トップメニューネタバレ映画評アタック!ナンバーハーフ

映画のラストシーンが書かれています。まだ、鑑賞されていない方はご注意を!


「アタック!ナンバーハーフ」

ストーリー
  タイ・ランパーン県の男子バレーボール代表チームの監督として迎えられたビー監督。彼女は代表選手の選考でオカマ選手を2人選んでしまった。これに反発したほかの選手は続々とチームを脱退。他のチームに移籍してしまう。残ったのはチームリーダのチャイ(男)と、二人のオカマちゃん。天真欄万なジュンちゃんと、心に葛藤を持つモンの二人。元来のノー天気なジュンちゃんは、男が逃げたなら、オカマだけでチームを作ればいい!と提案。昔のバレーボール仲間をチームに入れることを画策する。
  そして集まってきたのが、超美形のオカマ踊り子のピア、巨大な体を持つ軍人オカマのノン、家族と恋人には自分がオカマであるということを告白できていない金持ちの息子ウィット。そして監督の知人の三つ子オカマのエイプリルとメイとジューン。成りはオカマだが、バレーの技術は人一倍。次々と予選をクリアしていく。
  しかし、ピアの恋人チャットが別れ話を持ちかけてきてピアの心はズタボロ。チームの黒一点チャイはオカマを好きになれない。モンはオカマ蔑視するチャイとたびたび衝突する。猛牛のような体をしたノンは御化粧のノリが悪いと落ち込み気味。バレーボールのテレビ中継でオカマであったことが両親にばれてしまったウィットは父親に家に連れ戻されてしまう。

  ぼろぼろの状態のチーム。そして決勝戦の日がやってきた・・・。

ネタバレ
  決勝戦の前日、ひと騒動起こして警察に連行されたオカマチーム。そのことからチームの決勝戦出場は停止することを宣言するコミッショナーだったが、ジュンちゃんの機転でこれを回避。試合が続行されることに満場拍手喝さい。試合は始まったが、ウィットが抜けた穴は大きい。点差はつかず離れずの大混戦になってしまう。敵の一人集中攻撃作戦で選手がひとりづつ倒れていく。もうだめか?と思った瞬間、ウィットがコートに現れる。彼の友達を思う心、そしてオカマであることから逃げない精神が彼の父をも納得させ、コートに復帰することができたのだ。これで全員揃って、反撃だ!
  敵は今度はジュンちゃんを集中攻撃。敵の放ったボールがジュンちゃんの脳天を直撃。ジュンちゃんは倒れてしまう。ジュンちゃんの周囲に心配そうにあつまるチームメイト。激しい衝撃から立ち直ることができず、意識が戻らないジュンちゃん。ジュンちゃんを応援する声が聞こえてくる・・・。ジュンちゃんは、夢を見ていた、御化粧をしていい男に囲まれる夢、御金持ちできれいな宝石を付ける夢・・・さまざまな夢が交差する。
  会場ではジュンちゃんコールが割れんばかりに響いていた。その応援の声が天に届いたのか?ジュンちゃんは息を吹き返す。このまま負けてはイケナイ!オカマとして、バレーボーラーとしての意地を見せてやる!オカマチームの心はここで完全にひとつになる。同点で向かえた最後のサーブ。敵チームのレシーブをブロックしたボールがネットの上を転がる・・・なかなか落ちてこない・・・これが落ちたチームの負けだ・・・・くるくる廻るボールは一瞬、オカマチーム側に落ちるそぶりをみせ、敵チームに落ちていった・・・。全タイが夢中になった男子バレーボールが終った。喜ぶ選手、そして監督。
  エンドクレジット・・・実物のオカマチーム(実話)の面々のインタビューや当時の映像がドキュメンタリーとして挿入される。また各選手のその後も語られる(完)


太郎と花子のディープインパクト討論

「実は、僕、この映画の最後でちょっとだけ泣いちゃった。」
「うんうん。分かるような気がする。これって、最近ご無沙汰なスポーツ根性映画の精神そのままよね」
「『がんばれベアーズ』とかさ、虐げられている弱小チームがやがて強くなる。」
「同じアジア映画で昨年は『フォーエバー・フィーバー』がなかなかノスタルジックにいい味を出していたし、アジアはそういった70年代のテイストをいじるのが巧いようなきがするわね。」
「それはただ単に映画作りが30年遅れているから・・・」
「あんた、今、アジアの住民、全員を敵に回したわよ。」
「ごめんなさい〜」

「そうそう、強くなるためには練習すりゃあいいんだけど。練習の風景って、この手の映画はあまりないのよね。」
「不思議だ(笑)」
「技術を磨くのではなく、内面から強くなろうって映画だからね。練習より、友情をはぐくむほうが先。」
「そんな感じで、最初はオカマを苦々しく思っていたチャイがモンと仲良くなるところは良かったね。」
「男と男、じゃなくて、男と女・・・うーんわかんないけど、不思議な友情が芽生えたといいうところも感動的。」
「しかし、これが8割がた真実ってのはすごいね。」
「あの最後のドキュメンタリーをみたら、大勢の観客が度肝を抜かれたみたいで、ちょっと場内でざわめきが起こったわね。私も驚いたけど。」
「あんなアタックされたら、確かに受けられないよ。すごい迫力だもん。」
「あら?私ならできそうよ。」
「ほお・・・。」
「なによ。」

「しかし、俳優もすごい!一人(と三つ子)を除いて、みんなオカマじゃないらしいね。」
「ピアちゃんはどこからどう見ても女の人ですもんね。あれは驚きよ。」
「ジュンちゃん(主人公)は、本当に天真爛漫で可愛いね。前半で男装(?)するシーンが一回入るけど、そのときの男の顔も、ちょっぴりアイドル系で可愛い。」
「かなり本人、オカマ役に抵抗あったらしいわよ。」
「でも、あそこまで可愛く演じることができた時点で、すごいと思うよ。この映画はジュンちゃんのキャラクターで持っているといっても過言じゃないかもしれない。」
「同感。彼が出演する他の映画も見たいわね。」


伊達と酔狂 Apl,2001