赤旗読者通信のページ
2001年5月27日号
どの子も基礎学力と市民道徳を身につけられる学校を
『みんなの会小矢部』総会開く
5月19日、「みんなの会小矢部」(明るい富山県政をみんなでつくる小矢部市の会)は、総合会館で総会を開きました。代表世話人の堀内さんは、「この会の発端となった砺波女子高校の改編は『となみ野高校』の発足によって一区切りとなったが、その根底にあった、少人数学級を認めない、という考え方はそのままになっている」と指摘。どの子も、基礎学力と市民道徳を身につけられる学校を、というみんなの願いを実現するために、本会の活動はますます求められていると挨拶しました。
総会は昨年度の活動経過と会計決算を承認し、今後の課題と活動方針を採択しました。「みんなの会小矢部」が中心になって取り組むこととして少人数学級の実現、子育て支援の課題を上げています。また、町づくり、第三セクター問題、介護保険改善の問題、水道料金引き下げの課題なども、他の団体とともに取り組むことにしています。
なお、役員には、堀内代表世話人、砂田事務局長などすべての役員を再選しました。
教育懇談会
「学力の低下が心配」
その背景は
「みんなの会小矢部」は、総会の後、「学校についての悩みや疑問を語り合いましょう」と、教育懇談会を行いました。
始めに、富山市立堀川南小学校の中村弘之さんが「今日の学力問題について」と題して話をしました。中村さんは、近ごろの日本人は「マニュアルどおりにしか動けない・事実を論理的に分析する力が極めて弱い国民」になったとし、「経済優先の効率主義が学校に持ち込まれて、学力低下が国民的規模で広がっている」、と指摘しました。そして、学習指導要領のやせおとろえぶりを、いくつかの例を示しながら説明しました。それは、教育基本法の示す学力内容から離れていくことでもありました。
塾頼みが心配
懇談の中で、小学校に子どもを通わせている親は「学習指導要領が悪くなる、というのは分かった。じゃあ、私らはどうすればいいのか。毎日学校とスポーツ少年団の往復では、塾へもやれないが・・。」と率直な不安を語りました。
少人数学級が「わかる学校」の条件
小学校の先生からは「2年生後半で、繰り下がりのある引き算を学習するが、まだ分かっていない子がいることが分かっていても、次へ進まざるを得ない。もっとていねいな対応ができるように、少人数学級を早くお願いしたい。私の学校では、算数の授業はチームテーチング方式ではなく、学級を2つに分けて、それぞれの先生がそれぞれの子どもを教える(少人数学級方式)ことになっている」と述べました。
JRや電力の会社に働く参加者からは、最近の若い労働者は、マニュアルどおりに作業をすることはうまいが、仕事の基本的原理や事実を知らないので、自分の責任で判断できなくなっている、と職場での低学力の実態を説明しました。
また、家族労働を中心にした産業構造のなかでは、子どもが労働を通じて、自然や社会の基礎的事実を体得し、親や地域が人間教育を含む教育を適切に行っていたが、企業が高利潤を追求するなかで、産業の効率は、教育の効率と両立しなくなった、とも指摘されました。
長時間労働が子育ての障害に
若いお母さんは「家族の機能が大きく変わった。人との関わり方など、昔は自然に習えたことが今は学校で習わなくてはならなくなっている。少子化がこれに拍車をかけている。親は共働きで、父親は子どもの顔を1週間も見ない、祖父母は叱らず、母親は飴とムチの両方をもった人にならなければならない例も多い。学校では人間関係も教えてほしい。」と訴えました。
多くの参加者は、新しい指導要領では、例えば小数第1位どうしの演算しか扱わないとしていることに、「これでは、πは3・14だと、筆算ではできない。利息の計算もできない」と憤慨、「どうして学力が低下すると分かっているやり方をするのか。しかも、学校の先生はものすごく忙しく、長時間労働になっている。当事者だけの問題にせず、市民もこれに手を貸して学校や教育委員会へ『ものを申す』ことが大切だ」という意見に賛同しました。
中村さんも「学校の問題を国民全体の問題と考える視点はとても大切です。企業の生き残りをかけた搾取の中で、家族がバラバラになり、地域が壊され、子どもの遊びの空間も断たれています。国民の大きな力を集めて改善を迫ることが大切です」と強調、懇談会を締めくくりました。