トップメニューネタバレ映画評あの頃ペニー・レインと

映画のラストシーンが書かれています。まだ、鑑賞されていない方はご注意を!


「あの頃ペニーレインと」

ストーリー
  15歳でローリングストーン誌のライターに雇われた少年ウィリアム。新進のバンド、スティル・ウォーターのライブツアーと同行することになったウィリアムだが、気性が激しく気ままなバンドメンバー相手に思うように取材が進まない。そんな旅を続けながら、バンドを心から愛する少女ペニー・レインとの出会い、少年は少しづつ成長していく・・・。

ネタバレ
  ペニー・レインが心を寄せるスティル・ウォーターのベーシスト、ラッセルはライブツアーがニューヨークに着いたとき、彼の恋人に再会する。ペニーをやっかいに思った彼は、ニューヨークに着く直前ペニー・レインをポーカーを賭けで「売り払うが如く」追い払ってしまう。傷心のペニーは、ニューヨークのホテルで睡眠薬による自殺を図る。間一髪ウィリアムが彼女のホテルに駆けつけ医者を呼び助け出す。
  翌日、ペニーは一人、自宅に戻る飛行機に乗って去っていく。その姿をいつまでも追いかけるウィリアム、飛行機の窓からウィリアムの姿を確認したペニーは、その姿をいつまでも見つめていた・・・。
  ペニーが去った後もウィリアムのツアーの同行は続いた・・・しかし取材は一向に進まず、ローリングストーン誌の締切りが近づいていた。そんなある日、ボストンに向かうツアー飛行機が乱気流に巻き込まれ、不時着せざる追えない事故が発生する。もしかしたら死ぬかもしれないというとき、バンドメンバーたちは、思い思いに最後のひとことを互いに叫び会う。その中でもラッセルのスタンドプレイへの批判がひどく、バンドは文字通り空中分解するかと思われた、バラバラになっていくメンバーの心。たまりかねたウィリアムは自分が「ペニー・レインを愛している」ことを告げる。そして、ペニーがひとり服毒自殺を図ったことをラッセルに告げ、ポーカーの賭けに彼女を使ったことを激しく糾弾する。ラッセルはペニーを激しく傷つけたこと、そして自分がペニーに本当に思いを寄せていたことをこのとき初めて気がつくのである。
  飛行機はかろうじて事故をまぬがれ、飛行場にたどり着いた。ラッセルとウィリアムは飛行場で別れる。「おまえの好きなように書け」とウィリアムへ告げ。ライブツアーは終ったが、ウィリアムの記事はできていない。ウィリアムは恩師である「クリーム」誌のバングスに電話を入れ相談する。バングスは「バンドを愛しているのなら本当のことを書け」と助言を加える。この言葉にウィリアムはこのツアーで起こったすべてのこと、良いこと、そして悪いこと、すべてを克明に書き、ローリングストーン誌に送った。受け取ったローリングストーン誌は、ウィリアムの記事を賞賛したが・・・バンドメンバーに事実を確認すると、メンバーはその記事を「嘘っぱち」と決めて返した。ウィリアムが信じていたラッセル本人すらも否定していたのである。ローリングストーン誌はウィリアムの記事を掲載するのを止めるとウィリアムに告げるのだった。
  ショックを受けたウィリアムは一人、帰りの飛行場で佇む。そこに偶然に家出したはずのウィリアムの姉に再開する。ウィリアムのことを気遣った姉は、一緒に母の待つ家に帰ろうと持ちかける。
  家出した姉と帰宅したウィリアム。家出同然に姿を消した二人を母親は、やさしく抱きしめるのだった。
  ペニー・レインが去り、ウィリアムが去ったスティル・ウォーター。ラッセルは、ペニーに「もう一度会おう」と電話をするのだった。ペニーは自宅の住所をラッセルに告げる。ラッセルがペニーに会うために伺った家は、実はウィリアムの家だった。ペニーはラッセルとウィリアムの仲を取り持つように嘘をついたのだった・・・。ラッセルはウィリアムの部屋でウィリアムと再開する。ラッセルは、ウィリアムに記事が事実であり、ローリングストーン誌にそのことを告げたということを、ウィリアムに話す。「インタビューを再開しよう」と、ウィリアムとラッセルのインタビューが始まった・・・。

  数日後、「飛行機はもういやだツアー」と看板を掲げたバンドワゴンがスティルウォーターを乗せて走り去っていく。別の場所、飛行場では、モロッコへ向かうペニー・レインの明るい顔がそこにあった。(完)



太郎と花子のペイフォワード討論

「懐かしい70年代ロックと甘酸っぱい少年の初恋の物語ってところかな?」
「あんた、何見てるのよ(バシ!)、この映画が目指しているのはそんなもんじゃないわ。もしかしたら、あんた、『ザ・エージェント』見てないの?」
「見てないよ。」
「(バシ!)この映画は、背伸びをしすぎた人々が等身大の自分を探し出すまでの物語なのよ。『ザ・エージェント』のトム・クルーズと同じ。背伸びしすぎて周囲が見えなくなってしまった大人たちへのメッセージがあると思うの。単純な甘酸っぱい初恋物語とは違うわ」
「ふーん。ロック世代には懐かしい音楽がかかってうならせた映画じゃないかな?」
「殴るわよ。」
「殴ってるじゃん。」
「この映画は音楽映画としては何一つ、音楽に対する薀蓄を述べていないわ。演奏シーンだって、ほとんどない。音楽映画のふりをしているけど。」
「つまり音楽映画のふりをした人生ドラマ」
「でしょ?それから、二人の子供を家に繋ぎ止めていた母親。この映画では地味ながら彼女の成長が一番の泣き所だと思ったわ。」
「『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンドが熱演していたね。突然帰ってきた長女を優しく迎え入れるところには涙が止まらなかったよ。」
「うんうん。分かっているじゃない。この映画は女優がとても良い味を出していたわね。ペニー役のケイト・ハドソンなんか笑顔がキュートで、お母さんであるゴールディ・ホーンに似ていたわね。そうそう、アナ・パキンも可愛かったわ。」
「え?アナ・パキンって、どこに出てたの?」
「(バシ!)本当、殴るわよ」
「殴ってるじゃん」


伊達と酔狂 Apl,2001