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2000年9月17日号

2000年9月議会での砂田喜昭議員の質問要旨です。答弁はここをクリックしてください。

(1) 街路事業計画について
(2) フロンティアパーク計画について
(3) 固定資産税の評価について
(4) 介護保険実施5ヶ月目の課題について
(5) 米価値下がりが続く中での農業問題について 

(1)                            街路事業計画について

1)                       道路拡幅計画に住民の合意がなされていないことを示したアンケート結果について

日本共産党は先月下旬、こんどの街路事業が予定されている新富町から今石動1丁目までの450メートルの区間で、沿線住民の意見を聞くためにアンケートを実施しました。アンケートを配ったのは110軒ほどでしたが、91日現在、80通の回答が寄せられ、賛成が25通、反対が26通、どちらともいえないが32通でした。賛成の方は、「道路が狭く、交通に不便だから」と言う方が圧倒的ですが、流れに任せると言う方も七人おられました。反対の方は、その理由として「両側の溝の蓋をすれば、自動車のすり替えは充分である」、「商業も成り立たなくなった今日では、道路のみ、必要以上に広げても、街の活性化につながらない」などを上げています。どちらともいえないという方は、その理由として「道路を広げる事は必要だと思うが、計画ではあまりにも広すぎる」、「立ち退きで町が寂れる」と言うものでした。

この道路拡幅計画に対する賛成が3割台は少なすぎます。反対がそれを上回っていることは、この道路拡幅計画に住民の皆さんの合意がなされていないことを示しています。現状のまま、計画を強行することは地方自治、民主主義の立場から見て、問題が大きいと思います。見解をお尋ねします。

2)                       都市計画決定にどれだけ住民の意見が反映されたか

都市計画法第16条は、「都市計画の案を作成しようとする場合において、必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とされています。第2項では、「地区計画等の案は、…その案にかかる区域内の土地の所有者、その他政令で定める利害関係を有するものの意見を求めて作成するものとする」とされています。

そこでお尋ねしますが、昭和20年代に都市計画の案を作成したとき、また、昭和42年に計画を見直し16メートルに道路幅を拡幅する計画に変更したときに、住民の意見を反映させるためにどのような手立てがとられたのか、お答えください。公聴会は開かれたのでしょうか。それはいつで、どのような規模、どのような意見が出されたのでしょうか。

3)                       都市計画の見直しがどのようにされたのか

都市計画法第21条では、都市計画の変更について次のように規定しています。「…都市計画に関する基礎調査…の結果、都市計画を変更する必要が明らかになったとき、…遅滞なく当該都市計画を変更しなければならない」とされています。ここでいう都市計画に関する基礎調査とは、おおむね五年ごとに県が行う基礎調査で、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量その他、建設省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについて行なうものです。

この基礎調査では、昭和20年代にはバスがとおるなど、幹線道路であった社内上野本線について、その後旧8号線、現在の8号線と、基幹交通をバイパスに移す対策がとれらたことについて、どのように評価されているのでしょうか。また、交通量について、現況と将来の見通しについて、どのように把握しておられるのか、お尋ねします。

私は、ここの道路拡幅に関する限り、幹線道路というより、生活道路としての位置付けができるのではないかと思います。あくまでも幹線道路としての位置付けが必要だといわれるのなら、反対を表明されている関係住民の皆さんにも十分納得できる説明を求めたいのであります。

4)                       この都市計画を行政の側が忠実に守っていたのか

この点では二つ、具体的にお答えください。

@ 都市計画決定にしたがって建築確認申請の際の指導にもとずいて建てたのに、先に示された図面ではまた建て替えなくてはならなくなったり、こんどはその図面を書き換えて新しい図面を出すということですが、これでは、これまでの都市計画決定の意味がなさないではありませんか。2メートル前後も計画線が移動し、住民生活に現実に影響を及ぼしているのですから、行政が都市計画を尊重していないことになるではありませんか。この点について、どう考えておられるのか、お尋ねします。

A また、都市計画法で都市施設のひとつとして明確に位置付けられている下水道が都市計画と無関係に進められたのではありませんか。ここは下水道工事が完了したばかりの地区での道路拡幅計画です。関係住民の多くは市の指導に従って、下水道につなぐ工事を終えております。平成8年にはこのことが問題になり、市自身が当分計画がないといっていたそうです。道路側溝の工事も後少し残すのみとなりました。道路側溝の工事をするところは、これで道路を掘り返す事がなくなったところから行うと、これまで説明されてきました。ここで道路拡幅工事を行うとすれば、明らかに二重投資となります。都市計画を決めて、長期的な町づくりを進めているというのであれば、なおのこと、行政の側の無計画的なやり方、場当たり的なやり方に対する批判が高まるでしょう。行政の側が都市計画を無視していたといわれても仕方がないではありませんか。

また、下水道工事をやりかえるための経費を誰がどれだけ負担するのでしょうか。下水道を使用しながらの工事になります。どのような手順ですすめるのか、下(しも)から順番に工事を進めるのか、それとも同意を得られたところから順番に工事をするのか、これらの問題についても、住民に情報を公開して取り組むべきだと思いますが、お答え下さい。

5)                       「健康で文化的な都市生活」を保障する街づくりはどうあるべきか、住民合意を得る努力を先行させることを求める

都市計画法は、都市計画の目的の一つに「健康で文化的な都市生活」を保障することをあげています。そこに住む住民の生活の場を奪って、この目的が達せられるとは考えられません。立ち退きなどで、地域社会がますます寂れていくことなど住民生活への影響をどう評価しておられるのでしょうか。

私は道路拡幅計画のみを先行させ、それへの同意を求めるだけの都市計画事業であってはならないと思います。そこに住む住民の皆さんがどのような街づくりをしたいのか、その話し合いで住民自身が、街づくりの構想、計画を煮詰めることを、行政としても支援すべきです。その話し合いに必要な情報を充分に提供すべきです。このことを通じて、街づくりに対する住民の合意を作り上げる努力こそ、求めたいと思います。

6)                       市内の都市計画全体の見なおしを住民参加で

今回の事例でも明らかになったように、これまで都市計画決定に際して、充分、住民参加で計画を練り上げたものではありませんでした。そのため、実態に合っているかどうかの評価、検討もされていません。すでに何本もバイパス機能を持った道路ができているのに、五十年前の都市計画決定に縛られるとか、もっと南北を結ぶ道路網に目を開くとか、新しい時代の要請も検討しなければなりません。

小矢部市の都市計画全体の見なおしを住民参加で行うよう改めて提案します。国、県、市ともに財政危機に陥っており、県の借金は8600億円、小矢部市の借金も140億円、それぞれ県民一人あたり76万円、市民一人あたり40万円になります。こういう時期に、あまり必要性もないような、しかも関係住民の中でも賛成が少ない事業に、40億円とも60億円とも言う巨額の税金をつぎ込んで取り組んでよいものかどうか、広く市民の皆さんが納得できるような理由でもあるのか、お尋ねします。

都市計画や公共事業の見なおしにあたっては、第一に、事業の必要性、採算性がどうか、環境への影響がどうか、この三つの角度から、十分な吟味をおこなうこと、第二に、事業が始まってからではなく、計画、事前、事後の諸段階にわたる評価、とくに計画段階での評価・点検を重視すること、第三に、住民市民の参加を制度的に保障すること、この三点がとくに重要であります。

これまで、街づくり計画のマスタープランの作成というと、すぐにコンサルタント会社に委託し、住民参加で議論を積み上げるということがありませんでした。ここを改め、本当の意味での住民参加の街づくりの議論を起こすべきではありませんか。お答えください。


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(2)                            フロンティアパークについて

五郎丸地内で工場団地計画が進められています。能越自動車道路建設用として山を削って土砂を取った跡地です。土地開発公社はこの3月に5億100万円でその用地を買収し、企業団地を造成する地域振興整備公団に転売しました。面積は約22・4ヘクタール。地域振興整備公団は通産省の外郭団体で全国で工業団地の造成を行っています。

地域振興整備公団は2002年度中には用地造成を終え、17区画の工場用地の募集をはじめる予定です。調整池や道路、公園を作るため工場団地に使うのは11・9ヘクタールで、0・5〜1・0ヘクタール程度の区画を主体とし、分譲に際し、合併、分割にも対応できるようにします。分譲のほか、賃貸も行います。

小矢部市は進入道路や公園、調整池、公共下水道、上水道などを関連公共事業として実施します。工場団地の分譲価格を抑えるためです。総事業費は7億1600万円で、小矢部市の持分は4億7300万円です。小矢部市の上水道より工場団地へ日量600トンの上水を供給します。これまで上水道の整備は開発者の負担で行っており、小矢部市の負担で行うのは異例のことです。各企業の工場排水および生活汚水は小矢部川流域下水道へ接続されます。雨水はいったん調整池に集めた後、五郎丸川へ放流します。

この計画については市民の間で、雇用面への期待があるのも事実ですが、果たして企業進出が見込めるのかとの心配もあります。日本共産党は今年7月、市内中小企業を訪問し、こんどのフロンティアパークの計画についていろいろと意見を伺ってきました。しかし、「フロンティアパークには入る計画はない。市として整備されるなら、早く埋まって、活性化してほしい。」などと、あまり期待の声が聞けませんでした。運送業としてみると、「必要ではあるかもしれないが、場所が悪い。」「多くの企業が廃業しようとしているときに、企業団地など止めておけ、というのが結論だ。日本では、特殊なもののほかは、製造業は成り立たない。人件費が高すぎて採算が採れない。いま、新湊や八尾の工業団地にも空き地がいっぱいある。昔は、工場が地方へやって来たが、それは人手不足のせいだった。今は都会でも人が余っている。」

水がない問題では「地下水が無いというのもネックだ。冷暖房であれなんであれ、上水道ではコストがかかり過ぎる。」といわれていました。物流の面でも「ここのメリットは何ですか。国道359に隣接していることと小矢部インターにわずかに近いということだが、国道8号線には遠く、359も狭い。」と、あまり便利でないことが強調されました。このように経営者の中には、懸念の声が多く聞かれました。今後分譲の見込みをどう考え、対策をとられるのかお尋ねします。

また、中小企業育成ということでは、どういう姿勢で取り組まれているのでしょうか。市内企業が福岡町や石川県で工場を増設せざるを得なかったことは、市として把握しておられたのでしょうか。市の幹部職員が中小企業のニーズをつかむ仕組みができていないのではないですか。昨年提案したように、部課長が中心になって市内企業の実態調査を行なうことを改めて提案します。


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(3)                            固定資産税の評価について

工場など、家屋の再建築価格の評価にあたって、近隣市町村より小矢部市の場合、高いという苦情を聞きました。再建築費を計算するときに損耗の状況による減点補正率が適切ではないと思われます。

所得税の計算に使う減価償却期間を過ぎたものが、建築したときの価額よりも高く評価されることのないように、改善を求めたい。

今後、フロンティアパークへ企業を誘致しようと考えるなら、評価の面でも他市より高くなるような事態を避けるべきです。

(4)                            介護保険実施五ヶ月を経て改善すべき課題について

介護保険実施前とあとで、介護サービスの利用状況がどうなったのかについて、過日開かれた民生文教常任委員会で私が尋ねたところ、ホームヘルパーの1ヶ月の利用回数は、今年5月の介護保険適用の利用回数は1024回、これに市独自で実施している自立者対象のホームヘルパー利用を加えると約1500回となり、平成11年度の月平均利用回数が1100回でしたので、36%利用が伸びています。デイサービスは51ヶ月間の利用回数は1300回で、昨年度の月平均利用回数が962回だったから、35%増えています。

低所得者に対してホームヘルパー利用料の無料制度を基本的に守ったことが利用増につながっているものと思います。しかし、それ以外の在宅サービスは1割の利用料が必要なため、利用料負担が増えて、サービスを手控えている現実はないのか、実態をうかがいたいと思います。そこで質問ですが、要介護度別、施設・在宅別に支給限度額の合計と、利用実績合計の対比を教えていただきたい。

今後在宅介護サービスの利用促進を進めるためにも、利用料1割負担を軽減するよう、国に求めるべきではありませんか。また、小矢部市独自として、さらに改善を進めるつもりはありませんか、お尋ねします。

また、施設不足で、デイサービスの利用が抑えられている現状をどう改善するのか、今後の対策についてお答えください。


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(5)                            米価値下がりが続く中での農業政策について

豊作だから米価が下がると政府・自民党らは宣伝していますが、これは実態とは違います。転作をすれば米価水準が維持できるといって協力してきたが、それでも下がりつづけているではありませんか。

WTO農業協定発効から6年、日本では、米を300万トンも輸入させられ、減反は水田面積の三分の一以上にもおよび、米価暴落とあいまって農家に深刻な打撃をあたえています。世界的にも輸入国や発展途上国の農業に深刻な影響をあたえており、「WTO協定で甘い汁を吸っているのはアメリカなど一部の輸出国と穀物メジャー」という批判が高まっています。ここに米価定価と米余りの最大の原因があります。これを豊作のせいにするのは事実をゆがめるものです。

もともとWTO農業協定は、アメリカなど農産物輸出国と、巨大穀物メジャーなど多国籍アグリビジネスがみずからの利益を最優先するため、気候や地理的条件の制約を強くうけて生産される農産物の特性を無視して、一律に貿易自由化を押しつけたものです。

日本の食料自給率は、穀物で二八%、カロリーで四一%にまで落ちこんでいます。人口一億二千万人の国で食料自給がここまで崩壊しているのは異常な事態です。その日本で、唯一自給している米まで毎年数十万トンも輸入して、減反を拡大するというやり方が、いかに食料安全保障の基礎そのものをほりくずすものであるかはあきらかです。

国連食糧農業機関(FAO)は、九八年に食料不足に直面している国が、九六年の二十五カ国から三十七カ国にふえていると報告しました。九六年にひらかれた「世界食料サミット」(百八十カ国の政府代表参加)は、「増加しつつある人口に食料を供給し、食生活を改善するためには……世界の食料をさらに大幅に増産することが求められている」(「行動計画」)と各国によびかけました。多くの国際機関が、二十一世紀にはさらなる世界的な食料不足が避けられないと予測しています。食料自給率を向上させることは、日本自身の食料の安全保障のうえで不可欠であるとともに、世界的な食料危機を回避するうえからも重要です。

ところが、WTO農業協定は「食料安全保障への配慮」をいいながら、自給率の保障をその枠組みになんら組み込まず、日本のような自給率の極端に低い国の輸入規制や国内助成まで一律に禁止あるいは削減を迫っています。食料安全保障に配慮して、国内助成の削減対象からはずすことを認めているのは公的備蓄だけです。これでは真の食料安全保障を確立することはできません。

WTO農業協定の前文では、「食料安全保障、環境保護の必要その他の非貿易的関心事項(自由貿易だけで解決できない事項)に配慮」すると明記しており、WTO設立協定第一〇条は、協定の改正を提案する権利を加盟国に保障しています。したがって、農業協定を公正なものにするために積極的な提案をおこなうことは、日本政府の当然の権利であり、責任です。

外国からの輸入規制が今何より求められます。WTO協定の見直し、政府米買い入れによる米価の下支えを、国に要求すべきだと思いますが、見解を伺います。

また、市としても有機農業による、安心できるおいしい農産物を消費者に届ける努力が求められます。そのためにも畜産、稲葉山牧場との連携をどう進めるのか、農業公社の展望も含めてお答えください。

 

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