電電公社では電話の債権で行うのがわが国のルールでした。議会運営委員会で九州のケーブルテレビ事情を視察してきましたが、テレビの映りが悪いとか、チャンネル数が少ない問題の解決に当たっても、民間の資本でケーブルテレビ会社を立ち上げて実施しており、そこには税金が使われていなかったのです。当小矢部市において、なぜ民間の方々がケーブルテレビに乗り出さなかったのか、それはその必要性が低く、実際に採算が取れるのか、確信が持てなかったからではありませんか。

市民の合意を得ないまま
突っ走るやり方に問題が山積


 こんどのケーブルテレビ事業について、なぜケーブルテレビが必要なのか、他の通信、放送手段との比較ではどうかなどを、市民参加で十分に検討がされないまま、国の補助金が有利だというタダそれだけのために、この事業に飛びつくという、拙速なやり方が問題なのです。
 その結果、放送事業者の免許を小矢部市が取得していながら、TSTとの契約内容がいまだに不明で、はっきりしているのは、小矢部市が市民の税金で工事をするのに、利用料金を自主的に決定できないということです。また、加入者が思うように増えなかったら、運営費について小矢部市が税金でどこまで負担しなければならないのか、また、TSTの経営にどの程度かかわるのか、負債についての責任はどの範囲なのか、このような基本的な問題が9月議会になってみないとわからないというのが6月議会での当局説明でした。こうしたなかで工事の契約という既成事実を積み重ねて、ごりおしするというやり方は、市民の合意抜きの姿勢だという批判を免れません。

議会への説明も不十分なまま強行

 議会軽視も問題です。今日の全員協議会でも議論されましたが、13億円近い工事契約の議案について、議員の側から注文がついて初めて、後で説明資料を提出するという。しかし、とにかく議決だけはしてくれというのは、議会軽視です。
 また、加入促進のために、町内会に1万円と、戸数割250円を謝礼として渡すということも、議会には事前に具体的な説明がないまま、実施しようというものです。

加入するしないのプライバシーに
配慮を


 加入促進に当たっては、市民が自主的に選択できるよう、決して押し売りをしないことです。町内会長に加入申込書を提出するというやり方で、プライバシー、つまりだれが加入し、だれが加入しなかったかという個人の選択を守ることはできるでしょうか。町内会ぐるみで取り組むことになると、加入しないと肩身の狭い思いをさせるのではないかという懸念を寄せられた方がいました。

利用料負担を勘定に入れれば、
必要性をじっくり考えても損はしない


 加入すればどんな有利なことがあり、またどんな負担がかかるのかの内容を具体的に判りやすく説明する責任が市にあります。加入促進期間中に加入すれば加入金と引き込み工事費で7万円余りが無料となりますが、あまりテレビを見ない人にとっては、じっくり考えて、3年後、4年後にやっぱり必要だと思ったときになって初めて加入することにしても、利用料金の2年間分を勘定に入れれば、利用料金の2年間分は7万2000円ですので、市民の経済的負担はかえって軽くなる計算になります。見たいテレビ番組を現状で満足している方については、3年、4年と、待っても決して損ではないのです。こうしたこともちゃんと説明して、ケーブルテレビの加入促進に当たって、決して押し売りをしないということを強く要望します。

工事契約の概要

 下記事項について、口頭で市議会全員協議会に報告がなされた。しかし、13億円近い工事契約に対して文書による説明がないとして、強い意見が出され、当局は後日文書で報告すると約束したが、議決だけは当日中にしてほしいということであった。

企画提案方式(プロポーザル)による随意契約

 小矢部市が企画提案審査委員会で選定した業者は日本電気、松下電器、日立製作所、富士通、伊藤忠商事の5社。このうち日本電気と日立製作所より辞退届けあり。

提案された金額

伊藤忠商事 12億86百万円
松下電器 12億68百万円
富士通 12億14百万円

選考経過について

 富士通は光ケーブルの割合が少ないとの理由で対象外に。

比較検討事項 伊藤忠商事 松下電器
伝送路周波数 870MHz 770MHz
保守体制 年6百万円で2年間無料 8百万円で1年間無料

 この他伊藤忠商事がTSTにかかわっていたことも考慮され、伊藤忠商事と随意契約することになった。

 この工事は市内一円の伝送路と加入予想5000世帯分の引き込み工事費で、予算では13億5千万円を見込んでいた。
 この他、クロスランドホールにスタジオを5千万円で増設(7月30日入札予定)、スタジオ設備(カメラ、収録・調整設備)に5千万円を予算化(9月発注予定)しています。

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