赤旗読者通信のページ
2000年11月6日号
分権時代の議会改革
これを赤旗読者通信に掲載する予定はいまのところありませんが、とりあえずインターネットで公開します。
2000年11月6日
市議会議長会の研修会に参加して
砂田喜昭
私なりに小矢部市議会の運営に参考になると思ったことをまとめました。文責はすべて砂田です。
演題は「分権時代にふさわしい議会改革」で、講師は全国市議会議長会調査広報部長の加藤幸雄氏です。
「市長と議会は車の両輪」論は自転車の前輪後輪のこと
加藤氏は、これを自転車にたとえ、ペダルを踏む後輪は市長であり、ハンドルを握る前輪は議会だと述べたが、なかなかうまいことをいってくれたと思いました。リヤカーの両輪のような一心同体でなく、議会がコントロールする役割を強調されたものです。
これを受けて市長と議会の関係を「機関対立型制度」と表現され、一番民主的な制度だと強調された。議院内閣制のイギリスでもこの7月に、ロンドン市で地方自治が復活したが、そのやり方が大統領制とも言われる日本の地方自治に似た制度になったということは、初めて知りました。大統領制というのは、執行権を持つ市長も、それをチェックする議会も、住民の直接選挙で選ばれる制度で、お互いにチェックアンドバランスが大事だと強調された。
地方自治法で議会をがんじがらめにしたのは、昭和31年の改革で、旧内務官僚の鈴木俊一氏らが中心に、議院内閣制のやり方を、大統領制の地方自治に持ち込んだものだと加藤氏は指摘された。これを改善する方向で規制緩和が進んでいるとして、議案提案権が議員の8分の1だったものが12分の1になったことなどを例として指摘された。
執行部に好まれるような議会改革はありえない
地方分権時代の議会改革は「執行部に好まれるような議会改革はありえない」と述べられたが、全く同感であり、小矢部市議会の改革もこの方向で進めるべきだと思いました。これが大統領制をとる地方自治法の立場だということも、よくわかりました。
加藤氏は、「委員会制度が地方議会の審議の中心だ」と強調された。「議会改革が委員会制を否定するようなものになってはならない。そこには議員の数の問題もある」と述べられた。「その委員会の規模は7名が望ましい。議員定数が削減されて、そのような委員会構成が困難になっているもとで、1議員が1委員会に所属する現在のようなやり方がよいのか」と、疑問を呈された。そして、委員会を萎縮させるような議会改革は改革でないと強調されたのには、全く同感でした。
一般質問の時間制限、回数制限は議会の自殺行為
一般質問について、市長の見解を質す重要な意義があるとされ、特に市長に対するチェック機能を果たす重要なことだと述べ、一問一答方式が大事と強調されました。これをやっているのは別府市議会だそうです。議事録には「答弁者なし」ということも書いてあり、一問一答方式だと、鋭い追求で答弁に立てない事態も伺えるそうです。これが一般質問の役割ですが、小矢部市の場合、部長に答弁させて市長が答弁に立とうとしない傾向が強く、私は議会運営委員会でもこの改善を求めているところです。
一般質問の時間制限や回数制限は議会の自殺行為だという指摘は大変重要です。小矢部市議会にもおおむね1時間という時間制限が最近持ち込まれましたが、加藤氏の言うようにこれは議会の自殺行為の一つです。改善が必要です。
討論は敵を味方につけること
また、討論の重要性も強調されました。特に討論することについて「敵を味方につける」という役割を指摘されましたが、私は「なるほど」と大変感心しました。議案に対する賛否の理由を議会報などでちゃんと住民に知らせることが大切だとの指摘は、全く同感です。
議会報に議員名、会派名、顔写真の三点セットが必要
議会報についても、読んでもらう工夫が大事で、もっとビジュアルなものにすべきだと指摘された。よい例として静岡県の島田市の例が紹介され、「個人名」「会派名」「顔写真」の三点セットがどうしても必要だとの話に、「我が意を得たり」の思いでした。小矢部市でも改善が必要です。
事務局体制の強化策については、「地方分権」8月号に(発行・ぎょうせい)、議会による規則制定権については、「地方財務」11月号に、加藤氏が論文を載せているそうなので、いちど読んでみたいと思っています。